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J・エドガー

(C) 2011 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
『J・エドガー』 (J. Edgar)
〜アメリカの象徴的存在フーバーの素顔に迫る〜

(2011年 アメリカ 2時間17分)
監督・音楽:クリント・イーストウッド
出演:レオナルド・ディカプリオ,ナオミ・ワッツ,アーミー・ハマー,
    ジョシュ・ルーカス,ジュディ・デンチ

2012年1月28日〜全国ロードショー
・試写会プレゼント!⇒ こちら
・公式サイト⇒
http://wwws.warnerbros.co.jp/hoover/

 J・エドガーすなわちジョン・エドガー・フーバー(1895〜1972)は,アメリカ連邦捜査局(FBI)初代長官だ。1924年に前身の捜査局長官に就任してから亡くなるまでトップの座に君臨した。本作は,フーバーがキャリアの終盤で回顧録をタイプさせているシーンから始まり,時代を交錯させながらその人物像に迫っていく。フーバー自身の視点に立脚しているが,その主観を映像化したものではなく,内面を客観的に捉えようとしている。
 彼は,アメリカ国民を守るという使命感に燃えた愛国者だが,正と負の両面を見せる。捜査権限の拡大といったFBIの地位向上に努め,犯罪者の指紋識別システムを築くなど科学捜査の基礎を確立した。その反面,共産主義は政治思想ではなく病気だと言い放ち,非公式に大統領を含む政治家たちの情報を収集して威迫に用いる。また,メディアを通じて意図したとおりの自分のイメージを国民にアピールするなど,広報活動にも力を注いだ。
 多面的な人生の物語が散漫にならないように,彼に近しい3人の人物との関係を基軸に据えている。結婚に興味がなく仕事第一の秘書ヘレンを,最後に“ミス・ガンディ”ではなく“ヘレン”と呼んだフーバーの心情が胸を打つ。「良き日も悪しき日も昼食と夕食のどちらかを一緒に」という腹心クライド・トルソンの言葉が,フーバーが同性愛者だとの風聞を想起させる。母親アニーは,正しくマクベス夫人のようにフーバーに影響を与えた。
 フーバーの公私にわたる人物像をリズム感豊かに映し出した編集の妙に酔わされる。また,異なるいくつかの時代が描かれるが,それぞれの風景や衣装がよくマッチしている。クライドがフーバーの衣装コーディネーターの役割を果たしているのも面白い。この2人とヘレンの若い頃はレトロな雰囲気がよく出ている。3人の老けメイクも見事な実在感を生み出している。フーバーの晩年の姿は,権力の座にしがみつこうとして憐れでさえある。
(河田 充規)ページトップへ
(C) 2011 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
   
             
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