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★スリーデイズ

(C) 2010 Lions Gate Films Inc. All Rights Reserved.
『スリーデイズ』 (THE NEXT THREE DAYS )
〜家族との平穏な生活を取り戻せるのか?〜

(2010年 アメリカ 2時間14分)
監督・脚本:ポール・ハギス
出演:ラッセル・クロウ,エリザベス・バンクス,
    ブライアン・デネヒー,レニー・ジェームズ,
    オリヴィア・ワイルド,タイ・シンプキンス,
    リーアム・ニーソン

2011年9月23日〜丸の内ルーブル、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、OSシネマズミント神戸 ほか全国ロードショー
公式サイト⇒  http://threedays.gaga.ne.jp/

 2008年製作で2010年日本公開のフランス映画「すべて彼女のために」のリメイクだ。大筋はオリジナルのままで,サスペンスとアクションが豪華になっている。ポール・ハギスは,ラブストーリーが中心となったサスペンス映画を撮りたいと思っていたそうだ。題名のとおり最後の3日間がクライマックスで,最高潮に達したサスペンスを持続させる手腕は相当なものだ。その一方で,ラブストーリーの方は背後に退いてしまった印象を受ける。
 ジョンは,妻ララと息子マークの3人で幸せな毎日を送っており,それがずっと続くと思っていた。ところが,ある朝突然,ララが職場の上司を殺害した容疑で逮捕される。無実の可能性は示されるが,その確信が得られないままストーリーは進んでいく。ジョンは,弁護士から有罪の根拠を示され「ララを救い出す道はない」と断言される。だが,彼は,ララの無実を確信し,刑務所に収容された彼女を奪還しようと周到な準備を重ねていく。
 ララは,妻より母の側面に重点を置いた描き方をされている。刑務所での面会シーンでは,夫より息子を気遣っていることが明らかだ。それが後半の逃走劇の中でのララの奇妙な行動に説得力をもたらすことになる。息子への思いが高じて,狂気に取り憑かれたように発作的な行動に出てしまうのだ。だが,その反面,夫婦の絆が見えにくくなり,ジョンが夫婦より家族を守ろうとしたという印象が強まり,ラブストーリーの要素が薄くなった。
 ジョンは,パスポートの偽造を依頼した相手から「必死すぎる,きっとしくじる」と言われるが,それでも行動に出る決意を固める。それを察知した父親との別れのシーンが意外とウエットな感覚で描かれていた。また,ジョンを追跡する刑事の明晰さがサスペンスを盛り上げている。しかも,その合理的で素早い判断がジョンの逃走を助けてしまう。これ以外にも,ララの無実を示すボタンの扱いなど,ちょっとシニカルな世界観が垣間見える。
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