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ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル

(C) 2010 by PARAMOUNT PICTURES. All Rights Reserved.
『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』
〜架空任務ハントが受け継ぐ“無償の正義”〜

(2011年、アメリカ、2時間10分)
監督:ブラッド・バード
出演:トム・クルーズ、ジェレミー・レナー、サイモン・ペッグ、ポーラ・パットン、ミカエル・ニクヴィスト、ウラジミール・マシコフ、ジョシュ・ホロウェイ、アニル・カプール、レア・セドゥー

12/16(金)〜全国拡大ロードショー
公式サイト⇒ http://www.mi-gp.jp/
 トム・クルーズの大ヒットシリーズ、5年ぶり第4作。興収100億円を狙える正月一番の話題作。トムの体を張ったアクションに感服する。これが今年49歳、男の限界ギリギリ。まったくよおやる。トム演じるイーサン・ハントのアクション、肉体の動きが「映画の原点」、と改めて分かる痛快編。映画はリュミエール兄弟の昔から動く絵、とりわけ人間の動きに魅せられてきた。音もないのにコミカルに動くチャップリンやバスター・キートン、アクションのダグラス・フェアバンクス、日本ではチャンバラの尾上松之助。ずっと後の勝新・座頭市、カンフーのブルース・リーしかり…。
 21世紀になっても原点(アクション)の魅力は変わらない。60年代に登場した英国スパイ、ジェームズ・ボンドは今も主役を変えて一線で活躍中だが、MI(ミッション・インポッシブル)は派手さとスケールでボンドを超えている。元は外国テレビドラマ「スパイ大作戦」。団塊世代にはテーマ曲だけで胸踊るのだが、もちろん映画のスケールはケタ違い。
 ボンドは英国MI6、つまり女王陛下の諜報員、ハントも米国の秘密諜報機関IMFなのだが、今作では「大統領のゴースト・プロトコル(架空任務)」のため、組織が国から切り離されて機能停止に、それどころかテロリストとして国から追われる羽目になる。核爆発の危機を救うのはハントのチーム4人だけという過酷な状況に置かれ、彼の身体能力が一段と引き立つ。
 スパイアクションの敵役は今や右も左もなく、宗教でもない、金目当てのテロリスト。これが一番分かりやすい。核の発射コード情報をセクシーな殺し屋に奪われたことから、ハントたちのミッションが始まる。ハントは収容されていたモスクワの刑務所を脱獄し、発射コードを受け取ったコードネーム「コバルト」なる男を追ってクレムリンに潜入する。だが、敵は爆破という手段に出て、ハントたちがテロリストとして追われることになる。
 工夫を凝らした物語に驚くMIシリーズだが、第4作はこの「架空任務」が特徴。これによりハントたちは国家の諜報員ではなくなり、一匹(4匹)狼のただの“正義漢”になってしまう。それでも彼らが追う核爆発の危機は残り、ハントたちは国家のためでなく、金や名誉のためでもなく、自らの信念(正義感か習性か)で世界の危機を救うために力を尽くす…。
 スパイアクションの動機が純化されたのがこの映画。007を喜んで見ていた時代から「ボンドはなぜあんなに命をかけて働くのか」と疑問だったが、このハントが答えだった…。
 今回、ハントのチームにはいわくのありげな新入りブラント(ジェレミー・レナー)や、凄腕美人エージェント(ポーラ・バットン)のドラマもあるが、全員が汚名返上のためにサポートやバックアップのないミッションに打ち込んでいく。

 ハリウッドの伝統でもあるアクション映画のヒーロー。その原型を「真昼の決闘」(52年)のゲイリー・クーパーに見た。保安官の彼が逮捕した凶悪犯が死刑にならず、釈放されて町に帰ってくる。保安官が美女グレイス・ケリーと結婚したその日=保安官最後の日、町を出ればおしまい、なのに、クーパーは新妻の願いも聞かず町に残る。「なぜ?」と聞かれて彼は「自分でも分からない」と答え、たった一人で4人の敵を迎え撃つ。

  昔からヒーローはなぜだか分からない“正義”を信じて戦った。それはジョン・ウェインやスティーヴ・マックイーン、最近ではクリント・イーストウッドが引き継いできた。今“アメリカの正義”への信頼は大きく揺らいでいるが、ハントの“無償の正義”が少しでも取り戻そうとしているのかも知れない。

(安永 五郎)ページトップへ
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