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★ビューティフル |
(C) Menageatroz S. de R.L. de C.V.,
Mod Producciones S.L., Ikiru Films S.L. |
『ビューティフル』 (原題:BIUTIFUL)
〜死を目前にした男が見いだした“生きる意味”とは〜
(2010年 スペイン=メキシコ 2時間28分)
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
出演:ハビエル・バルデム、マリセル・アルバレス、エドゥアルド・フェルナンデス他
2011年6月25日〜TOHOシネマズシャンテ、ヒューマントラストシネマ渋谷、7月2日〜大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズなんば、シネ・リーブル神戸、TOHOシネマズ二条他全国順次ロードショー
公式サイト⇒
http://biutiful.jp/
※第63回カンヌ国際映画祭主演男優賞受賞作品
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アレハンドロ・アメナーバル監督の『海を飛ぶ夢』で尊厳死を選ぶ四肢麻痺の男性を熱演し、コーエン兄弟のアカデミー賞受賞作品『ノーカントリー』で冷徹な殺人鬼を圧倒的な存在感で演じきったスペイン随一の実力派俳優ハビエル・バルデム。彼が『バベル』のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督と描いたのは、死にゆく運命にある男の残された日々だ。舞台となるバルセロナの裏の顔をリアルに映し出しながら、家族の再生と「生きる」ことの意味を見いだす主人公の過酷な旅が見る者を熱くする。
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アジアやアフリカの不法移民が滞在し、酒、ドラッグ、搾取が日常的に行われているバルセロナ。闇取引で生計を立てているウスバル(ハビエル・バルデム)は、情緒不安定な妻マランブラ(マリセル・アルバレス)と別れ、二人の子どもを懸命に育てていた。ある日、自分が余命2か月の末期がんであることを知ったウスバルは、残された日々をもう一度家族で過ごしたいと再びマランブラと向き合う決意をするのだが・・・。
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本作を見て一番驚いたのは、我々がイメージする美しい街バルセロナとは一線を画した社会の底辺を生きる移民たちの裏社会が生々しく描かれていることだ。仕事を斡旋することで不法移民たちに信頼されているウスバルは、彼らの面倒を見る人道的な面もみせる。その一方で中途半端な親切がアダとなり多数の人命が失われ、死体が海に投棄される悲痛なエピソードは、実際に日々起こっている事件に根差した描写なのだ。裏社会で生きていくしかない人々の混沌とした日常は悲痛である一方で、命がけで稼ぎ、生きるたくましさを浮かび上がらせる。 |
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裏社会での顔を持つウスバルが、残された日々で一番大事にしたかったのは、家族で過ごす時間だ。ウスバルや家族のことを愛していながらも、自分の欲求を抑えることができない妻マランブラをアルゼンチン出身のマリセル・アルバレスが天真爛漫さとヒステリックさを織り交ぜながら魅力的に演じている。家族の再生を夢見たウスバルの願いは叶わなかったが、ほんの束の間でも家族で食卓を囲む時間は、ウスバルをはじめ全員の顔が最高に輝いていた。 |
誰にも言えない死の恐怖と闘いながら、その間際まで愛する子どもたちのために奔走し、裏社会で、家庭で精一杯生き抜いたウスバルを全身全霊で演じるハビエル・バルデムの姿は打ちのめされるほど美しい。子どもたちの胸に残した父親の記憶は、ウスバル自身がそうであるように、いつか父親の真実へといざなわれることだろう。アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督が、死を突き付けられた人間が過酷な日常の中から見いだす「生きる」意味とかすかに見える光を、力強く感動的に描き出した作品。観終わったあとにズシリと重い手ごたえが残ること間違いない。 |
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