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★男たちの挽歌 A BETTER TOMORROW

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『男たちの挽歌 A BETTER TOMORROW』

(2010年 韓国 2時間03分監督)
監督:ソン・へソン
製作総指揮:ジョン・ウー
出演:チュ・ジンモ、ソン・スンホン、キム・ガンウ、チョ・ハンソン

2011年2月19日〜丸の内TOEI、新宿バルト9、他全国ロードショー
関西では、梅田ブルク7,なんばパークスシネマ、T−ジョイ京都、三宮シネフェニックス 他
公式サイト⇒ http://banka2011.com/top.html
 国の持つ映画力というものがある。かつて、アジア映画の中で傑出したパワーを誇ったのは香港映画だった。70年代に始まったブルース・リーのカンフー映画が一世を風靡した後、ジャッキー・チェンを経て1986年にチョウ・ユンファ主演で大ヒット、香港ノワールを世に知らしめたのが伝説の傑作「男たちの挽歌」である。主演は“亜州影帝(アジア映画王)”と呼ばれたチョウ・ユンファ。それまでのカンフーから一転、ユンファのガン・アクションがファンの度肝を抜いた。両手の拳銃を目の上に上げて乱射するスタイリッシュなガンプレイはその後のアクション映画に山ほど取り入れられた。男が惚れ惚れするほどかっこ良かった。
 今、アジア映画と言えば韓国。その“韓流パワー”の前にはさしもの香港映画も影が薄くなった感があるが、その象徴ともいえる「男たちの挽歌」を韓国で、しかも100億ウォンもの巨費を投じてリメイクというあたり、世代交代ならぬ国の交代といった勢いすら感じる。韓流パワー恐るべしである。



 兄ヒョク(チュ・ジンモ)と弟チョル(キム・ガンウ)は北朝鮮特殊部隊出身。ある日、兄が北朝鮮を脱出。生き別れになって数年後、兄は武器密輸組織の大物になっていたが、弟の行方はずっと気にかけていた。一方、「家族を捨てた」と兄を憎み続ける弟チョルは韓国でヒョクと再会する。歓喜する兄と心を閉ざしたままの弟。国境をはさんだ兄弟の抜き差しならない愛憎劇は香港以上に韓国映画の源流と言えるほどハマる。

 ヒョクには組織内に強い絆で結ばれた仲間ヨンチュン(ソン・スンホン)もいるのだが、ヒョクが「足を洗う決意」して最後の仕事に出かけたタイで警察に検挙される。もうひとりの組員テミンの裏切りだった。彼の無念を知ったヨンチュンはヒョクの救出にタイへ向かい、足に大けがを負う。3年後、ヒョクは刑務所を出所。その間にチョルは皮肉にも組織を追う警官になっていた。兄弟と兄の義兄弟、そして裏切り者の4者の運命が複雑に絡み合って怒涛の後半になだれ込む…。
 チョウ・ユンファのイメージがあまりにも鮮烈で、あの痛快さにはさしもの好調韓国映画も一歩譲ったようだ。だが、男たちの義理と人情を描いた香港版とは明らかに狙いが違い、いかにも韓国らしい熱い人間味が根底に流れていた。オリジナルのジョン・ウー監督が製作に名を連ねているが、オリジナルと同じものにはしたくなかったのではないか。

  兄弟のスタートが「脱北者」になっているあたりに“38度線”を抜きに語れない韓国が表れている。香港版の原題は「英雄本色」、韓国版は「無敵(籍)者」。原題だけでも両作品の違いは明らかなのである。
(安永 五郎)ページトップへ
   
             
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