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 『生き残るための3つの取引』
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★生き残るための3つの取引


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『生き残るための3つの取引』 (THE UNJUST )
〜ヤリ手刑事と功名心検事の恐るべきでっち上げ〜

(2010 韓国 1時間59分)
監督:リュ・スンワン
出演:ファン・ジョンミン、リュ・スンボム、ユ・ヘジン

2011年4月29日(金・祝)〜銀座シネパトス、シネマート新宿ほか全国にて順次公開
4月29日(金・祝)〜シネマート心斎橋、T・ジョイ京都、
5月7日(土)〜元町映画館
公式サイト⇒  http://www.3torihiki.com/
 「犯人がいないなら作ればいい」。大阪地検の“ヤリ手検事”みたいな発想が罷り通ったら…。「生き残るための〜」は検察や警察が良心、正義感をなくしたらこうなる、という恐るべき犯罪映画。警察、検察に限らない、つまり一般社会でも同じだろうところがオソロしい。
失態続きで警察に非難ゴウゴウの最中、女児連続殺人事件が起こり、あろうことか警察は有力容疑者を誤って射殺してしまう。上層部は失態もみ消しのため、敏腕デカ、チョルギ(ファン・ジョンミン)に犯人逮捕(でっち上げ)を命じる…。
 優秀だが学歴のないチョルギは“昇進のエサ”にひとたまりもなくコロリ。彼は妹夫婦や部下たちのために、悪に手を染める。寡黙で渋めのヒーローが似合うジョンミンの極悪デカは凄味がある。

 チョルギは性犯罪の前歴があり、障害者の妻を持つドンソクを容疑者に仕立て、裏組織の男、新興建設会社社長に取引を持ちかける。この偽装逮捕に順風満帆の検事チュ・ヤン(リュ・ボンソム)が気付き、上司に告発するが、警察との関係を気にして逆に叱責されたから救われない。チョルギはもはや止めようもなく暴走してしまう。

 
昨年の大阪地検特捜部の証拠偽造は記憶に新しいが、この映画に描かれた公権力の腐敗ぶりはもっと凄まじい。正義などどこにもなく、犯人捏造に始まりひたすら泥沼に落ちていく男の悲哀が胸を突く。警察捜査の裏側をえぐり出すに止まらず、社会告発、現実批判ではなく、誰にでも起こり得る“悪の罠”のありようこそがこの映画の本題だった、と分かる。最後にとんでもない大逆転も待っている。韓国公開時に映画を思わせる「検事とスポンサー事件」が起こり、興行成績ベストワン、280万人動員の大ヒットを記録したのも当然と思わせた。リアリティー(本当らしさ)では日本は韓国にかなわない。
(安永 五郎)ページトップへ
   
             
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