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★アリス・クリードの失踪

(C) CINEMANX FILMS TWO LIMITED 2009
『アリス・クリードの失踪』
(THE DISAPPEARANCE OF ALICE CREED)
〜登場人物はたったの三人!予測不可のクライムサスペンス〜
(2009年 イギリス 1時間41分)
監督:J・ブレイクソン
出演:ジェマ・アータートン、エディ・マーサン、
    マーティン・コムストン

2011年6月11日〜ヒューマントラストシネマ渋谷、
6月18日〜シネ・リーブル梅田、7月2日〜京都シネマ、7月〜シネリーブル神戸他全国順次ロードショー
公式サイト⇒  http://www.alice-sissou.jp/
 こんなサスペンスを待っていた!と観終って思わずニヤリとしてしまうぐらい、緊迫した中で二転三転するストーリーに最後まで釘づけだった。本作が長編デビュー作となるイギリスの新鋭、J・ブレイクソン監督は、登場人物が三人というミニマムな状況でヒリヒリするようなクライムサスペンスを作り上げた。
 冒頭から犯罪の準備を進める二人組、ヴィック(エディ・マーサン)とダニー(マーティン・コムストン)の仕事ぶりがテンポ良く描かれ、あっという間にターゲットの娘アリス(ジェマ・アータートン)を誘拐、監禁する鮮やかな手口は隙ひとつない鮮やかさだ。プロの仕事に徹する首謀者のヴィックと刑務所仲間で相棒のダニーの二人の力関係を映し出しながら、監禁部屋での密室劇が思わぬ展開を見せていく。
 ダニーと人質アリスの関係、そしてヴィックとダニーの本当の関係など、様々なサプライズを交えながら三人の力関係が微妙な、時には一瞬にして劇的に変化するスリル感が本作の一番の醍醐味だ。絶体絶命でも諦めないタフなアリスが、人質でありながら犯人の弱みを握る興味深いキャラクターに変貌し、完全犯罪を達成するかのように見えたヴィックとダニーに裏切りや嘘が見え隠れする。犯人と被害者の枠を超えた緊迫した心理戦を演じる主役三人の気迫の演技が素晴らしい。
 クライマックスの身代金奪取のシーンでは、密室の閉塞感から一転し、森の中で逃走劇のような解放感をみせる。人質アリスの運命、そして身代金の行方、それら全てが明らかになるまで生死をかけた騙し合いは続くのだから、観る側も最後まで本当に気が抜けない。
 シンプルでスタイリッシュな映像の中で、登場人物それぞれの性格や内面をしっかり浮かび上がらせ、犯罪者側と被害者側の人間の心理を描き出したどこか懐かしくて新しいサスペンス。デビュー作からうれしい衝撃をもたらしたJ・ブレイクソン監督の今後の活躍にも期待したい。
(江口 由美)ページトップへ
   
             
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