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★ザ・ファイター

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『ザ・ファイター』
アカデミー賞W受賞!!!
【助演男優賞・女優賞】
実在する伝説のプロボクサー:ミッキー・ウォードと
彼の異母兄弟ディッキーの兄弟愛を描き上げた感動の実話――。

(2010年 アメリカ 1時間56分)
監督:デヴィッド・O・ラッセル
出演:マーク・ウォールバーグ/クリスチャン・ベール/エイミー・アダムス/メリッサ・レオ

2011年3月26日 丸の内ピカデリー他にて全国順次ロードショー
公式サイト⇒  http://thefighter.gaga.ne.jp/
  シュガー・レイ・レナードと対戦して「ダウンを奪った」兄ディッキー(クリスチャン・ベール)と、その存在から逃れようともがく弟ミッキー・ウォード(マーク・ウォールバーグ)の愛憎物語。アメリカ人の心をとらえた実話の映画化。米ボクシング史上、最も印象に残る試合、といわれるタイトルマッチのスリリングな戦いぶりがクライマックスだが、見どころは町の期待の星でヤク中になってしまった兄、兄を溺愛する自堕落な母親との愛憎が交錯する家族ドラマという意外な映画だ。
  町の英雄ディッキーは世界チャンプも期待されるボクサー。「シュガー・レイをダウンさせた」実績が誇りだが、短気で怠惰な性格から転落。一方異父弟のミッキーは兄とは正反対の性格だが、兄と母親(メリッサ・レオ)に言われるまま試合を重ね、結果は出ないまま。兄は薬物に溺れて逮捕されミッキーも一緒に留置場に。だがミッキーは恋人シャリーン(エイミー・アダムス)の支えを得たことから、もう一度リングに上がる決意をする…。
 ハードなボクシングシーンは見ごたえ十分だが、その迫力以上に、ぶっ壊れた家族と、弟ミッキーの複雑な愛憎がドラマの核だ。兄を誇りにし、弟にも同様の期待をかけてうるさい母親、おとなしい父親。崩壊家族の中でスポイルされる弟。彼は恋人の協力で家族の絆を断ち切ろうともがき苦しむ。出所してやって来た兄とのスパーリングを一度は拒否するが、兄の強引な誘いに応じると、今度はシャリーンが離れていく。家族か恋人か、どっちに付くのか、と見る者を引き付ける。




 モハメド・アリに継ぐ伝説のシュガー・レイを倒した兄貴に頭が上がらないのは当然か。世界タイトル挑戦を決めた試合でも、最後に相手をリングに静めたのは兄貴の「ヘッド、ボディ」というアドバイス=作戦だった。結局、性格は破綻していてもミッキーは兄から離れきれなかったのだ。 実話だからこそドラマの盛り上げとしては不満が残る。スタローンの名作「ロッキー」や先頃公開された「あしたのジョー」、昨年の東宝「ボックス!」など、フィクションによるボクシング映画の方が感動を盛り上げやすいのは確か。「あしたのジョー」がノーガードで打たせた後、クロスカウンター一発で仕留めるといった必殺技はない。だからファイトシーンは意外に物足りない。厳しく言えば焦点が甘い。

  兄クリスチャン・ベールが助演男優賞、恋人役のエイミー・アダムスと母親役のメリッサ・レオが助演女優賞にノミネートされながら、主役のマーク・ウォールバーグが候補から漏れたのが映画の意外な性格を証明している。
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