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★カメリア

(C)2010 BALCON/SIDUS FNH
『カメリア』
〜釜山発、
アジアの作家が綴る時空を超えた「愛」のオムニバス〜


(2011年 タイ=韓国=日本 2時間23分)
監督:ウィシット・サーサナティヤン、行定勲、チャン・ジュヌァン 出演:吉高由里子、ソル・ギョング、カン・ドンウォン、
    ソン・ヘギョ、ミシェル・シャオワナサイ他

2011年10月22日〜新宿バルト9、横浜ブルク13、梅田ブルク7他全国順次公開
・ソル・ギョング インタビュー⇒ こちら
・クリアファイルプレゼント!⇒ こちら
・公式サイト⇒
http://www.camellia-movie.net/
 釜山国際映画祭と会場の釜山広域市が、釜山を舞台に、釜山に縁のある監督たちに短編を撮ってもらうプロジェクトから誕生した『カメリア』。昨年の第15回釜山国際映画祭のクロージングを飾った本作がいよいよ劇場公開される。「愛」をテーマに、タイからはウィシット・サーサナティヤン監督、日本からは行定勲監督、そして韓国からは釜山出身のチャン・ジュヌァン監督が参加。過去、現在、未来の次元で、それぞれの監督のカラーが見事に表れたユニークな愛の短編集に仕上がった。見終わった後は、知らぬ間に釜山の町に魅せられていることだろう。
 日ごろは板前のオヤジが、華麗なる女性スパイに大変身!その活躍と悲恋を描く『アイアン・プッシー』。70年代の韓国を舞台に、トイカメラのようなレトロな色合いとサイケなファッション、そして哀愁ただよう愛の賛歌がアイアン・プッシーと男の出会いを華麗に彩る。
 その男が実は殺しのターゲットであるというお決まりの展開からの悲恋物語もさることながら、時空を超え過去の遺物のように現代の釜山の町を彷徨うアイアン・プッシーの姿が物悲しい。おねえキャラのアイアン・プッシーに流暢な韓国語をしゃべる美声をかぶせ、どこかファニーな作りがタイ映画らしさを感じさせた。
 詩的で淡い恋の名残を感じた秀作が、行定勲監督の『kamome』。主人公が撮影監督という設定で、撮影現場のイラッとさせられる描写にクスリとさせられながら、主人公と裸足の女性、かもめが夜の町で出会い、一緒に食事をし、片言の韓国語と英語と日本語で不器用なコミュニケーションを重ねていく様子が静かに描かれる。
 吉高由里子の空気感がそのままかもめのキャラクターとして生かされ、どこか放っておけない魅力を放つ。ソル・ギョング演じる主人公が少しずつかもめに心動かされる様子も大人の純愛のような瑞々しさがあった。二人が束の間を共に過ごした釜山の下町や海辺の風景がとても魅力的で、主人公が撮影中止をしたラストカットが全てを語るラストの切なさが静かに心を打つのだ。
 カン・ドンウォン、ソン・ヘギョという人気スターの共演で、純愛が売り買いできる近未来に、自らの愛を売るという危険を冒してでも、消えた恋人を1人で探しだそうとしたSF物語『LOVE FOR SALE』。純愛が売り物になったらどうなるかといったユニークな発想が、素直になれなかった恋の傷をさらけだすことになる、ハードで切ない物語に仕上がった。愛する人の心の内を知りたいという欲求はいつの世も変わらない。韓国映画らしいアクションを交えたエンターテイメント作品だが、一番印象的だったのは恋人たちがかつて過ごした釜山の町での“愛の記憶”だった。
(江口 由美)ページトップへ
   
             
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