topへ
記者会見(過去)
旧作映画紹介
シネルフレバックナンバー プレゼント
  『カンパニー・メン』
  作品紹介
新作映画
★カンパニー・メン
『カンパニー・メン』 (THE COMPANY MAN
〜大きな会社という存在が個人を翻弄する〜

(2010年 アメリカ 1時間44分)
監督・脚本:ジョン・ウェルズ
出演:ベン・アフレック,トミー・リー・ジョーンズ,クリス・クーパー,ケヴィン・コスナー,ローズマリー・デウィット,マリア・ベロ

2011年9月23日(土)〜ヒューマントラストシネマ有楽町、
10月15日(土)〜シネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸 他全国にて公開
公式サイト⇒ http://companymen-movie.com/

 2008年9月15日米国の投資銀行リーマン・ブラザーズが破綻して世界的な金融危機が始まった。リーマン・ショックだ。社長ジムと副社長ジーンが創業したGTX社も,造船所を閉鎖し余剰人員を解雇する。ボビーは,勤続12年で内3年は販売部長を務めたが,37歳で失職した。だが,再就職するまで誰にも言わないで欲しいと妻マギーに頼み,以前と同じ生活を続けようとする。妻は,現実を受け止めて出費を控え,自宅を売却しようとする。
 ボビーは,エリート意識を捨てられず,初めての挫折にうまく対処できない。職を失ったまま大晦日を迎えるが,息子が買ったばかりのゲーム機を返品したことを知り,マギーの兄ジャックに雇ってもらおうと決意する。彼は,ボビーとは折り合いが悪いが,妹のために自分の経営する工務店に雇い入れる。ケヴィン・コスナーが,大金と縁がなく苦労人で情に厚いというジャックの人物像を巧みに表現し,マギーの言動に説得力を与えている。
 ジムは,会社の経営者として,いわば会社の所有者である株主に対する責任を負っている。買収を逃れようと再びリストラを行う。その中には勤続30年で造船工から重役になった60歳直前のフィルが含まれていた。彼の妻の対応は,マギーとは正反対だった。俺がクビになっても世界は変わらない,と言うフィルが切ない。社屋に向かって石を投げ「くたばりやがれ!」と悪態をつく。その姿を悲しそうに見ているジーンもリストラされていた。
 収入が増えると地道な暮らしを捨てて成功を追い求め,富をつかむとそれを失うのを恐れる,と述懐するジーン。改めて人の生き方を問いかける重みがある。ボビーが妻に支えられて新たな人生を歩み始めるというだけなら,あまりに凡庸だ。ボビーと異なる価値観を持つジャックやその妹マギーの存在が奥行きを与えている。ジムやジーンのような経営者といえども株主に従属している悲哀を描くことで拡がりが生まれている。だから面白い。
(河田 充規)ページトップへ
(C) 2010-JOHN WELLS PRODUCTIONS
   
             
HOME /ご利用に当たって