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 『ぼくのエリ 200歳の少女』
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★ぼくのエリ 200歳の少女

(C)EFTI MMVIII (C)EFTI_Hoyte van Hoytema
『ぼくのエリ 200歳の少女』
〜どんなに近付いてもなお隔たりのある切なさ〜


(2008年 スウェーデン 1時間55分)
監督:トーマス・アルフレッドソン
出演:カーレ・ヘーデブラント,リーナ・レアンデション,ペール・ラグナル

2010年7月10日(土)〜銀座テアトルシネマ 他全国順次公開
8月21日(土)〜テアトル梅田、10月9日(土)〜京都シネマ

公式サイト⇒  http://www.bokueli.com/
 1982年,ストックホルム郊外。12歳の少年オスカーは,両親が離婚して母親に育てられているが,十分な愛情を注がれているようには見えない。学校でも独りぼっちで,イジメに遭っているが,反撃したくてもできない。そんなとき,少女の姿をしたエリがオスカーの隣家に引っ越してきた。彼女は,オスカーの心を見透かしたように「君の友達にはなれない」と言う。しかも,誕生日は知らないし,年齢は12歳くらいで,女の子じゃないと言う。

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 白夜や雪明かりのような,ほの暗さが感じられる明るさの中で,オスカーはエリに惹かれていく。数あるヴァンパイア映画の中でも,少年の恋心が瑞々しく,愁いを帯びた美しさに包まれて,異色の輝きを放っている。エリが生き血を求めて人間を襲うホラー風のシーンや,彼女がビルの壁を四つん這いになって駆け上がるコミカルなシーンもあるが,基調はラブストーリーだ。しかも,2人の将来が見えてくるような儚くて哀しいシーンもある。
 エリを庇護する父親のようなホーカン。2階の窓からエリとオスカーをじっと見ている。ロングで映されたその姿は小さくて寂しい。その後,自らの役割を終えたようにその命をエリに捧げる。彼はオスカーの将来の姿かも知れない。また,エリに咬まれて体に変調を来した女性ヴィクトリア。太陽の光を浴びると体が発火して灰になる。彼女は,異形の重荷に耐え切れず,死を選択する。それがエリの強靱さとそれに伴う痛々しさを増幅させる。

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 エリがオスカーにメモを残す。ここを去って生き延びるか,留まって死を迎えるか。その後の,オスカーが水の中からエリに救い出されるプールのシーンがいい。水の中のオスカーにとって外側は別世界で,そこで何が起こっているかは知らない。それでも,彼は第一歩を踏み出す。歳を取る人間と12歳のままのヴァンパイア。2人は互いに顔を合わせずにモールス信号で話をする。温もりは得られても,孤独からは逃れられない哀しみが漂う。
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