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★イップ・マン葉問

『イップ・マン葉問』(葉問2/IP MAN 2)

(2010年 香港 1時間49分)
監督:ウィルソン・イップ
アクション監督:サモ・ハン・キンポー
出演:ドニー・イェン/サモ・ハン・キンポー/ホァン・シャオミン

2011年1月22日(土)〜新宿武蔵野館、 シネマート心斎橋、T・ジョイ京都 他全国ロードショー
公式サイト⇒ http://www.ip-man-movie.com/
(C)2010 Mandarin Films Limited. All Rights Reserved

 不世出のカンフー・スター、ブルース・リーただひとりの師匠で武術の達人イップ・マンが中国武術の意地をかけて米人ボクサーと戦う本格的な武侠映画。
1950年の香港、広東省から移り住んだ中国武術「詠春拳」の達人イップ・マンの前に立ちふさがるのは香港武術界を仕切るホン(サモ・ハン・キンポー)。イップの「武館」開設の夢はホンとの対決が引き分けに終わり、果たせなかったが、そんな時、中国武術を侮辱した英国人ボクサーにホンが立ち向かって惨敗、殺されてしまう。その壮絶な闘いぶりに胸を打たれたイップは中国武術の誇りをかけて英国人ボクサーに挑む…。
 この映画を見て、遠い記憶が甦った。格闘技対決(伝統武術VSボクシング)、アジア人VS西欧人のシチュエーションはあの黒澤明監督の第2作「續姿三四郎」(45年)とまったく同じ。伝統武術をモチーフにした映画ではある種のパターンなのかもしれない。
「姿三四郎」(黒澤版正・続)同様全編、ほとんど闘い場面のアクション映画。香港&台湾映画の伝統である武侠映画の原点として思わず熱くなるような映画だ。
 香港カンフー・アクションの始まりはいうまでもなくブルース・リー。73年12月、初めて「燃えよ!ドラゴン」を見た時の衝撃は忘れられない。拳銃や刀、ナイフなどの武器は使わない。使うのは技術が必要なヌンチャクぐらい。「燃えよ〜」では舞台が“武器禁止”の島という設定で、リーは文字通り、自らの足と腕だけで戦う。その鮮やかなこと。俊敏な身のこなし、鍛えぬかれたボディ、人間技とは思えない回し蹴りや飛び蹴り…。彼の出現まで、映画のヒーローはほとんど武器を持つ人、だった。徒手空拳のスーパーヒーローの出現は映画の常識を変えた。
 「燃えよ!ドラゴン」の公開は73年12月。この映画で人気爆発した時、リーはすでに死亡(73年7月20日死去)していた、という悲劇性もあって、彼は登場した時から伝説になったのだ。
その後、ジャッキー・チェンが跡を継ぎ、ジェット・リー(リー・リンチェイ)やチャウ・シンチーら後継者は多数現われたが、悲しみを秘めた目と表情、今も耳に残る奇声などでリーの存在感を超える者はいない。
  「イップ・マン」のラスト、師匠の道場の門をたたいた負けん気の強そうな少年「李小龍(リ・シャオルン=ブルース・リー)」を見て、これから始まる短くて鮮烈な生涯を一瞬想像して胸が熱くなった。それは団塊世代だから、だろうか。ブルース・リーは偉大だった。その師匠もまた、当然偉大だった。これがいまなお人気の高いカンフー・アクションの理由に違いない。
(安永 五郎)ページトップへ
   
             
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