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  『阪急電車 
  −片道15分の奇跡−』
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★阪急電車 片道15分の奇跡 (安永五郎バージョン)
『阪急電車 片道15分の奇跡』
〜阪急今津線を舞台に、女性たちの再生物語〜

(2011 年 日本 1時間59分)
監督:三宅喜重 原作:「阪急電車」有川浩(幻冬舎文庫)
出演:
高瀬翔子:中谷美紀、森岡ミサ:戸田恵梨香、
    萩原時江:宮本信子、伊藤康江:南果歩、
    遠山竜太:玉山鉄二、権田原美帆:谷村美月
    小坂圭一:勝地涼、門田悦子:有村架純、
    萩原亜美:芦田愛菜、 カツヤ:小柳友

2011年4月23日(土)〜関西先行公開
2011年4月29日(金・祝)〜全国東宝系ロードショー
公式サイト⇒ http://hankyudensha-movie.com/
(C)2011 「阪急電車」製作委員会
 有川浩の原作を映画化した究極のご当地“今津線映画”。電車に乗り合わせた乗客たちのエピソードを女の視点でまとめた物語でこれがよく映画に、と感心。 いくつかのエピソードの中心は結婚式直前で男を寝取られたOL(中谷美紀)、姿形の良さで付き合っている男のDVに悩む女(戸田恵梨香)、そして2人に適切なアドバイスを与えるおばあちゃん(宮本信子)と犬好きの孫(芦田愛菜)。いろんなことがあっても「終着駅はきっと笑顔」というキャッチコピーがけっこうハマる。
 付き合って3年、結婚準備を始めた時に後輩に彼氏を寝取られた女(中谷)は、花嫁顔負けの純白のドレスで式に出席、“討ち入り”を果たしての帰り道、電車内でおばあちゃんと孫に出会い、いきさつを話し始める。おばあちゃんは「討ち入りで気が済んだら会社をやめなさい」とアドバイス。
 もうひとり、ルックスだけで自慢気に付き合ってた男の暴力男に苦しむ女(戸田)は、車内で大声を張り上げる男にホームで突き飛ばされ、おばあちゃんに助けられる。「自分の意思で泣き止みなさい」という孫への忠告は自分へのものと察知し、ためらっていた縁切りメールを送信する。



 ほかにも強モテファッションだけど中身は軍事オタクの学生(勝地涼)と名前(権田原)コンプレックスの女子大生(谷村美月)の可愛らしい恋、アホだけど優しいサラリーマンと付き合っている女子高生、車内で我が物顔で喋るおばちゃん集団と中でひとり浮いている堅実女(南果歩)、友達からハミゴにされながらも毅然とした振る舞いで中谷から誉められる小学生らをモザイク模様に仕上げていく。

 どこかで見たようなエピソードばかりだが、中で振られOL中谷だけが異彩を放つ。男を他の女に取られる話は「森崎書店の日々」でも主役だったが、白いドレスで結婚式に乗り込む中谷は痛々しくも壮絶で「阪急電車」は、彼女の意思が全編を貫いている。中谷はもちろん、戸田も谷村も、いじめられ小学生も、みんな自分の意思のまま毅然と生きること…そんな素敵な生き方を体現するのが宮本信子で孫への教えとして伝える。女性作家らしい視線による女性たちへのエール(時に叱責)なのだろう。
(安永 五郎)ページトップへ
★阪急電車 片道15分の奇跡 (江口由美バージョン)

(C)2011 「阪急電車」製作委員会
『阪急電車 片道15分の奇跡』
〜電車ではじまる小さな奇跡のアンサンブル〜

(2011 年 日本 1時間59分)
監督:三宅喜重 原作:「阪急電車」有川浩(幻冬舎文庫)
出演:高瀬翔子:中谷美紀、森岡ミサ:戸田恵梨香、
    萩原時江:宮本信子、伊藤康江:南果歩、
    遠山竜太:玉山鉄二、権田原美帆:谷村美月
    小坂圭一:勝地涼、門田悦子:有村架純、
    萩原亜美:芦田愛菜、 カツヤ:小柳友

2011年4月23日(土)〜関西先行公開
2011年4月29日(金・祝)〜全国東宝系ロードショー
公式サイト⇒ http://hankyudensha-movie.com/
 数年前、久しぶりに大学時代の友人からもらったメールで「有川浩の『阪急電車』という本に学生時代を過ごした大学や小林駅などのエピソードがリアルに綴られていて、すごくいいよ。」と原作のことを教えてもらい、いつか映画化されたらいいのにと勝手に期待を膨らませていた(笑)。さまざまな世代の不器用ながらも頑張って生きている女性たちが電車や駅のホームで交差し、勇気をもらって笑顔になっていく姿が眩しい片道15分のローカル線が舞台の物語。観終わった後は、あなたも“きっと笑顔”になれるはず。









 結婚目前に会社の後輩に婚約者を寝取られたOL、翔子(中谷美紀)は、ウェディングドレス姿で元婚約者の結婚式に“討ち入り”したが、帰りの電車で感情が抑えられなくなってしまう。孫(芦田愛菜)と乗り合わせた時江(宮本信子)は訳ありげな翔子に話しかける。そんな翔子の姿を女子大生のミサ(戸田恵梨香)はイケメンの恋人と見ていたが・・・。

 他にも地方出身で周りとなかなか馴染めない大学生、子どもの学校関係の付き合いを断れない主婦など、まさに「あるある」と心の中で呟きたくなる身近なエピソードが取り上げられる。それらの悩みを抱えた登場人物たちが、不特定多数の人が乗降する電車で偶然にも出会い、なぜか気になって声をかけたり、お互いの記憶に残ったりする姿は自分たちの日常体験とも重なり、とてもリアルだ。電車で交差した相手に対する一瞬の気持ちの揺らぎや、声をかけてくれた相手に対して心開いていく様子を丁寧に描写しており、小さなエピソードが合わさった心地よいアンサンブルに身を委ねているようだった。中でも翔子役の中谷美紀と時江役の宮本信子の二人の存在とパンチの効いたセリフが、観ていてとても気持ちいい。

 『阪急電車』の各駅のアナウンス、駅構内の様子(構内広告も映画版オリジナルだそう)、そして桜の中を通り過ぎるマルーンカラーの阪急電車。電車好きなら心躍るシーンの数々だが、沿線民となれば尚更だ。キャッチフレーズにも登場する“終着駅”から毎日片道15分の阪急今津線で通勤している私はといえば、正に“感無量!”。そして、何よりもうれしいのは、日頃映画をあまり見ないような人たちの会話にも『阪急電車』のロケの様子や、友人がエキストラに参加したなど映画のことが話題に上っていたことなのだ。自分が住んでいる街で映画が撮影されることのワクワク感も含めて、小さな奇跡をたくさんもらった。
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