「AI」と一致するもの

 

2001年に始まり、毎年春の恒例イベントとして今年で24回目の開催となる

「イタリア映画祭2024」の開催が決定いたしました。あわせて上映作品のラインナップを発表いたします。

 

イタリア映画祭2024_ポスター.jpg

今年も例年どおり、東京会場は有楽町朝日ホール大阪会場はABCホールの2拠点での開催となる。東京では日本未公開新作13本と旧作1本の計14本、大阪では新作7本が上映予定。アカデミー賞®国際長編映画賞ノミネート作品やヴェネチア国際映画祭コンペティション部門出品作、『オッペンハイマー』などハリウッド超大作を押さえてイタリア国内で大ヒットとなった超話題作など、最新のイタリア映画界を盛り上げるバラエティーに富んだ作品が取り揃えられている。


注目の作品は、『ゴモラ』(08)、『ドッグマン』(18)のマッテオ・ガッローネの最新作『僕はキャプテン』。ふたりのセネガル人青年が貧困から逃れるためにヨーロッパを目指して砂漠や地中海を超えて旅をする壮大な物語で、昨年の第80回ヴェネチア国際映画際で銀獅子賞(最優秀監督賞)を受賞、さらにアカデミー賞®国際長編映画賞ノミネートも果たした注目作。さらに、戦後イタリアの家父長制度や女性の権利をテーマに描き、国内で2023年No.1の初週興行成績を叩きだし、歴代のイタリア映画興行収入トップ10に入った超話題作『まだ明日がある』や、第2次世界大戦時に英雄として称えられた潜水艦艦長の実話を基にした人間ドラマで、第80回ヴェネチア国際映画祭でオープニングを飾った『潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断』など、どれも見逃せない作品ばかり。


さらに戦後イタリア映画を牽引し、数々の傑作を放ってきた巨匠監督パオロ・タヴィアーニが2月29日に92歳で逝去したことを追悼し、兄ヴォットリオ・タヴィアーニと共に監督を務めた『父 パードレ・パドローネ』(1977)の上映も決定。第30回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した永遠の名作がデジタルリマスターで蘇る。


今回の上映作品14本中5本が女性監督作品、また4本は俳優監督の作品となっており、イタリア映画界が新しい才能で活気づいている様子が見て取れるラインナップとなっている。巨匠から若手まで、多種多様な14作品が一堂に会し、最新のイタリア映画の今を映画で垣間見ることのできる貴重な機会となっている。
 


東京会場

会期: 5月1日(水)~5月6日(月・祝)

会場:有楽町朝日ホール(東京都千代田区有楽町2-5-1 有楽町マリオン11階)

主催:朝日新聞社、イタリア文化会館、チネチッタ/特別後援:イタリア共和国大統領/後援:イタリア大使館 

 

※チケットは4月6日(土)12:00からあさチケ(https://l-tike.com/st1/asahi-id-top-29)にて発売。

(システムの都合上、座席を選択して購入ができるのは、4月7日(日) 0:00からになります。)

<前売券(オンライン)>1回券:一般1,500円/学生1,200円

<当日券(オンライン)>1回券:一般1,900円/学生1,600円

<当日券(会場販売)>1回券:一般2,200円/学生1,900円

 

大阪会場

会期5月18日(土)5月19日(日)

会場:ABCホール(大阪府大阪市福島区福島1-1-30)

※チケットは4月13日(土)12:00からあさチケ(https://l-tike.com/st1/asahi-id-top-29)にて発売。

主催:朝日新聞社、イタリア文化会館-大阪、チネチッタ 特別後援:イタリア共和国大統領/後援:イタリア大使館、イタリア領事館

(システムの都合上、座席を選択して購入ができるのは、4月14日(日) 0:00からになります。)

<前売券>1回券:一般1,400円/学生1,100円

<当日券>1回券:一般1,800円/学生1,500円

 

イタリア映画祭2024 公式サイト https://www.asahi.com/italia/2024/ 
           公式twitter:@italianfilmfes


上映作品ラインナップ▼

A.『人生の最初の日』2023)121分

監督:パオロ・ジェノヴェーゼ

出演:トニ・セルヴィッロ、ヴァレリオ・マスタンドレア、マルゲリータ・ブイ

itarian2024A.人生の最初の日.jpg

世界20カ国以上でリメイクされた『おとなの事情』をはじめ、ストーリーテリングの巧みさには定評があるジェノヴェーゼ監督の新作は、人生に絶望した人々が再生できるかを問いかけるドラマで、セルヴィッロ、マスタンドレア、ブイら超豪華キャストが集結。1人の男と2人の女、そして1人の少年。年齢も経験も異なる4人がどん底に突き落とされたまさにその時、自分たちがいない世界はどうなるかを知ることができる1週間の時間を与えてくれる謎めいた男に出会う。
 


B.『アモーレの最後の夜』(2023)124分

監督:アンドレア・ディ・ステファノ
出演:ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、リンダ・カリーディ

itarian2024B.アモーレの最後の夜.jpg

俳優としても活躍するディ・ステファノの監督3作目は、イタリア映画界を代表する俳優の一人であるファヴィーノを主演に迎えたクライムサスペンスで、ベルリン国際映画祭特別部門でプレミア上映された。35年間のキャリアの中で、銃を撃ったことは一度もなく、実直な警察官のフランコ・アモーレは、定年退職を翌日に控えていた。祝福するために妻や同僚、友人、親戚などが集うパーティーが開かれる。めでたい夜になるはずが、彼の人生において最も長く、困難な夜が訪れることになる。
 


C.『美しい夏』(2023)110分

監督:ラウラ・ルケッティ
出演:イーレ・ヤラ・ヴィアネッロ、デヴァ・カッセル

itarian2024C.美しい夏.jpg

イタリア文学界を代表するストレーガ賞を受賞したチェーザレ・パヴェーゼの小説をラウラ・ルケッティ監督が映画化した長編2作目で、第2次世界大戦が始まる直前の2人の女性をめぐる青春物語。1938年、田舎からトリノに引っ越してきて洋裁店で働くジーニアは、年上でモデルのアメリアと運命的な出会いを果たす。官能的なアメリアに導かれてめくるめく芸術家の世界に分け入るジーニアは、新しい自分を見いだしていく。ロカルノ国際映画祭のピアッツァ・グランデ部門でプレミア上映。
 


D. 『僕はキャプテン』(2023)121分

監督:マッテオ・ガッローネ
出演:セイドゥ・サール、 ムスタファ・ファル

itarian2024D.僕はキャプテン.jpg

巨匠ガッローネ(『ゴモラ』)が放つ渾身の一作は、セネガルの青年2人がアフリカを縦断し、ヨーロッパを目指す壮大な旅の物語。セイドゥとムッサは、豊かな生活を求めて親族に知られることなく、ダカールを離れる。しかし、彼らを待ち受けていたのは想像を超える数々の困難だった。いわば現代版オデュッセイアの本作は、ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)やマルチェッロ・マストロヤンニ賞(若手俳優賞)などを受賞、アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされた。
 


 

E. 『ルボ』Lubo (2023)180分

監督:ジョルジョ・ディリッティ
出演:フランツ・ロゴフスキ、クリストフ・セルメ、ヴァレンティーナ・ベッレ

itarian2024E.ルボ.jpg

ディリッティ(『やがて来たる者へ』)の長編5作目は、第2次世界大戦下のスイスで移動型生活集団のイェニッシュを襲った悲劇をベースに創作された大作。1939年、大道芸人のルボはドイツ軍の侵攻を防ぐため、スイス軍に招集される。その直後、優生学の原理に基づく国家の再教育プログラムの一環として3人の子供は連れ去られ、それを止めようとした妻は殺されてしまう。主演は、国際的な活躍がめざましいドイツのフランツ・ロゴフスキ。ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門出品。
 


F. 『そう言ったでしょ』(2023)100分

監督:ジネヴラ・エルカン
出演:ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ、ヴァレリア・ゴリーノ、アルバ・ロルヴァケル

itarian2024F.そう言ったでしょ.jpg

豪華キャストを迎えたエルカンの長編2作目は、異常気象で冬に50度に達するローマを舞台に、様々な問題を抱える人々を描くディストピア的群像劇。わずかなファンにしがみつく元ポルノスターと彼女に夫を寝取られた妻。元ヘロイン中毒の神父とアメリカから亡き母の遺灰を持ってやって来るその妹。アルコール中毒と闘いながら幼い息子の親権を取り戻そうと必死な女性とその元恋人。世界が終末に向かっていくような中で、人々は避けてきた個々の問題に向き合わざるをえなくなる。
 


G. 『あなたのために生まれてきた』(2023)113分

監督:ファビオ・モッロ
出演:ピエルルイージ・ジガンテ、テレーザ・サポナンジェロ

 

itarian2024G.あなたのために生まれてきた.jpg

実話を基に同性愛者が親権を得るために闘う姿を描くモッロの監督5作目は、現在における家族の形を問いかける心温まるドラマ。カトリック教徒で情熱的なルカは、障害者施設でボランティアをしているゲイのナポリ人。子供を迎えいれて、パートナーと共に親になることを望むルカだが、ゲイの独身者やカップルには養子縁組は認められていなかった。生まれて間もなく病院に置き去りにされたダウン症児アルバの親になるために、ルカは奮闘する。

 


H. 『まだ明日がある』(2023)113分

監督:パオラ・コルテッレージ
出演:パオラ・コルテッレージ、 ヴァレリオ・マスタンドレア

itarian2024H.まだ明日がある.jpg

人気コメディエンヌのコルテッレージが監督業に初挑戦。取りあげたテーマは、家庭内虐待と女性の権利で、戦後のローマで夫からの虐待に苦しむ主婦を本人が演じている。デリアは、イヴァーノの妻で3児の母。イヴァーノは、時には辛辣な言葉で、時には暴力で一家の大黒柱が誰なのかを皆に思い知らせていた。娘の幸せだけを願っていたデリアに謎めいた手紙が届き、彼女の人生が変わる。本国ではハリウッドの大作を押しのけて、2023年の興行収入ランキングのトップに立つ大ヒットを記録した。
 


I 『ヴォラーレ』 (2023)100分

監督:マルゲリータ・ブイ
出演:マルゲリータ・ブイ、アンナ・ボナユート

itarian2024I.ヴォラーレ.jpg

イタリアの大女優マルゲリータ・ブイが監督デビュー。主演も兼ねて、自身の公私を色濃く反映したコメディーを作り上げた。韓国行きの飛行機にさえ乗れれば、国際的な成功も夢ではないスター俳優のアンナビーだが、致命的な弱点があった。それは、飛行機恐怖症。娘も海外留学を決意。そこで、航空会社が運営する恐怖症を克服するための特別レッスンに申し込む。レッスンで出会ったのは、問題は共有するけれども、経歴も年齢も様々な人々。はたして彼女は恐怖を克服できるのだろうか?
 


J.『信頼』(2024)136分

監督:ダニエーレ・ルケッティ
出演:エリオ・ジェルマーノ、ピラル・フォリアーティ、ヴィットリア・プッチーニ

itarian2024J.信頼.jpg

ダニエーレ・ルケッティ監督は、『靴ひものロンド』に続いて重鎮ドメニコ・スタルノーネのベストセラー小説から、スリリングな心理ドラマを仕立てた。教え子たちから慕われる高校教師ピエトロは、かつての教え子テレーザとの間に愛を見出す。彼女の提案で、互いの知られざる秘密を打ち明けようと提案する。その秘密とは、公になればその人の人生が壊れてしまうような衝撃的な秘密だった。主演は、ルケッティ作品に4度目の出演となるジェルマーノ。音楽はレディオヘッドのトム・ヨーク。
 


K.『グローリア!』(2024)106分

監督:マルゲリータ・ヴィカーリオ
出演:ガラテーア・ベッルージ、カルロッタ・ガンバ

itarian2024K.グローリア!.jpg

シンガーソングライターで女優でもあるヴィカーリオの初監督作は、歴史に埋もれた無数の女性音楽家を頌える、ポップで躍動感あふれるミュージカルドラマ。時は1800年、ヴェネチア近郊の孤児院。無口で孤独なメイドのテレーザが、音楽によって現実を作り変えることができる非凡な才能の持ち主ということは、誰も知る由もなかった。新教皇の訪問に際し音楽会が開かれることになったことから、その才能が開花する。ベルリン国際映画祭コンペティション部門に選出された。
 


L.『別の世界』(2024)114分

監督:リッカルド・ミラーニ
出演:アントニオ・アルバネーゼ、ヴィルジニア・ラッファエーレ

itarian2024L.別の世界.jpg

イタリア喜劇を牽引するヒットメーカー、ミラーニ監督が最新作で主演に迎えたのは、『環状線の猫のように』などでおなじみのアルバネーゼ。これで5度目となる息の合ったタッグが、都会と田舎のギャップで笑いを誘う。長年ローマで小学校教師を務めてきたミケーレは、大都会での暮らしに嫌気が差していた。希望が叶い、新たに赴任することになったのはアブルッツォ州の小さな村。ローマからそれほど離れていないのに、雪が降りしきる極寒のその地は全くの別世界で、日々の生活に悪戦苦闘する。
 


[オープニング作品]

X. 『潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断』(2023)122分

監督:エドアルド・デ・アンジェリス
出演:ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、マッシミリアーノ・ロッシ

itarian2024X.潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断.jpg

2023年ヴェネチア国際映画祭オープニング作品。1940年10月、イタリア海軍の潜水艦長サルヴァトーレ・トーダロは大西洋を航行中、撃沈させたベルギーの武装商船の乗組員たちを救助し、最寄りの安全な港まで運んでいく決断を下す。艦内に彼らのスペースを割くために、彼は敵軍から見える水面を3日間航行することを余儀なくされ、自分と部下の命を危険にさらすことに―。実話を基に製作。2024年夏全国公開予定。
 


[特別上映]

Y. 『父 パードレ・パドローネ』(1977)114分

監督:パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ
出演:オメロ・アントヌッティ、サヴェリオ・マルコーニ

itarian2024Y.父 パードレ・パドローネ.jpg

羊飼いから後に言語学者になったガヴィーノ・レッダの自伝をタヴィアーニ兄弟が映画化。監督の代表作の一つであり、カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した。舞台は、封建的な家父長制の残る1940年代のサルデーニャ島。羊飼いのエフィシオは息子のガヴィーノが通う小学校に押しかけ、授業を放り出させ、牧草地で牛の世話をさせる。文盲でサルデーニャ語の知識しかないガヴィーノは、やがて厳しい生活から自分を解放するための探求に乗り出す。デジタルリストア版で上映。
 


《イタリア映画祭2024》

東京会場/5月1日(水)より有楽町朝日ホールにて開催

大阪会場/5月18日(土)よりABCホールにて開催


(オフィシャル・リリースより)

Gozen10jinoEigasai-logo-550.jpg


 


【日時】4月10日(水) イベント/18:30~ ※上映前

【場所】グランドシネマサンシャイン 池袋 シアター3
   (豊島区東池袋一丁目30番3号 グランドスケープ池袋) 

【登壇者】戸田奈津子氏(字幕翻訳者・「午前十時の映画祭」作品選定委員)



<また見たい名作><ずっと気になっていた名作><知らなかった名作>を劇場の大スクリーンで鑑賞できる「午前十時の映画祭14」(主催:川喜多記念映画文化財団、映画演劇文化協会)が4月5日(金)より開催中です。14回目を迎える今年のオープニングは、昨年シリーズ最新作『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』が話題となったインディ・ジョーンズの3作品。新たな上映作品19本(外国映画15本、日本映画4本)、再上映作品8本の全27本を全国65劇場で約1年にわたって順次上映していきます。


Gozen10jinoEigasai-魔宮の伝説-550.jpgこの度、「午前十時の映画祭14」がグランドシネマサンシャイン 池袋で開催されることを記念して、4月10日(水)に戸田奈津子さんトークイベント付き『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』特別先行上映を実施いたしました。本作の字幕翻訳を務め、また「午前十時の映画祭14」作品選定委員でもある戸田奈津子さんに、公開当時のエピソードやハリソン・フォード、スティーヴン・スピルバーグ、ジョージ・ルーカスとの交流秘話、そして「午前十時の映画祭14」にかける思いなどを語っていただきました。
 


Gozen10jinoEigasai-toda-500-1.jpg


字幕翻訳の第一人者として知られる戸田奈津子さんは、これまで約1500本もの外国映画の字幕を手がけ、トム・クルーズ、ロバート・デ・ニーロなどをはじめとする数々のハリウッドスターからご指名で来日時の通訳者としても活躍されてきました。ハリソン・フォードとは1978年の『スター・ウォーズ』来日キャンペーンでの通訳での出会いからの付き合いで、当時は全くの無名だったといいます。1991年にはロサンゼルスのハリソン・フォードのご自宅に招かれるなど、公私ともにお付き合いがある戸田奈津子さんならではの貴重なお話が次々と飛び出しました。


Gozen10jinoEigasai-戸田さんハリソンさん-240.jpgグランドシネマサンシャイン 池袋にて開催中の「午前十時の映画祭14」の上映作品となる『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』は、ジョージ・ルーカス原案、スティーヴン・スピルバーグ監督、ハリソン・フォード主演のアクション・アドベンチャー『インディ・ジョーンズ』シリーズの第2弾作品。「(1984年の作品なので)数えれば40年前なんですよ。(第1弾の)『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』はわたしが字幕屋として成り立つ前の作品なので先輩が担当したんで、わたしがこのシリーズを手掛けたのはこの作品からですが、まさかこのあと5作目までやるなんて夢にも思いませんでした。ここまで愛されるシリーズを担当させていただいて、冥利に尽きると思っています」としみじみ。


字幕翻訳だけでなく、ルーカス、スピルバーグ、ハリソンが映画のプロモーションで来日した際には、幾度となく通訳も担当してきたということもあり、彼らとは親しい付き合いをしてきた。「この3人は本当に仲がよくて。3人が東京で落ち合う機会があって。わたしもその場に居合わせたんですが、“friend”よりも親しい友だちに使う“pal”という言葉の「ハロー、パル!」と言いながら3人でハグをしているのを見て。やはりあれだけの映画を撮ってきたので仲も良くなるんでしょうね。その中でも一番長くお付き合いしたのがハリソンです」と切り出した戸田は、ハリソン・フォードの人柄について「彼はとても苦労した人で20代の時は無名なアクターだった。それがルーカスに見出され、『スター・ウォーズ』に出ることになって。それで日本に宣伝に来たのですが、まだ日本では公開されてないから誰も知らないわけ。Tシャツにジーパンというラフな格好で目立たない。公開された後はすごいことになりましたが。わたしもいろいろな俳優にお会いしてますけど、無名なところからビッグになった過程を見ることができたトップはハリソンです。ただ彼はスター扱いされるのを嫌がって。自分自身ではアクターとは言わずに、ストーリーテラーだというのが彼の口癖。本当に謙虚な役者だと思いました」。


Gozen10jinoEigasai-toda-240-2.jpgさらにスティーヴン・スピルバーグについても「彼は今でこそ白髪になっているけど、彼はハートが子どもなんです。彼のオフィスには書類なんてなくて、ゲームマシーンやピアノが置いてあって。そして犬が走り回っている。そこに子役の子どもたちがいて、『スティーヴン、あそぼ!』と言ってくるのね。あれほどの人なのに、彼は一緒になって子どもたちと遊んでるの。こういう気持ちを持っているから『E.T.』みたいな映画がつくれるんだなと思いました。彼の頭の中は映画のことでいっぱいで。スポーツとか政治の話をしているのは聞いた事がない。だからこそお客さんの心をつかむ映画ができるんでしょうね。いつ会っても気持ちのいい方です」とその人柄を解説。


そしてジョージ・ルーカスについても「(戸田の字幕翻訳家デビュー作となった『地獄の黙示録』に指名してくれたということもあり)コッポラ監督はわたしにとっても大恩人ですが、彼がパーティに招待してくれて、そこにルーカスが来るというので、どんな方なのかしらと思っていたのですが、なかなか来ない。そろそろ宴もたけなわというところで、コソコソと来たのがルーカス。彼はちょっとだけ話して帰ってしまいました、本当にシャイで。いつも目を伏せていて、相手の目を見ないくらいシャイな人。でも何度も日本に来ていて、付き合いが深くなると、口を開くようになり、面白いジョークを言ってくれるようになる。『スター・ウォーズ』を見ても分かるけど、アイデアは本当にすごいでしょ。そんな彼がスティーヴンと協力してつくりあげたのがこのシリーズというわけです」と説明した。


Gozen10jinoEigasai-toda-240.jpgそしてそんな3人について「この3人はそれぞれ人柄も違うし、暮らしも違う。でも映画が好きというのは共通しています。やはりハリウッドで生き残る人は本当に映画が好きでないといけないし、やはり人間的魅力がないと駄目だと思います」と指摘した戸田。さらに「わたしも映画好きというところがスタートラインですから。それをまっとうできたということはうれしいですし、今日みたいに40年経った映画を皆さんが観に来てくださることはとてもうれしいこと」としみじみと付け加えた。


そして最後にグランドシネマサンシャイン 池袋でもいよいよ始まった「午前十時の映画祭14」について、「わたしはずっと選考委員をしていますけど、本当に昔の映画はいい映画が多いんですよ。その中から選りすぐった作品を上映していますので、どの作品を観ても損はありません。本当に観て良かったと思う作品ばかり。それは断言できます。今後もぜひとも見続けていただきたいと思います」と観客に呼びかけた。


全スクリーンが4K対応のグランドシネマサンシャイン 池袋で「午前十時の映画祭14」は絶賛開催中!


(オフィシャル・レポートより)

 

theater-4Fロビー-550.jpg

この度、4 月 19 日(金)にシネ・リーブル梅田が劇場名称を〈テアトル梅田〉に変更し、“新生”〈テアトル梅田〉として新たに生まれ変わります。映画館を「ただ映画を観るだけの場所」から「映画・アートを感じながらゆっくり心地よい時間が過ごせる場所」を目指し、お客様が心地よく過ごせるスペースとなるよう様々な新たな試みを始めます。

4F ロビーに新たにコンセッションとしてカフェをオープン。映画と映画の間の時間、幕間〈まくあい〉から名付けられた“MAKUAI CAFE”は、ラテアートの世界大会「2016 Coffee Fest Latte Art World Championship」チャンピオンであるトップバリスタ監修のラテやプレッツェル、デニッシュなどをご用意。幕間の待ち時間や映画鑑賞後にほっと一息つける空間になっております。

また、4F ロビーに新たに登場した大型モニタースペースは、“シアター・イン・シアター”として映画の待ち時間を素敵に過ごせる場所となるよう予告編などの上映だけでなく、地元のクリエイターの作品を上映。作家と観客のあらたな接点となるスペースをご提供します。今回のリニューアルオープンを記念して、4 月 19 日~6 月 30 日(予定)にはショート映画専門の配信プラットフォーム”SAMANSA”とコラボレーションが実現!SAMANSA で配信中のハイクオリティな短編作品のなかから、選りすぐりの作品をシアター・イン・シアターにて特別上映いたします。

さらに“新生”テアトル梅田の誕生を記念して、特集上映も開催!旧テアトル梅田の閉館時に開催した特集企画「テアトル梅田を彩った映画たち」でも特に人気の高かった作品に加え、閉館時上映できなかった作品も加えて 8 作品を「テアトル梅田 レトロスペクティブ」として上映します。

そして、テアトルシネマグループが「過去愛されたものを新しい価値で」をコンセプトに取り組んでいる廃棄スクリーン再生活用プロジェクト「SCRE:EN」から新商品として“THEATRE UMEDA シリーズ”をリリース。旧テアトル梅田のスクリーン生地を使用した3種類の商品が発売されます。また、特別デザインの TCG メンバーズカード、大阪の映画ファンを楽しませてきた映画館たち(旧テアトル梅田、シネ・リーブル梅田、梅田ガーデンシネマ)の佇まいを素敵なイラストにしたポストカード、特製マグカップやオリジナルブレンドコーヒーなど、“新生”テアトル梅田オリジナル商品が多数発売されます。

梅田ロフトにあった旧テアトル梅田の外壁にあった象徴的な劇場名サインも回収し、新生テアトル梅田に移設いたします。32年間、常にお客様を見守り続けてきたサインが新たなシンボルとして蘇り、これからもお客様をお迎えいたします。新生テアトル梅田は旧テアトル梅田、シネ・リーブル梅田の良さをそれぞれ引き継ぎ、これまでにない新しい関西の映画・アートの発信拠点として新しい風を吹き込むべくチャレンジしてまいります。


【劇場概要】
■劇場名│シネ・リーブル梅田(4 月 19 日よりテアトル梅田)

■所在地│大阪府大阪市北区大淀中 1-1-88 梅田スカイビルタワーイースト 3・4F

■設 備│4 スクリーン 443 席(車いす席 8 席含む)

■問合先│06-6440-5930 Web サイト│

■(現 URL)https://ttcg.jp/cinelibre_umeda/
■(新 URL)https://ttcg.jp/ttcg_umeda/ ※4 月 19 日より運用開始


(オフィシャル・リリースより)

流転の地球0-main550.jpg

流転の地球0-main550.jpg


ヒューゴー賞受賞SF小説「三体」原作者による同名短編小説を基に豪華キャストで映画化した『流転の地球 -太陽系脱出計画-』が、3月22日(金)より、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開となります。

ウー・ジン、アンディ・ラウら中国豪華キャストが集結!


流転の地球0-sub1.jpg本国でシリーズ累計2千万部を超える超ベストセラーとなり、SF界のノーベル文学賞と呼ばれるヒューゴー賞をアジア人として初受賞した、今春Netflixドラマシリーズが配信されるSF小説「三体」。その原作者リウ・ツーシンによる同名短編小説を基に、中国映画界が誇る才能を結集して映像化。
 

圧倒的なスケール感、精緻な映像美と、練り込まれたストーリー

ハリウッドをも唸らせた、メガヒット中国SF超大作が日本上陸!


流転の地球0-sub2.jpg精緻な映像美で描かれる練り込まれたストーリーに、ドラマティックに描かれるさまざまな人間模様。さらに圧倒的なスケール感で繰り広げられるパニック描写など、3.2億元(約65億円)の製作費を費やし、ハリウッド大作も圧倒する究極のSFエンタテインメント超大作が誕生した。中国本土で初登場第一位に輝き、興収40億2900万元(約815億円)を突破し、歴代興行収入ベストテン入りを果たすメガヒットを記録! さらに、北米でも大ヒットとなり、世界興収は約6億米ドル。第96回アカデミー賞国際長編映画賞中国代表作品選出され、すでにシリーズ3作目の製作も決定するなど、社会現象となっている。
 


【グオ・ファン監督インタビュー】


――監督が続編ではなくエピソード0を描くことにした理由とは?

流転の地球0-sub4.jpg

前作『流転の地球』は中国初のブロックチェーンSF映画として2019年春節シーズンに公開された。続編を製作することになったグオ監督は、続編のプロットとして物語の続きを描くのではなく、「前日譚」を描くことを選択した。その理由に『流転の地球』では物語の世界観や背景、登場人物たちがどんな経験をしてきたのかを描写するエピソードが不十分であったこと、そして多くの観客がウー・ジン演じる主人公の宇宙飛行士リウ・ペイチアンの復活を望んでいたことを挙げている。


――ウー・ジンは前作の製作に全財産を投じた監督のため、ノーギャラで出演するだけでなく、自ら出資するなど、全力で映画を支援。

グオ監督は、そんなウー・ジンに対し、「『流転の地球 -太陽系脱出計画-』の製作は、前作でのウー・ジンの献身に対する製作陣の感謝の表れだ。ウー・ジンは撮影時、数えきれないほどの無私の支援を提供してくれた。だから私も彼を続編に登場させるべきだと思った。しかし『流転の地球』での結末から考え、リウ・ペイチャンを復活させることは明らかにナンセンスで、そうはしたくなかった。そこで物語の続きではなく、エピソード0を描くことにした」と語っている。


流転の地球0-sub3.jpg――『流転の地球 -太陽系脱出計画-』は、人類が過去の不和を乗り越えて地球連合政府を結成し、地球を太陽系から移動させる「移山計画」を実行していく過程を描いている。

宇宙での新天地を探して家族と共に別の恒星に向かって旅立つ『流浪の地球』のプロットとは異なり、本作では登場人物たちの内面への探求を主題としている。


現在『流転の地球』はNetflixにて放送されているが、前作を観ずとも前日譚『流転の地球 -太陽系脱出計画-』を観ても全く問題ないどころか、本作を観てから前作『流転の地球』を観たほうがより楽しめそうだ。
 


<STORY> 
そう遠くない未来に起こりえる太陽系消滅に備え、地球連合政府による1万基に及ぶロケットエンジンを使って、地球を太陽系から離脱させる巨大プロジェクト「移山計画」が始動!人類存亡の危機を目前に、各国の思惑や、内紛、争いが相次ぐ中、自らの危険を顧みず立ち向かった人々がいた。亡き妻への想いを胸に、宇宙へと旅立つ飛行士・リウ(ウー・ジン)。禁断のデジタル技術によって、事故死した娘を蘇らせようとする量子科学研究者・トゥー(アンディ・ラウ)。そして、大きな決断を迫られる連合政府の中国代表・ジョウ(リー・シュエチェン)。多くの犠牲を払いながら、地球と人類の存亡、そして希望を懸けた最終作戦が始まった!


監督:グオ・ファン(「流転の地球」) 製作総指揮・原作:リウ・ツーシン
出演:ウー・ジン、アンディ・ラウ、リー・シュエチェン、シャー・イー、ニン・リー、ワン・ジー、シュ・ヤンマンツー
2023年/中国/中国語・英語/173分/カラー/シネスコ/5.1ch/DCP/
原題:流浪地球2/英題:THE WANDERING EARTH Ⅱ/字幕翻訳:神部明世/字幕監修:大森望
配給:ツイン  
公式サイト:https://rutennochikyu.jp/
COPY RIGHT©2023 G!FILM STUDIO [BEIJING] CO., LTD AND CHINA FILM CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

2024年3月22日(金)より、TOHOシネマズ日比谷、大阪ステーションシティシネマほか全国ロードショー


(オフィシャル・レポートより)

BrooklynOpera-550.jpg

IMG_7980.JPG
 
 第19回大阪アジアン映画祭の受賞結果が最終日の3月10日、ABCホール(大阪市福島区)にて発表され、モンゴル映画『シティ・オブ・ウインド』が見事、グランプリに輝いた。同映画祭でモンゴル映画がグランプリに輝いたのは初の快挙となる。
3月8日の日本初上映後には、ラグワドォラム・プレブオチル監督が舞台あいさつで登壇し、「将来の作品アイデアとして相撲を題材にすることを考えており、大阪場所の朝稽古を2時間見学してきたところです」とご挨拶。日本を訪れることが夢だったというプレブオチル監督が、作品の狙いやモンゴルでのシャーマニズム、ゲル地域の現状について丁寧に語ってくださった。その内容をご紹介したい。
 
 
CO02_City-of-Wind_main.jpeg

 

■モンゴルにおけるシャーマニズムの歴史〜生活の一部として根付く

―――モンゴルでのシャーマニズムの変遷や現代での受け入れられ方について教えてください。
プレブオチル監督:シャーマニズムはモンゴルの歴史当初から続いており、我々の生活の一部として根付いています。ジンギスカンも彼自身のシャーマンがいましたが、次第に仏教がシャーマニズムにとり変わり、共産主義や資本主義も台頭してきましたが、それにもかかわらずモンゴルではシャーマニズムが歴史上続いています。それは、我々が必要だからこそ生き残っているのだと思います。ですから本作では宗教や現代的な動きとシャーマンとの対立を描いたり、共存しているものの中のどれかを描こうとしたのではありません。葛藤のみに焦点を当てるのではなく、シャーマニズムが現代社会の日々の中にどう息づいているかを描こうとしました。
 
 

■伝統を維持するゲル地域をきちんと保存し、文化のアイデンティティを保つべき

―――都市のそばにゲルがあり、現代モンゴルと伝統的モンゴルとの対比が見えます。
プレブオチル監督:モンゴルの国土は非常に広大ですが、人口の半分以上は首都のウランバートルに住んでいます。10年ほど前から遊牧民が都市部に移動する現象が起きており、映画で描いた都市部のゲル地域で近代的な生活を送りながら、自分たちのアイデンティティを維持しています。このゲル地域が(遊牧民の)移行期を表している象徴的な場所で、そのように都市部に住む人と遊牧民的な生活をしている人が繋がりを維持していることも見せたいと思いました。
 
遊牧民的生活を営む人と都市部に住む人の関係性は割とはっきりしており、それぞれが自身の生活スタイルを貫こうとしています。映画の中でも高校生のシャーマン、ゼの母が家の前でミルクを太陽や大地に向かって撒く祈りのシーンがありましたが、これも伝統であり、ゲル地域で維持しています。その一方で、アパートの住民の中には「おばあさん、ミルクを撒く習慣はもうやめたのか?」というからかいの声があるのも事実です。政府が都市化を進め、アパートを建てようとしていますが、わたし自身はゲルの地域や空間をきちんと保存し、文化のアイデンティティとして保つべきだと考えています。
 
 
IMG_7984.JPG

 

■ゲル地域こそがユニバースで主人公が再出発する生き方を選択した場所

―――高層ビルが並ぶ街を俯瞰で描写したり、教師に叱られ続けた生徒たちが最後にクラス全員で動物のように吠えるなど、様々な要素が含まれていました。
プレブオチル監督:映画においてはあくまでもゲル地域を中心に据え、高層ビルや都市の風景を遠景として描きました。モンゴルではゲル地域は貧困やアルコールに溺れている人というイメージを持たれていますし、その地域から有名になった人も「今はアパートに住めるようになった」という言い方をするケースもあります。無視されている地域ですが、わたしはこの地域こそが重要でパワーのある場所であり、そここそがユニバースであり、始まりと終わりの場所であることを捉えようとしました。主人公もゲル地域で人生の再出発をするという生き方を選択しましたし、今の若者たちにもゲル地域の重要性を伝えていきたいと思っています。
 
第19回大阪アジアン映画祭公式サイト https://oaff.jp 
(江口由美) Photo by OAFF
 
 
TokyoCowboySA_OAFF2024.jpg
 
 第19回大阪アジアン映画祭が10日間の上映を終え、3月10日に閉幕した。授賞式後、クロージングセレモニーが開催され、海外初上映されるクロージング作品『東京カウボーイ』で出演の井浦新、藤谷文子、マーク・マリオット監督、ブリガム・テイラープロデューサー、脚本のデイヴ・ボイル、編集の井上ヤスが登壇した。
 
 『東京カウボーイ』は、喧騒の東京から、大自然が広がる米・モンタナの牧場へやってきた効率至上主義のサラリーマンが、カウボーイ文化に触れて人生を見つめ直すヒューマンドラマ。『男はつらいよ』の現場経験もあるマーク・マリオット監督のもとに、藤谷文子、デイヴ・ボイル(Netflixシリーズ「忍びの家 House of Ninjas」の脚本・監督)、國村隼らグローバルな才能が集結している。
 
 まず最初に
「みなさん、こんばんは。楽しんでください」(ブリガムプロデューサー)
「大阪にいることと、この映画をみなさんにお見せできることが嬉しいです。映画をお楽しみください」(マーク監督) 
「まずは受賞者のみなさん、おめでとうございます。そして審査委員のみなさん、お疲れさまでした。映画祭を支えてくださるスタッフのみなさんも、開催期間中どうもお疲れさまでした。ありがとうございました。そして、この映画祭へ映画を観に来てくださったみなさん、ありがとうございます。『東京カウボーイ』は海外プレミアです。ぜひ楽しんでください」
(井浦)
「久しぶりに大阪に来ました。みなさんに会えて嬉しいです。私が大阪アジアン映画祭に来るのは3度目ですが、今回は脚本という形でも参加しました。日本とアメリカで作った映画で、今日は日本で初めて観ていただくので、楽しんでもらえたらと思います」(藤谷)
「初めて日本に来た時は、この大阪アジアン映画祭(OAFF2010『ホワイト・オン・ライス』)でしたので、自分の中での日本は大阪です。是非楽しんでいただきたいです」(デイヴ) 
「大阪のお客様は日本一厳しいと聞いていますので、少し緊張していますが楽しんでいただければと思います」(井上)
と挨拶。
 
 まず井浦の印象を聞かれたマーク監督は、開口一番日本語で「上手!」と一言。客席が湧いた後、英語で「本当に(演技が)上手ですし、素晴らしい人物であり、役者としても素晴らしい方だと思っています。新さんが持っているご本人の資質を役にきちんと加えてくれました。この映画に参加してくれたこと、また素晴らしい演技に感謝しております」と絶賛した。
 
 
ArataIURA4.jpg
 
 そんな井浦は、アメリカ初主演となった本作の撮影を振り返り、「アメリカのモンタナ州、イエローストーン国立公園近くの小さな町を拠点に、雄大な自然の中で一カ月撮影が行われました。毎日単身で現場に向かい、英語もロクにできない自分をアメリカのクルーの皆さんはどう扱うか大変だったと思いますが、藤谷さんをはじめ、現地の日本語を勉強しているボランティアスタッフなどみんなが、マーク監督やブリガムプロデューサーが作り出す温かい組にみんなが吸引されていき、本当に家族のようなチームになりました。みんなに支えられ、毎日がとても刺激的で新しい発見がある撮影期間でした。マーク監督のもと日本(東京)で撮影すると、いつも見る街並みがまた新しく見えるような体験もしました」と監督が作り上げたチームの温かさやサポートに感謝した。
 
 最後に、本作では共同脚本にも挑み、井浦が演じるヒデキの上司であり恋人である女性役で出演している藤谷は「共同脚本自体が初めてだったので、(デイヴと)喧嘩してしまうかと思いましたが喧嘩はしなかったですね。不安要素がありながら、実際に製作や撮影が始まると、本当に朗らかに日本とアメリカの文化が混ざっていく瞬間が日々あり、それが映画に現れています。それを今日はリラックスして、心配事も忘れて、楽しんでもらえたらと思います」と撮影を振り返り、観客にメッセージを送った。
 
『東京カウボーイ』は6月7日から全国順次ロードショー。
 
写真右より、ブリガム・テイラープロデューサー、マーク・マリオット監督、井浦新、藤谷文子、デイヴ・ボイル、井上ヤス
Photo by OAFF
 
Winners_OAFF2024.jpg
 
 第19回大阪アジアン映画祭は、3月1日から10日間の上映を終えて閉幕し、最終日の10日に授賞式が行われた。見事グランプリに輝いたのは、モンゴル映画の『シティ・オブ・ウインド』。台湾映画『サリー』(リエン・ジエンホン監督)が来るべき才能賞とABC賞の2冠を獲得、尼崎を舞台にした日本映画『あまろっく』(中村和宏監督)が観客賞を獲得した。全ての授賞結果と授賞理由をご紹介したい。
 
★グランプリ(最優秀作品賞)
『シティ・オブ・ウインド』(City of Wind)|フランス・モンゴル・ドイツ・ポルトガル・オランダ・カタール|監督: ラグワドォラム・プレブオチル(Lkhagvadulam Purev-Ochir)
 
CO02_City-of-Wind_main.jpeg
<授賞理由>
青春映画というジャンルの枠組みでグランプリを受賞した本作は、私たちが見たことのない世界を照らし出し、スピリチュアリティや世代間の対立といった問題を、巧みさと自信に満ちた手腕で描き出す。この映画は、主人公の成長を繊細に描きつつ、啓示的な演技を中心に据えている。
 
★来るべき才能賞
リエン・ジエンホン(LIEN Chien Hung/練建宏)|台湾|『サリー』(Salli/莎莉)監督
<授賞理由>
リエン・ジエンホン監督は、予想だにしなかった展開とひねりを加えつつも、過去の偉大なキャラクター主導型コメディを彷彿とさせる素晴らしい創作力を発揮した。思い出の場所や人物を散りばめた卓越した脚本で、心からの感動と大爆笑コメディを両立させるテクニックを披露したリエン監督の次回作を大いに期待する。
 
★ABC テレビ賞
『サリー』(Salli/莎莉)| 台湾・フランス | 監督: リエン・ジエンホン(LIEN Chien Hung/練建宏)
<授賞理由>
とてもほっこりした気持ちにさせる映画です。パリへと渡る主人公の葛藤もうまく描けていますし、家族や友人との触れ合いも暖かく、読後感が大変良いです。なにより、ニワトリが可愛い!
 
★薬師真珠賞
チー・ユン (CHI Yun/池韵)|オーストラリア・中国|『未来の魂』(Unborn Soul/渡)主演俳優
<授賞理由>
チー・ユン(池韵)という俳優が存在したからこそ『未来の魂』は生み出された。そして彼女の繊細で深みのある演技が、観客の魂を最初から最後まで揺さぶりつづけた。
 
★JAPAN CUTS Award
『カオルの葬式』(Performing KAORU’s Funeral)| 日本・スペイン・シンガポール | 監督: 湯浅典子(YUASA Noriko)
<授賞理由>
『カオルの葬式』はある家族の葬儀の場で起きる赤裸々な感情のぶつかりを見事に捉えたホームドラマである。タガの外れた演技の完璧な掛け合いが、パーカッションのリズムが心地よいサウンドトラックと勢いのいい編集と相まって、家族の機能不全を面白くも切なく描いたダークコメディに仕上がっている。
 
★JAPAN CUTS Award スペシャル・メンション
『ブルーイマジン』(Blue Imagine) | 日本・フィリピン・シンガポール | 監督: 松林麗
(MATSUBAYASHI Urara)
<授賞理由>
松林麗の力強くて誠実な初監督作である『ブルーイマジン』は私たちが生きる現在の証であり、そのメッセージにおいて緊急性を、そのアプローチにおいて癒しを感じさせる。現代文化に蔓延るセクハラや虐待に大胆に立ち向かう一方で、団結のレジリエンス(回復力)を指し示している。
 
★芳泉短編賞
『シャングリラに逗留』(Sojourn to Shangri-la/是日訪古) | 中国 | 監督: リン・イーハン (LIN Yihan/林詣涵)
<授賞理由>
強烈なイメージの魅力で観客の心を掴んで離さない物語は、一連のマジカルな展開に続く導火線に火をつけ、特に驚くほどパワフルな後半で映画的衝撃をもたらす。『シャングリラに逗留』は見る者すべてに驚きを与え、それは監督の映画づくりの成功と言える。
 
★芳泉短編賞スペシャル・メンション
『オン・ア・ボート』(On a Boat)| 日本 |監督: ヘソ (Heso)
<授賞理由>
結婚と人間関係をテーマに真摯に向き合った本作で、ヘソ監督は力強い演出力と緻密に計算されたテクニックで完成度の高い作品に仕上げ、確固たる才能を印象付けた。
 
『スウィート・ライム』(Sweet Lime)| 香港・イギリス |監督: ファティマ・アブドゥルカリム (Fatema
ABDOOLCARIM)
<授賞理由>
子供であること、大人であること、そして女性であることについての重要な物語を、映画制作の高い能力をもって表現した。アブドゥリカリム監督自身のコミュニティに対する貴重な洞察であり、家父長制文化に抑圧される女性たちへのリアリズムに基づいた観察でもある。
 
★観客賞
『あまろっく』(Amalock)|日本|監督:中村和宏(NAKAMURA Kazuhiro)
 
登壇者(敬称略。右から)
デイヴ・ボイル(コンペティション部門審査委員)Dave BOYLE
村田敦子(コンペティション部門審査委員)MURATA Atsuko
アンガ・ドウィマス・サソンコ(コンペティション部門審査委員)
湯浅典子(『カオルの葬式』監督)
ヘソ(『オン・ア・ボート』監督)
リエン・ジエンホン(『サリー』監督)
ステファニー・アリアン(『ブルーイマジン』出演)
チー・ユン(『未来の魂』主演俳優)
ファティマ・アブドゥルカリム(『スウィート・ライム』監督)
中村和宏(『あまろっく 』監督)
板井昭浩(朝日放送テレビ株式会社コンテンツプロデュース局制作部)
薬師悠一郎(株式会社薬師真珠)
靜敬太郎(公益財団法人芳泉文化財団理事長)
上倉庸敬(大阪映像文化振興事業実行委員会委員長)
 
第19回大阪アジアン映画祭公式サイト https://oaff.jp 
 


iai-bu-550.jpg


【日 程】 3月9日(土)上映後舞台挨拶

【会 場】 渋谷ホワイトシネクイント(東京都渋谷区宇田川町15−1 渋谷パルコ8階)

【登壇者】 富田健太郎、森山未來、さとうほなみ、小泉今日子、マヒトゥ・ザ・ピーポー監督



3月9日(土)渋谷ホワイトシネクイントにて、映画『i ai』(読み:アイアイ)の公開記念舞台挨拶が行われ、主演の富田健太郎、共演の森山未來、さとうほなみ、小泉今日子、そしてマヒトゥ・ザ・ピーポーが登壇した。


aiai-main-500.jpgGEZANのフロントマンで、音楽以外でも小説執筆や映画出演、フリーフェスや反戦デモの主催など多岐にわたる活動で、唯一無二の世界を作り上げるマヒトゥ・ザ・ピーポーが初監督を務め、第35回東京国際映画祭<アジアの未来部門>に正式出品され話題を呼んだ映画『i ai』は、マヒト監督の実体験をもとに、主人公のバンドマン・コウと、コウが憧れるヒー兄、そして仲間たちが音楽と共に過ごした日々を綴った青春映画。


2021年夏に撮影し、ようやく迎えた劇場公開の感想を訊かれたマヒト監督は、「3年間、自分たちの中で大事にしてきたものは、羽ばたいていく。親鳥のような、いってらっしゃいっていう気持ちで、本当に嬉しいです」と笑顔。3,500人の大規模オーディションから抜擢され、映画初主演を務めた富田は、満員の客席を見て、「この景色を忘れないと思います。『i ai』に出逢えたことは宝物です」と喜びを噛み締めた。


iai-bu-500-3.jpg本作はクラウドファンディングで製作を開始し、当初より「共犯者になってください」と呼びかけていたマヒト監督。「自分ひとりの書いた脚本から始まったものなんですけど、いろんな人の力やエネルギーが重なって、立体的に組み上がっていく過程を撮影中の現場でも見ていました。映画は完結しているんですけど、それがお客さんの前に手渡されて、その人の中の血に溶けてこれから始まっていくんだなとも同時に思っています」と今後に期待を込めた。


aiai-making-240-1.jpgマヒト監督の「共犯者」としてこの映画に参加した役者陣。出演理由について森山は、「台本という名前もまだつけてあげられない状態というか、私小説的な、純文学的な状態のものをマヒトから受け取ったときに、こんなにピュアに届けたい言葉がある、伝えたいことがあるということに特化した物の書き方に久しぶりに出会った感覚があって」と振り返ると、「まだ脚本にはなっていないけど、これをどうやったら(映画に)できるだろう?というところから始まったんですけど、そのうちに、直筆の赤い手紙をいただいて。でも、そこに何が書いてあったか内容は思い出せないんですよね」と笑いながら明かした。続けて、「地元が神戸なんですけど、この作品が神戸であり明石の作品であるということは、海と空の話でもある。それは血として違う海で撮るというのは僕の中ではなかった」と断言。「やっぱり瀬戸内海特有の色味や霞みというのは、太平洋にも日本海にもない。それを撮れないなら、参加できないと言いました」と撮影地へのこだわりを見せた。


aiai-koizumi-240.jpg小泉は、「私はカメラマンの佐内(正史)さんとも昔から何度もお仕事していて、佐内さんもマヒトくんも独特の自分の言葉を持っていて、写真を撮ったり、音楽を作ったりして表現しているんだけど、そんな2人が組んだときにどんなことが起こるんだろうって。2人のセンスは元々好きなので、これはプラスしかないんじゃないか、すごい良い化学反応が起こるんじゃないだろうかと思い参加しました」と説明。

 

主人公コウや仲間たちが集うライブハウスの店長を演じた小泉。その役どころについて「ライブハウスに夢や憧れをもって集う若者たちは今でもたくさんいると思うんですけど、その中で音楽を生業にして生きていけるひとって本当にすごく少ないと思うんですよね。でもそういう人たちが置いていった夢の“墓守”のようなそんな気持ちで演じさせていただいた」と明かした。


aiai-satou-240.jpg一方ヒー兄の恋人るり姉役で、ほないこか名義でミュージシャンとしても活動するさとうは、「私も10年以上バンドをやっていて、売れない時期とかライブハウスでやっていた時もあるし、色々な人が諦めて会社員になったりだとか、もうバンドをやっていなかったりとか、そういう人たちの魂も込めて、ライブハウスにはあるもんだろうな」と吐露。


マヒト監督が紡ぐ詩的な“ことば”と映像美が魅力の本作。小泉は「本当に、30年ぐらいの時間の中で一番好きな日本映画でした」と話すと、森山は「この体験、色彩、音。映画館で体験するために作られたもの。この空間設計だからこそ、届く言葉。劇場に足を運んでもらうことに、こんなに意味のある映画はないと思います」と呼びかけた。


aiai-tomita-240.jpg最後に観客に向けて、富田が「僕はコウとして生きることができて幸せでしたし、この『i ai』という大きな赤い風船がどこまでも飛んでほしいと思っていますし、僕は心から信じています。この映画を皆さんとどこまでも飛ばしていきたいなと思っています」と語り、マヒト監督は「『i ai』は“別れ”が真ん中にあるお話だと思うんですけど、“生きる”についての話だと思うんですよね。みんなが当事者の話で、必ず訪れる自分の大切な人だったりとか、自分自身もまたこの世界からいなくなるときがくる。誰ひとり部外者がいないストーリーで、映画が終わったあともずっと続いていくものだと思うんで、これからもよろしくお願いします。これからもというか、これからがよろしくお願いします」とメッセージを送り、締め括った。
 


【STORY­­】
兵庫の明石。期待も未来もなく、単調な日々を過ごしていた若者・コウ(富田健太郎)の前に、地元で有名なバンドマン・ヒー兄(森山未來)が現れる。強引なヒー兄のペースに巻き込まれ、ヒー兄の弟・キラ(堀家一希)とバンドを組むことになったコウは、初めてできた仲間、バンドという居場所で人生の輝きを取り戻していった。ヤクザに目をつけられても怯まず、メジャーデビュー目前、彼女のるり姉(さとうほなみ)とも幸せそうだったヒー兄。その矢先、コウにとって憧れで圧倒的存在だったヒー兄との突然の別れが訪れる。それから数年後、バンドも放棄してサラリーマンになっていたコウの前に、ヒー兄の幻影が現れて……。


出演:富田健太郎 / さとうほなみ 堀家一希
    イワナミユウキ KIEN K-BOMB コムアイ 知久寿焼 大宮イチ
         吹越 満 /永山瑛太 / 小泉今日子 / 森山未來
監督・脚本・音楽:マヒトゥ・ザ・ピーポー
撮影: 佐内正史  劇中画: 新井英樹
主題歌: GEZAN with Million Wish Collective「Third Summer of Love」(十三月)
プロデューサー: 平体雄二 宮田幸太郎 瀬島 翔
製作プロダクション:スタジオブルー  配給::パルコ
©STUDIO BLUE(2022年/日本/118分/カラー/DCP/5.1ch)
■公式サイト:https://i-ai.jp 
■公式X:https://x.com/iai_2024
■公式Instagram:https://www.instagram.com/i_ai_movie_2024/

2024年3月8日(金)~渋谷ホワイトシネクイント、シネ・リーブル神戸、3月22日(金)~大阪ステーションシティシネマ、アップリンク京都 ほか全国公開!


オフィシャル・レポートより

2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86