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★アジョシ
『アジョシ』 (The Man from Nowhere )
〜ウォンビンが魅せる!
       哀しみを背負った男の悲痛なる闘い〜

(2010年、韓国、1時間59分)
監督:イ・ジョンボム
出演:ウォンビン、キム・セロン、キム・ヒウォン、ソン・ヨンチャン、
    キム・テフン、タナヨン・グウォングトラクル

2011年9月17日〜丸の内TOEI 2ほか全国ロードショー
・ウォンビン来日記者会見⇒ こちら
・公式サイト⇒
  http://www.ajussi2011.jp/
(C) CJ ENTERTAINMENT INC & UNITED PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED
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 アクションはスピードとキレがすべて。古くは勝新「座頭市」の目にも止まらぬ“居合い斬り”、ブルース・リーの一撃で倒すカンフー技、最近では「トランスポーター」などのジェイソン・ステイサムが群を抜く。カンフー王国・香港も顔負けの韓国アクションを見た。新ヒーローはウォンビン。今どき、CG処理でスゴ技が簡単に出来そうだが、人の動きはごまかせない。このウォンビンもスタントなしで演じ切ったという。 世捨て人のように暮らす男が、無垢な少女と心を通わせる。「アジョシ(おじさん)」と慕ってくれる少女が誘拐され“世捨て人”の秘めた能力がサク裂する。ウォンビンのサク裂ぶりがもの凄い。
 過去の痛恨事件で愛する妻・夢・希望を失い、今は都会の片隅で質屋を営む青年テシク(ウォンビン)。孤独な少女ソミ(キム・セロン『冬の小鳥』)との交流と言える程もないかかわり。少女は母親に愛されず“ゴミ箱”と呼ばれ、万引きもする。テシクは邪険に扱いながらもソミに自分と同じ匂いを感じた。母親が麻薬密売組織のいざこざに巻き込まれ、ソミも誘拐される。その場に居合わせたテシクも巻き込まれ、救出するために命を賭ける…。

 リュック・ベッソンの『レオン』がベースにあるようだが、ウォンビンと少女のつながりはジャン・レノとナタリー・ポートマンのそれとは違い、世間から疎まれ孤独に生きる二人の心の奥底に近いものがある。

 昨年の韓国No.1ヒット。前作「母なる証明」で演技を高く評価されたウォンビンは、イ・ビョンホンやチョン・ウソンやチャン・ドンゴンらを超えた存在になったのではないか。テシクは国の特殊工作員で格闘技の実力はハンパじゃない。彼のあり得ないほどの素早さは勝新座頭市、ブルース・リー級。それだけで十分アクション映画として成立する。敵は麻薬密売組織から臓器売買、児童売買組織まで様々な犯罪集団を相手に戦う。マット・デイモンの当たり役ボーンシリーズを彷彿させるキャラもウォンビンにぴったり似合う。
 尋常じゃないこれほどの強さがありながら、隠遁生活などする訳がない、とも思うが、過去の事件でそれほどダメージを受けた、と解釈できる。「ランボー」第1作で町に帰ったスタローンが警官ともめたことから町の全警察組織を壊滅させてしまったように、1人の凄腕特殊工作員の実力は1個部隊にも匹敵する。米国同様、韓国にもそのリアリティーがある。
 テシクが次々と犯罪組織を叩きつぶす姿は壮快だが、常に憂いをおびたウォンビンの眼差しには、かつて愛する者を守りきれなかった男の慚愧に堪えない悲痛さが滲み出て、胸を打つ。テシクの心情に寄り添うような叙情的な音楽もまたいい。作り手の本気が画面からひしひしと伝わってくる映画だ。
(安永 五郎)ページトップへ
   
             
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