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★フェア・ゲーム
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『フェア・ゲーム』 (FAIR GAME)
〜実在の元CIA諜報員:ヴァレリーの
                 正義と家族を守る戦い〜

(2010年 アメリカ 1時間46分)
監督:ダグ・リーマン
出演:ナオミ・ワッツ、ショーン・ペン、サム・シェパード、
    ノア・エメリッヒ、ブルース・マッギル、
    デヴィッド・アンドリュース

2011年10月29日(土)〜TOHOシネマズ六本木ヒルズ、TOHOシネマズ(梅田、なんば、西宮OS、二条)ほか全国ロードショー
公式サイト⇒  http://fairgame.jp/
 アメリカ合衆国政府を相手に戦った夫婦がいた。元CIA諜報員のヴァレリー・プレイム(ナオミ・ワッツ)とイラク大使代理を務めた経験のあるジョセフ・ウィルソン(ショーン・ペン)である。2003年3月20日、大量破壊兵器製造を阻止するため開始されたイラク攻撃。それは、開戦前のヴァレリーによるイラク人技術者の現状報告とジョセフによるニジェールからのウラン輸入の事実はないという報告を無視したものだった。夫婦の調査結果は政府のイラク攻撃の大義名分を打ち消すものだったのだ。本作は、実在する元CIAトップエージェントの、正義を貫く勇気と家族の信頼と安全を守るための戦いを、実に緊迫感をもってリアルに描いた感動作である。
 まだ幼い双子の母親でもあるヴァレリーは、普段は全く別の職業を装い、夫ジョセフの協力のもとCIAの諜報員として国際的不正に対しエネルギッシュに活動していた。ところが、夫婦の調査結果を無視してイラク戦争を始めた政府に激怒したジョセフが、その事実をニューヨーク・タイムズ紙で暴露したことで、高い支持率を盾に戦争を推進してきたブッシュ政権を揺るがすことになる。そこで、政府はヴァレリーの身分をマスコミにリークし、ジョセフの信用を失墜させようとした。
 スパイであることを暴露されたヴァレリーの身辺は一変し、世界中の協力者や関係者が危険にさらされ、脅迫電話や根拠のない中傷に悩まされる。メディアで正当性を訴えるジョセフに対し、家族の危険性を危惧したヴァレリーは沈黙を守り、二人の間に溝ができてしまう。唯一の安らぎの場だった家庭崩壊の危機。そこで、実家に戻った彼女に対し父親は……。
 政府に抹殺されてもおかしくない状況下で、夫と自分の社会的信用と誇りを取り戻すため、戦うことを選択したヴァレリーの勇気には敬服する。元空軍の父親と教師の母親を持つヴァレリーには、愛国心だけではない正義を貫く勇気が育まれていたのだろう。ワンシーンしか登場しない父親役のサム・シェパードの渋い演技が光る。
 それにしても、ヴァレリーに関する情報漏洩を指示したのはチェイニー副大統領の第一補佐官というから驚きだ。ネオコンの一要員で戦争推進派として知られるチェイニー副大統領の関与も否定された訳ではない。世界の紛争もエイリアン襲来でも、何でもアメリカ軍がやっつけちゃう!という構図ではなく、イラク戦争の大義名分を覆した映画『グリーン・ゾーン』('10)同様、戦争責任を真っ向から問う成熟したアメリカ映画を心から歓迎したい。
(河田 真喜子)ページトップへ
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