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★人生、ここにあり!

(C)2008 RIZZOLI FILM
『人生、ここにあり!』 (Si Puo Fare)
〜他の人とは異なる能力を持つ組合員に乾杯!〜

(2008年 イタリア 1時間51分)
監督・脚本:ジュリオ・マンフレドニア
出演:クラウディオ・ビジオ,アニータ・カブリオーリ,
    ジュゼッペ・バッティストン,ジョルジョ・コランジューリ,
    アンドレア・ボスカ,ジョヴァンニ・カルカーニョ

2011年7月23日(土)〜シネスイッチ銀座、
8月20日(土)〜梅田ガーデンシネマ、
9月10日(土)〜元町映画館、秋〜京都シネマ
公式サイト⇒  http://jinsei-koko.com/
 1983年,ミラノ。ネッロは,急進的すぎるという理由で労働組合をクビになり,協同組合の指導者となる。それは,精神病院を出たものの家族に面倒を見てもらえない精神病患者たちの集まりだった。ネッロは,彼らが持っている能力を活かした仕事で収入を得られるように奮闘する。組合員は,仕事の内容などを多数決で決め,共同で責任を負うことを覚えていく。軽快なテンポでコミカルな味があり,やればできるという気分が湧いてくる。
 ネッロは,各組合員の能力に応じた役割を的確に与えていく。ファビオのマネージャーは板に付いているし,しゃべらない会長ロビーの威厳のある態度はあっぱれだ。ネッロの視線は,精神疾患ではなく,精神病患者の個性に注がれている。衣食住が満たされると,次に男たちはECの資金援助を得て性欲の処理へと向かう。行きはガチガチだが,帰りは陽気に弾けている。ここで歌われる”That’s Amore”は,正に性別を超えた人生賛歌として響いてくる。
 イタリアでは1978年にバザーリア法が公布された。それは,精神病院への新規入院を禁止し,精神病患者のケアを社会内の精神医療システムの中で行おうとするものだ。本作は1980年代に廃止された精神病院を出た人々に仕事を確保する場として設立された協同組合での実話を基に制作されたという。当時,イタリアには約2500の組合が存在し,約3万人の組合員が働いていたことが示され,そんな彼らにこの映画を捧げるとクレジットされる。
 人間である限り,歓びがあれば,哀しみや苦しみもある。ネッロは,協同組合の事業のことばかり考え,いつしか恋人サラの気持ちが見えなくなっていた。組合員のジージョが仕事先で知り合った女性に恋をするが,その面前で侮辱されたため,同じ組合員のルカが相手の男を殴ってしまう。そして,もっと大きな悲劇が起こり,痛々しくて遣り切れないシーンが続く。もちろん,最後に組合員は立ち上がる。間違いなく,元気になれる映画だ。
(河田 充規)ページトップへ
   
             
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