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★クリスマスのその夜に

(C) 2010 Pandora Filmproduktion GmbH
『クリスマスのその夜に』
(Hjem til jul/HOME FOR CHRISTMAS )
〜山あり谷あり,それを楽しむのが人生!〜

(2010年 ノルウェー,ドイツ,スウェーデン 1時間25分)
監督・脚本:ベント・ハーメル
出演:ニーナ・サンジャニ,イゴル・ネセメル,
    トロン・ファウサ・アウルヴォーグ,
    クリスティーネ・ルイ・シュレッテバッケン,
    フリチョフ・ソーハイム,ヨアキム・カルマイヤー
2011年12月3日(土)〜ヒューマントラストシネマ有楽町にて
12月10日(土) 〜シネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸、京都シネマ にてクリスマスロードショー
公式サイト⇒ http://www.christmas-yoru.jp/

 クリスマス・イヴに起こった悲喜こもごもの人生模様が綴られる。ノルウェーの作家レヴィ・ヘンリクセンの短編集の映画化で,劇中で登場する警備員が作家本人だそうだ。複数のエピソードが重ねられるが,オムニバスではなく,群像劇のように構成されている。異なるエピソードの登場人物が互いに影響し合うことはないが,大人のほっこりした人生に,子供の持つ未来への可能性が重なってくる。降り積もった雪は白いのに何だか暖かい。
 33歳のパウルは,妻に追い出されてしまった。7週間も会っていない子供らにクリスマスのプレゼントを渡そうと,サンタの扮装をして妻の家に入り込む。その姿は,情けなくて滑稽だが,何とも愛おしい。ヨルダンは,故郷へ帰る金がなく,物乞いしたり車を盗もうとしたりするが,かつての恋人ヨハンヌとばったり出会う。その後,故郷へ向かう列車に乗った彼の表情が穏やかだ。その胸中を人生が走馬灯のように去来していたのだろうか。
 クリステンは,愛人カリンと関係した後,妻リヴとは別れられない,2人の女性を同時に愛していると告げる。その後,カリンが教会でリヴの隣に座るシーンは,台詞がないからこそ,かえって雄弁に3人の心に渦巻く感情を映し出している。医師クヌートは,コソボから逃れてスウェーデンに向かう夫婦を助ける。セルビア人の夫に頼まれ,アルバニア人の妻の出産を介助するのだ。男の子を取り上げた体験は,クヌートの感情を揺り動かす。
 プロローグでは,廃墟となった建物が映され,狙撃兵が男の子とその母親にライフルの照準を合わせるシーンが描かれていた。そのシーンが生まれたばかりの赤ん坊を抱いた妻の姿と結び付くとき,人々の喜怒哀楽を包み込むように優しさが広がっていく。夫婦の目の前に広がるオーロラの輝きが神秘的だ。別の場所では,上級生の女の子に恋するトマスが,夜空で一番輝いている星シリウスを見上げていた。未来への希望に満たされる映画だ。
(河田 充規)ページトップへ
   
             
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