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★ビー・デビル

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『ビー・デビル』 (Bedevilled)
〜憐れボンナム、絶望の果ての狂気〜

(2010年 韓国 1時間55分)
監督:チャン・チョルス
出演:ソ・ヨンヒ、チ・ソンウォン

2011年3月26日よりシアターN渋谷にて公開
     4月9日(土)〜 シネマート心斎橋
(割引キャンペーンあり)
     4月23日(土)〜京都みなみ会館
公式サイト⇒ http://www.kingrecords.co.jp/bedevil/

 島民9人という絶海の孤島で起きた連続殺人事件。いつも被害者となる女性が殺人犯で、しかも実話をベースにしているというからなお恐い。日本映画の『冷たい熱帯魚』や韓国映画『悪魔を見た』も実話ベースで震撼させられたが、実際の事件の方がもっと残酷だったというから、つくづくこの世で一番恐いのは人間だと思い知らされた。

  本作の監督は、『魚と寝る女』や『悪い男』等で知られるキム・ギドク監督のもとで助監督を務めたチャン・チョルス。暗く陰惨になりがちな題材を、傍観者という犯罪を助長する立場を加えた三方面から事件と人間を捉え、殺人を犯すに至る心情を共感と説得力をもって見せてくれる。これほど殺人者に憐れみを感じさせる映画も珍しい。 それも主演女優ソ・ヨンヒの純朴な眼差しと演技力におうところは大きい。彼女は、『チェイサー』で幼子を残して無惨にも殺されるヘルス嬢の役が印象深い。今回主な女優が断り続けたこの役を自ら申し出て、虐待に堪え続けた挙げ句殺人を犯していく島の女を全身全霊で体現している。
 ソウルの銀行に勤めるヘウォン(チ・ソンウォン)は、思いやりや優しい気持ちに欠けるあまり失敗を重ね休職に追い込まれる。そこで、子供の頃過ごした島へと休養にやって来る。島では幼なじみのボンナム(ソ・ヨンヒ)が人なつっこい日焼けした顔で歓迎してくれ、子供の頃と同じように何かと世話をやいてくれる。しかし、ボンナムはこの小さな島から一歩も出ることを許されず、想像を絶する境遇で生き抜いてきたのだった。

 ボンナムは結婚して一人娘がいるが、子供の頃から年寄り連中からはこき使われ、島の男たちには慰み者にされ、夫からは暴力を振るわれ、常に蔑まれ、誰一人彼女に優しく接する者はいない。ソウルに住むヘウォンにも何度か手紙で救いを求めたが返事はなく、島にやって来ても全くの無関心。唯一の生き甲斐である娘でだけでも島から出そうとするが、それも阻まれ、ある事件が起こる。

 時々子供の頃の二人の様子が挿入される。ボンナムにとってヘウォンは子供の頃から憧れの友達で、ヘウォンに笛の吹き方を習ったことが唯一優しくされた思い出でもあったようだ。ボンナムはそんなヘウォンを身を挺して守ってきたが、ヘウォンはボンナムの苦況を傍観するのみだった。この連続殺人事件のキッカケは、ボンナムの絶望を目の当たりにしても、助けることなく傍観したヘウォンの非情さとも言えるだろう。殺人そのものよりも、ボンナムの憐れさが際立ち、見終えて涙が止まらなかった。また、いつも虐げられ犠牲者となる女性が、今回は殺人鬼と化して復讐していく様は、ある意味壮快でもあった。
  ストレス感じているあなた!ボンナムに会いに行って、鬱憤を晴らして下さい!

(河田 真喜子)ページトップへ
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