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★いのちの子ども
『いのちの子ども』
(原題:尊い命・・・英語・ヘブライ語・アラビア語で併記)
〜心から願えば時として夢は現実になる…〜


(2010年 アメリカ,イスラエル 1時間30分)
監督・撮影・ナレーション:シュロミー・エルダール
出演:ラーイダ&ファウジー・アブー=ムスタファー,ラズ・ソメフ医師

2011年7月16日(土)〜ヒューマントラストシネマ有楽町 他順次全国公開
7月23日(土)〜テアトル梅田にて公開
公式サイト⇒  http://www.inochinokodomo.com/
 エジプトに接する地中海東岸にパレスチナ自治区ガザ地区がある。そこに住むパレスチナ人(アラブ人)は,断続的にイスラエル軍による攻撃を受けており,イスラエルに入るには検問所を通過しなければならない。イスラエルのテル・アビブ近郊には,ガザ地区からも患者を受け入れている病院がある。イスラエル人の医師ソメフは,パレスチナ人でまだ4か月半の赤ん坊ムハンマドの治療に当たる。彼は免疫不全症で骨髄移植が必要だった。
 その状況をレポートしたのは,イスラエルのテレビ局のレポーターであるシュロミー・エルダールだ。死が日常の一部となった世界で,母ラーイダは,懸命にムハンマドを看病し,その命を救おうと必死になる。移植できる骨髄を探し出すには,血縁関係のある者の血液検査をしなければならない。だが,病院はイスラエルにあり,ムハンマドの身内はガザ地区にいる。検問所という障壁を無事に超えられるかという問題が立ちはだかっていた。
 適合者が見付かったという知らせを受けたとき,ラーイダは感極まって興奮状態になる。今はまだ小さな命かも知れないが,その輝きを消してはならない。最も切実にそう願っているのは彼女に違いない,と誰もが思う。そのとき,彼女の口から意外な言葉が飛び出す。死が日常の世界では命に何の価値もなく,死を恐れないから自爆テロをするし,エルサレムのためならムハンマドを殉教者にする,と。その心の奥底には沈痛な思いが籠もっている。
 パレスチナ・イスラエル問題には根深いものがある。移植された骨髄はムハンマドの体を攻撃しようとし,その体は移植片を拒絶しようと働く。互いに異物であるため,それぞれ違った思惑があって反発し合うが,共存できれば共に生き残れる。ラーイダは,2つの世界に挟まれながらも,ムハンマドの体と移植片が共存して欲しいと心から願い,それが叶えられる。その後,ラーイダは,新しい命を生み出すために再び病院を訪れるのだった。
(河田 充規)ページトップへ
   
             
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