「マスク」と一致するもの

anna-550.jpg

odayakana-4.jpg

『おだやかな日常』杉野希妃記者会見、インタビューはコチラ
『おだやかな日常』第17回釜山国際映画祭新着レポートはコチラ

nemurenu.jpgのサムネイル画像

(C) 2011 Nikolaus Geyrhalter Filmproduktion GmbH

ロングランヒットを記録したドキュメンタリー映画『いのちの食べかた』のニコラウス・ゲイハルター監督最新作『眠れぬ夜の仕事図鑑』が8月25日よりシネ・リーブル梅田、9月8日より神戸・本町映画館で公開される。

そこで大阪・堂島にあるジュンク堂書店大阪本店では、<映画『眠れぬ夜の仕事図鑑』公開記念「真夜中のブックフェア」>を開催中。村上春樹『アフターダーク』、恩田陸『真夜中のピクニック』など“夜”にちなんだ本が特集されている。

<映画『眠れぬ夜の仕事図鑑』公開記念「真夜中のブックフェア」>

◆開催時期:現在開催中 ※本作上映終了までの予定
◆会場:ジュンク堂書店大阪本店
◆特典:フェア商品を購入された方に先着で本作の劇場鑑賞券(シネ・リーブル梅田のみ有効)、本作特製アイマスクを先着でプレゼント
◆そのほか:上映劇場にてタイトルに「夜」がつく本を提示された方は一般料金200円引き

book.jpg◆フェア書籍一覧
●不眠症 上 文庫 S.KING
●不眠症 下 文庫 S.KING
●TVピープル 文庫 村上春樹
●ねむり 文芸 村上春樹
●アフターダーク 文芸 村上春樹
●白河夜船 文庫 よしもとばなな
●夜のピクニック 文庫 恩田陸
●新宿鮫 文庫 大沢在昌
●真夜中のパン屋さん午前1時の恋泥棒 文庫 大沼紀子
●真夜中のパン屋さん午前0時のレシピ 文庫 大沼紀子
●深夜食堂 コミック 安倍夜郎
●永い夜 児童書 レミュー
●東京路地裏暮景色 文庫 なぎら健壱
●セブ島&マニラ別冊夜の歩き方 文芸 WEP


『眠れぬ夜の仕事図鑑』

警備員、営みをする男女、自殺を思いとどませるホットラインスタッフなど、夜に活動する人々にスポットをあてながら、現代社会の姿について考察していくドキュメンタリー。『いのちの食べ方』と同様、ナレーションや音楽を排して、人々を淡々と映し出していき、その描写が想像をかきたてていく。知的好奇心をあおる作品だ。

公式HP:http://nemurenuyoru.com/

配給:エスパース・サロウ

監督:ニコラウス・ゲイハルター 出演:調理師、監視員、エンジニア、相談員、火葬場職員、ほか
オーストラリア/1時間34分

8月25日よりシネ・リーブル梅田、9月8日より神戸・元町映画館にてロードショー

映画ニューストップへ

nipponnouso-s2.jpg (2012年 日本 1時間54分)
監督:長谷川三郎 撮影:山崎裕
出演:福島菊次郎 朗読:大杉蓮
2012年8月4日(土)~銀座シネパトス、新宿K’s cinema、8月18日(土)~テアトル梅田、8月25日(土)~シネリーブル神戸他順次公開
公式サイトはコチラ
(C)2012「ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎90歳」製作委員会

  10年間広島の被爆者を撮り続けた「ピカドン ある原爆被災者の記録」で日本写真批評家賞特別賞を受賞し、三里塚や公害問題、天皇の戦争責任などを写真を通じて問うてきた反骨の報道写真家、福島菊次郎。現在90歳となる福島氏に、2009年から2年に渡って密着、年金を拒否し、慎ましくもユーモアに溢れる日常生活を映し出しながら、ニッポンの嘘を暴くために命懸けの仕事をしてきた福島氏の写真と語りで戦後のニッポンを顧みるドキュメンタリー『ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎90歳』が公開される。キャンペーンで来阪した長谷川監督に、福島氏や彼が撮り続けてきた写真の魅力についてお話を伺った。


nipponnouso-1.jpg━━━どのようにして福島さんと出会ったのが、きっかけを教えてください。
   一番最初に福島さんにお会いしたのは今から3年前の2009年夏でした。伝説の報道写真家福島菊次郎さんが瀬戸内海の町に暮らしていらっしゃると聞いたのですが、当時は米寿で、胃ガンをわずらっていたため、本当にちゃんと話を伺えるのは今が最後のチャンスかもしれないと言われ、お会いしてみようと思いました。福島さんが撮った写真を見たときに、僕らが知らなかったニッポンがここにあるんだと思い知らされたんです。本当に被爆者の人の声が聞こえたり、学生運動や三里塚で闘っている人たちの怒りの声が聞こえてくるようでした。福島さんの言うところの”ニッポンの嘘”が覆い隠されたその後に生まれてきた世代なので、自分の足元にこんな歴史が埋まっていて、なおかつ、声を上げてきた日本人がいたということに大きな衝撃を受けました。しかも、その写真は真正面から日本の人たちと向き合って撮ってきた。苦しみとか怒りをストレートに受け止めている、どんな写真家なんだろうと思ったのが最初のきっかけです。

  先輩からは、カメラを武器にして、敵をだましてでも潜入して撮ると。家を焼かれたり、暴漢に襲われても屈しないで、撮影し続けたというエピソードを聞いたので、どれだけ怖い人なんだろうと緊張して行ったのですが、お会いしてみると本当にチャーミングなお人柄で、その人柄に一発で魅了されてしまったのが正直なところですね。この人を撮りたいな。福島菊次郎という人間を知りたいなというのが一番大きなきっかけです。

━━━今まで撮る側であった福島さんに取材を申し入れたとき、どんな反応をされたのでしょうか。
   「僕みたいな独居老人を撮って、絵になるのかい。」と最初に言われましたね。でも、とてつもなく魅力的だったんです。年金を拒否されて、でも三食はちゃんと自分で作って、ユーモアを交えながら日々の暮らしを過ごしていらっしゃる。その一方で90歳になっても全く引退せずに、今の日本に自分が何をメッセージとして残せるのかを真剣に考えて、日々原稿を書かれたりされている。その生き方を見たときに、どうやって人は最後まで生きるのか、自分の仕事をなしていくのかということを、教えられたような気がして、その日常も見つめたくなりました。

  「福島さんを撮らせてください。」と言ったときに、「合い鍵を渡すから、何でも撮っていいよ。」といきなり渡してくれました。でもそれは、挑戦だと思います。おまえたち何を撮るんだという、人を撮ってきた福島さんだからこそでしょう。毎日アパートの鍵を開けて、「おはようございます。」と言うところから始まって(笑)。その中で、病気も患っていらっしゃったので自分の老いとか、「ちょっと気分が悪くて、もどしちゃったんだよね。」とフラフラの青い顔で朝起きられたりしていて、そういう自分の老いていく様も隠さずにさらけ出してくれました。でもその中で写真家として自分に何ができるのか、写真家として最後にどのような人生を貫けるのかを、あきらめないで日々を過ごされていた様子を見て、福島さんのすごさを改めて感じましたね。

nipponnouso-2.jpg━━━最初、福島さんを撮りたいと思ってお会いになった時から、映画を作ることを念頭に置いていたのですか。
   福島さんのやってきた仕事とその証言を残したいという勝手な使命感にとらわれて「撮ろう」ということで進めていき、出先は決めていなかったです。福島さんの見つめてきたニッポンは今のメディアではあまり扱えないタブーも含まれているので、それをストレートに伝えたい。自分自身が伝えるのに責任を持って出したいと思ったときに、映画という形がいいのではないかという気になりました。さらに撮っていく中で、福島さんが撮影してきた戦後のニッポンというものに劇場の暗闇、大スクリーンで向き合ってもらって、そのことを見てくださった観客の方に持ち帰ってもらいたいと思ったんですね。あまり過剰な説明はしたくないと考えたときに、観客との共同作業で作品が完成する映画という場で、福島菊次郎に出会ってほしいと願うようになり、途中の段階で映画にしようと決めました。 

━━━監督が福島さんを背負っている光景から作品がはじまりますが、どのような意図があったのでしょうか。 
   結果的にですが、僕らの態度表明になっていますね。もう90歳になって、もちろんカメラを持てば野生動物のように現場を駆け回る菊次郎さんですが、階段を上るのがちょっと苦手でいらっしゃるようで、その福島菊次郎を今の世の中に届けるという、心中と言ったら大げさですがそういう気持ちで福島さんを背負わせていただきましたし、映画の最初のシーンに使わせていただきました。福島菊次郎が見た戦後って正直言うと賛否両論があると思うんですよ。でも、その目線に寄り添ってそこから見えてくるものがあるんじゃないかと撮っていくうちに思うようになって、距離感ゼロという距離感でいこうと決めました。 

━━━福島さんからドキュメンタリーを教わったと監督は語っておられますが、具体的にはどのような点でしょうか。 
   「国が法を犯したときは、カメラマンは法を犯してでも撮影しなければならない。法に従っているからいいドキュメンタリーが撮れないんだよ。」という言葉は、頭では分かっていたつもりでも、それを実践して生きている人が本当にいるんだと実感しました。福島さんは思想やイデオロギーで反体制の写真家になったのではなくて、色んな人と出会う中で、福島菊次郎が出来上がっていったんです。その一番のきっかけが(被爆者の)中村さんで、中村さんのことを50年経っても「彼の敵討ちをできただろうか」と想い続けられるのは、ドキュメンタリーを撮っている人間としてすごいなと、これが一番です。月並みに「そのパワーの源は何ですか。」と聞こうとすると、怒られるんですよ。「僕は普通のことをやっているだけだよ。あなたたちがやってないだけだよ。」と。それだけ真摯に現場で心を動かしながら撮ってきた人なんだなとそのシンプルさにやられましたね。

nipponnouso-s1.jpg━━━撮影したものをどうしようかと考えていたところに、震災が起こったそうですが、本作にどんな影響を与えたのでしょうか。  

  福島さんと現地に入ったのは、震災から半年して少しずつ日常を取り戻し始めた頃で、震災直後はがれきになっていたような海沿いの街がボウボウの草が生えていて、メディアもいなくなって、市内に行くとすごく高濃度なのにマスクもしないで日常の生活を送っていたんです。あれだけのことが起こっているのに、日常を取り戻そうとしてあまり都市部の人は放射能のことはしゃべりたくないし、日本が変わるのかなと思ったら、また同じように元に戻ることの怖さを実感しました。

  その一方で、「今のフクシマはヒロシマと重なる。」とおっしゃったことを受けて、足跡をずっと撮ってきた福島さんの写真を見た時に広島が放射能の爪痕をどうやって隠していって、今僕らが修学旅行で訪れるような平和都市広島にしていったのか。これからフクシマでも起きるかもしれないことが、これまで撮ってきた福島さんの写真にはある。『ニッポンの嘘』は、過去のものとしてタイトルにしたのですが、決して過去のことではなくて、これからの日本で始まるかもしれない嘘がそこに映っていたんだなと、そういう意味合いを持ってしまったことに無念さを感じましたね。

━━━本作の撮影は、是枝監督作品の常連でもあるベテランの山崎裕さんですね。
   彼がいなかったら、撮れなかったですよ。撮影の初日に、福島さんはどういう風に撮るのか見るんですよね。出会いがしらに自分の写真のことを話し始めて、3時間ぐらいお話されたのですが、山崎は手持ちカメラを一度も下さずにずっと受け止めていましたから。日常の撮影も、どのポジションからどれだけの距離で、どこでシャッターを押すのか、福島さんはカメラマンだから見ているんです。それで一日終わった後に、「あんたら違うね。」と認めてくれました。山崎裕の距離感とか、人を見つめる視線だったと思います。六畳間の中で日常が展開するのですが、戦後の中で生きてきて最後にどうしようかという福島さんの焦燥とか、孤独とか、その中でメラメラ燃えている炎だったり、そういうものを山崎は見事にカメラで撮りきったと思います。山崎もそういう戦後を生きてきたカメラマンだったので、スイングしたのでしょう。

━━━最後にメッセージをお願いいたします。
   『ニッポンの嘘』というタイトルは、今皆が心のどこかで思っている言葉ですが、それに対してどう声を上げていいか分からない人たちがたくさんいると思うんです。でもこの国には一人で闘ってきた写真家がいる。その男の闘いを見ることできっとエネルギーをもらえると思うので、これからの日本と向き合うヒントが世代を問わずこの映画にはあるんじゃなかと思います。福島菊次郎に会いに来てほしいです。きっと何かもらえると思います。


余計な音楽を流さず、大スクリーンでじっと映し出される福島の写真の被写体の目には、どれにも訴えるような力がこもっていた。福島菊次郎が50年にも渡って撮ってきた戦後ニッポンの真実と、90歳になってもまだ闘い続ける姿を是非スクリーンで目撃してほしい。(江口由美)


shame-ss1.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 “赤裸々トーク!!” (左から)リリー・フランキー(48)、MEGUMI(30)、杉原杏璃(29)、松本さゆき(26)

(C) 2011 New Amsterdam Film Limited, Channel Four Television Corporation and The British Film Institute  

    『SHAME-シェイム-』トークイベント
◆日時 3月18日(日) 18:10[映画上映後]
◆場所 シネクイント(渋谷区宇田川町14-5渋谷パルコパート3・8F)
◆登壇者 リリー・フランキー(48)、MEGUMI(30)、杉原杏璃(29)、松本さゆき(26)


(2011年 イギリス 1時間41分)
監督:スティーヴ・マックイーン 『Hunger』(未)  出演:マイケル・ファスベンダー『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』 /キャリー・マリガン『17歳の肖像』
2012年3月10日シネクイント、シネマスクエアとうきゅう他全国順次ロードショー
公式サイト⇒http://shame.gaga.ne.jp/


 本年度受賞レースを席巻したにも関わらず、激しいセックス描写により、アメリカでは最も厳しい上映規制NC-17(17歳以下の鑑賞が全面的に禁止)というレーティングがつけられ、日本では多くの修正を入れなければ<R-18+>(18歳未満は鑑賞禁止)ですら上映が許可されなかったという、内容映像ともに衝撃の問題作、『SHAME-シェイム-』。現在公開中のシネクイントにて、本作の宣伝クリエイティブ・ディレクターを務めるリリー・フランキー氏と共に、リリー氏が旗振り役となって結成した応援隊「シェイム‘s」のメンバーMEGUMIさん、杉原杏璃さん、松本さゆきさんらと共にトークイベントが開催された。

  セックス依存症の男の性(さが)をリアルに描く物語である本作を観たリリー・フランキー氏は、この衝撃の映画を今の日本で一人でも多くの方々に知らせるべく宣伝クリエイティブ・ディレクターに就任。リリー氏は「人間が誰しも『シェイム(恥)』な部分を持っている」ことを切り口に、芸能人、著名人で応援隊「シェイム’s」を結成。シェイムなことは決して恥ずかしいことではなく、人間として生まれた、人間としての性(さが)であることを肯定的に発信していき、世間の共感を獲得していく。」という活動を展開している。
映画上映直後の興奮冷めやらぬ場内に現れたリリー氏らは、映画に負けないエロス&シェイム(恥)全開なトークをさく裂。場内を沸かせた。


【トークショーの様子】


shame-1.jpgMC:映画『SHAME-シェイム-』の感想は?


リリー:全編セックスシーンだ!みたいなフレコミで、期待していらっしゃった方もいるかと思うんですが、俺もそれをかなり期待して、今日ちんぽ丸出しにしてDVDで見直してみたんですけど、抜けるシーンって3Pのとこぐらいじゃなかったですか?今日は3人の巨乳と巨根が集まってるってことでよろしくお願いします。
MEGUMI:シェイム'sのMEGUMIです。この映画は私の周りのおかまの人たちにものすごく評価が高くて、勿論おかまだけではないんですけど。私としては自分が満たされるものが世の中の人に受け入れられないのはなかなか厳しいなというのを一番感じましたね。
杉原杏璃:じーっと見つめてGカップグラビアアイドルの杉原杏璃です。私はこの人の過去が一番気になったというか、その部分って描かれてなかったじゃないですか。でもそこがこの映画のいいとこだと思うんですけど。
リリー:そうですよね。でもこの人(主人公)の性欲って桁はずれって感じしなくないですか?よく分かりますもんこの主人公の気持ち。セックス好きでも全然は恥ずかしいことじゃない。彼の場合、妹にオナニー見られたのが一番のシェイム(恥)ですね。
松本:グラビアやっている松本さゆきです。やっぱり人それぞれ見たくないものがあるなかで生きているわけじゃないですか。この映画を見て、そんな見られたくない部分をこっそり見ちゃったような気持ちになりました。そもそもセックスはいいけどセックス依存症はダメなのかとか依存症がつくだけでダメっていう解釈になっちゃうってどうなんだろうって。
リリー:どっからが依存症かなんて分かんないよね。俺この人の生活見てて大差ないなと思うもん。これくらいオナニーしてるなと。今朝からもう3回してますからね。ちょっと生き方考え直さないと。
MEGUMI:明るい依存症はいいんじゃないですか。そんなにへこむことでもないんじゃないかと。
リリー:明るい依存症って一番やばくないですか(笑)こいつ(主人公)がへらへらしてたらもう…

 shame-2.jpgMC:この映画への一番の共感ポイントは?


リリー:やっぱり絶倫同士の苦悩ですかね。俺ハタチの時、48になってこんなオナニーしてるって思わなかったですもん。減っていくって思ってたんですけど、むしろどんどんですからね。
MEGUMI:それ80くらいにどうなってるんすか。
リリー:もう歩けなくて這っているのにチンコだけ立ってるとかね。

MC:シェイム'sの人選はリリーさん自らされたそうですが、今日美女お三方を前にしてどうですか?


リリー:いやもう完璧じゃないですか。

MC:今のリリーさんの御言葉を受けてどうですか?


MEGUMI:どう受けていいのか…
リリー:とにかく良い映画なんですよ。どうでもいい説明とか、人間のカタルシスを排除してるから逆に生生しさがあるというか。

MC:女性のお三方は本作の主役ブランドンのような肉食系の男性がもし恋人だったらいかがでしょうか?


MEGUMI:ありがたいですけね。あんまり最近こういう男性って20代、30代にいないじゃないですか。ちょっと女子の方がノリノリって言いますかね。ちょっと味わってみたいかなというのはありますね。私的には出会ってみたいですね。
杉原杏璃:理性とか感情を解き放ってもう何でも見せられるような人が好きなので、がっつり全部をさらけ出してくれる人って貴重だと思いますね。
リリー:確かにさらけ出せるって幸せですよね。
松本:私も全然受け入れちゃう方だと思います。社会に適合してない訳じゃないですし、+アルファのマニアックな部分だったら、ないよりかはある方が人間として魅力があるなと思うし、そういう男性の方が好きですけどね。

MC:じゃあ仕事以外のすべての時間をセックスに費やしてるような人でも受け入れられますか?


リリー:男はほとんどそうじゃないですか?映画でこの人の日常を追ってるから異常に見えるけど、多分世の中の男の人は何かしら類似した行動とってますよ。女の人に会わなければエロサイトみるだろうし、オナニーするだろうし。
MEGUMI:それはリリーさんじゃなくても?皆さんそうなんですか?
リリー:俺なんてパソコン2台持ってますけど、いまだに原稿は手書きですし、で、パソコンは何に使っているのかというと、エロの画像をダウンロードして解凍して解凍して…って解凍ルビーって呼ばれてるくらいですからね(笑)パソコン他のことにほぼ使ったことない。

MC:じゃあ女子は男はこういうもんだって思った方がいいんですかね?


MEGUMI:うーんきっとシリアスになることないんですよね。別に大丈夫やでっていう。

MC:皆さまは何かやめたくてもやめられないものってありますか?


杉原杏璃:私は愛犬ですね。犬のことで頭がいっぱいなんで。
リリー:今、この下ネタからきている流れだと、会場にいる半分くらいの人が犬を使って…。とか考えちゃうから。話の流れ的に今犬が出てくるのはよくないと思いますけどね(笑)
松本:私はマンガ喫茶ですかね。
リリー:最近のAVはマンガ喫茶で個室で見るんですね…
松本:違います(笑)
MEGUMI:さっきから話に出てますけど、周りにおかまが多すぎるんです。20年くらい前から気付いたら周りにいますね。もう共に死んでいきたいと思ってますけどね。
リリー:オナニーもそうですけど、パチンコとかですかね。オナニーしてないときは大体パチンコしてますからね。パチンコのハンドル握ってないときはチンコ握ってると思って頂いて。
MEGUMI:握り癖がね。
リリー:そう、握り癖がね。もう寿司屋になればいいんですよね。

MC:シェイムというのは恥という意味がありますが、皆さんにとっての一番シェイム(恥)なことってなんでしょうか?


松本:この前、鼻血が固まったようなものがいっぱい鼻についたままで、渋谷歩いてたんですよね。それは恥ずかしかったですね。
リリー:よっぽどたまってると思われますよ。
杉原杏璃:私はグラビアとかやってると裸になることが恥ずかしくなくなってくるんですよね。なりません?親とかの前でもお風呂がりとかそのまま出ちゃったりして、これって恥なことなのかなと。
リリー:親も育てて良かったと思いますよね。
MEGUMI:人と比べると異常なのかもね。私はグラビアずっとやってて、たまになんか企画なんかでへんてこなことやったりして、昔みうらじゅんさんがプロデュースしてくれたグラビアで天狗のお面を股間につけて撮影したことがあったんですよね。それが、たまにどっかで出たりしてて、家族に見られたりするとちょっと恥ずかしいですね。
リリー:皆さんはそれでも主役ですからね。そのグラビアを勝手に俺とみうらさんは(SPAのグラビアン魂のこと)「この谷間はどうだとか」言ってる俺らが一番恥ずかしいですけどね。月に一回六年間やってるんですからね。

MC:リリーさんにはこれからもそのままのまま進んで行って欲しいとみんな思ってると思いますよ。


MEGUMI:そうですよ。
リリー:ほんとですか!?今どう進んでる話になってるんですか。
( リリース)


 


★『SHAME-シェイム-』トークショー



shame-s1.jpg 

“男のセックス”を一刀両断!! 倉田真由美さん(左)、岩井志麻子さん(右)

(C) 2011 New Amsterdam Film Limited, Channel Four Television Corporation and The British Film Institute  R-18+


     『SHAME-シェイム-』トークショー
登壇者:倉田真由美さん(40)、岩井志麻子さん(47)
場所: シネマート六本木

(2011年 イギリス 1時間41分)
監督:スティーヴ・マックイーン 『Hunger』(未)出演:マイケル・ファスベンダー『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』 /キャリー・マリガン『17歳の肖像』
2012年3月10日シネクイント、シネマスクエアとうきゅう他全国順次ロードショー
公式サイト⇒http://shame.gaga.ne.jp/


 shame-3.jpg 本年度受賞レースを席巻したにも関わらず、激しいセックス描写により、アメリカでは最も厳しい上映規制NC-17(17歳以下の鑑賞が全面的に禁止)というレーティングがつけられ、日本では多くの修正を入れなければ<R-18+>(18歳未満は鑑賞禁止)ですら上映が許可されなかったという、内容映像ともに衝撃の問題作、『SHAME-シェイム-』。本作の公開を記念して漫画家の倉田真由美さん(40)と小説家岩井志麻子さん(47)による女性限定試写会つきトークショーを実施いたしました。女性だけの試写ということもあり、とても和気あいあいとした雰囲気で、自分についてもセキララに話す二人のあけっぴろげなトークに場内は爆笑が起こっていました。

MC :一言ずつご挨拶をお願いいたします。
岩井:エロおばさんとしてのほうが有名かもしれませんが、小説家の岩井志麻子です。この場に呼んでいただいて、張り切らないとなと思っております。
倉田:40歳を迎え、再婚もしセックスも恋愛もすっかり遠ざかってしまった感のある倉田真由美です。最近すっかり抜けてしまったあぶらっ気を取り戻したいなと思っております。
 

MC  :映画はいかがでしたか??
岩井:ものすごいエロい映画で、「今晩どうしよう」とか思って観たのですが、すごくまじめな作品で、それは失望とか、がっかりとかいうわけではなく、ものすごくいい映画みせてもらったわーと思いました。ひとつ思ったのがとんでもない殺人鬼とか、犯罪者とか、ものすごいトラウマとか持っていると思われているけど、意外に過去に何もなくて私たちと同じように平凡に生きてきてる普通の人ということが良くあって、この映画はそういうことも描いているのかなと思いました。
倉田: ヤリチンって私の漫画によく出してて、取材で何人にもあったことがあるんですけど、その人たちが過去に女にすごくひどい事された経験があったとか、女にトラウマがあるとか、そういうわけではないんです。たぶん、もともとそういう人なんですね。
岩井:ナチュラル・ボーンヤリチンということですね。
倉田:だからたぶん、それがリアルなんでしょうね。
岩井:私春から大学生の息子がいるんですが、順調にヤリチンの道を歩んでおりまして、でもうちの息子は母親が岩井志麻子というトラウマを抱えておりまして、なにかあったら母親のせいにするかもしれません。
倉田: あと、ヤリチンにはコレクターという側面もありますよね。
岩井:熟女ともしたい若い子ともしたい、スチュワーデスともしたい

MC :二人はこの作品の主人公ブランドンのような男性に会ったことがありますか?
岩井:(倉田さんに向かって)だんなさんがそうじゃない!
倉田: 今は枯れ果てちゃってますけど。過去の話を聞くとそうですね。でもこの映画をみて、自分を振り返って行きずりのセックスってしたことないので、しておけばよかったなと思いました。加齢とともになかなかできなくなっていくじゃないですか。
岩井:たしかに旦那が18歳年下なんですけれど、出会ったときは私41歳だったんですね。わずか数年ですけど、あの時私若かったなーと思います。今、18歳年下の男なんて、よういきませんもん(笑)そんな目で18歳年下の男をそういう目で見られないですもん。
倉田:本当に、ここ2,3年で本当に枯れたというか、男に対して野心がなくなりましたね。10キロくらいふとったし。
岩井:でも倉田さんがそんなこというのに、木嶋佳苗とか、すごいじゃん。あんな体でガッツンガッツン男に体当たりしていくじゃない。
倉田: 彼女は体に自信があるんですよ。
岩井:自分のセックスに自信があるんでしょ?
倉田:いえ。体だそうですよ。私の機能は普通の女よりも優れているようです。と言っていると。
岩井:そういえば、私の担当某編集者が木嶋佳苗とそっくりの女、本人としか思えないような女とやったことがあると言っていましたが、とんでもない名器だったそうですよ。名器なんて、あるんですかねと思ったんですがね・・・・
でも自分のセックスに自信があるからって、いけるものですかね?・・・どこまで話していいかわからんですけど、最近某Nさんのところにいる占い師、岩井さんのところにもいませんでしたか?ってよくいわれるのよ。私も色々話を聞いて「ええ?」ということが多くて。というのは私もあの手の人にちょっと引っかかったあるんですが、ものすごいほら吹くんですよ。ブラピ(ブラット・ピット)とジョニデ(ジョニー・デップ)と付き合ったことがあるとか、嵐とSMAP、東方神起、メンバー全員と付き合ったことがあるとか。私、本気にしたんですよ。大人が真顔でそんなウソつかないだろうと。それで「なんでそんなに虜にできるの?」と聞いたら、フェラです。フェラ!私のは海を越えるんです!」と言われて、私ポカーンとすると同時に、妙に納得しちゃったのよね。その女って言いにくいんだけど叶井くん(倉田さんの旦那さん叶井俊太郎)に猛アタックしてたのよ。でも叶井くん、まったく相手にしてなかったらしいのね。それを聞いて叶井くんはだてにヤリチンではないなと思いましたよ。センサーでもついているんじゃない(笑)
倉田:それはあると思いますよ!私の夫ってたしかに何百人て経験しているんですけれど、性病にかかったことが一度もないんですよ。
岩井:たいしたもんだ。それはセンサーがついているね!でも、セックスのうまい下手ってわからないからね。検定とかないんですかね。ソープ嬢とかに教室開いてほしいよね。結構来るとおもうんだよ。

MC :そうなんですね。セックスの技というのは、磨くべきものなんでしょうか??
倉田:男ばかりが磨けと言われるセックスのテクニックですが、女も磨いている人は磨いているんですよ。私も取材で会って知っています。
岩井:そういえば、知り合いが言っていたんですが、すごい女にあったことがあると。どうも、セックスの最中に(手を使わずに)コンドームを剥がすらしいんですよ。でも訓練でできるようになるんですよ。
倉田:それはすごいですね!!
岩井:私たち、物書きと漫画家ですが、本に書いた知識よりも、やはり体験した人の話はすごいものがありますね。やっぱり勝てんわ。と思いますね。本の知識もそりゃ大事ですが。仲良しのAV女優さんが言っていたのは「若い子でAV女優志願はお金。熟女はセックスしたい。長年続けられる人は、露出狂。露出するのが好きな人が結局最後までのこるんですよ」これは体験していなければなかなか到達できない考えですね。


     ~以下、観客からの質問~
Q  :出産後にセックスレスになってしまいました。出産後お二人は旦那さんとの関係で何か変わったことはありますか?
倉田: うちもセックスレスですよ。
岩井:「家族」になってしまうと、特に日本人は家族になってしまうとなかなかしづらくなりますよね。でも、セックスレスでも別にいいんですよ。「夫婦はしなければいけん!」というような風潮ができて、気にするかもしれないけれど、それは全然いいんです。私の夫も私のことを「かあちゃん」って言ってますからね。
倉田:岩井さんのところはどうなんですか?
岩井:うちは夫が若いからね。レスってことはないけれど、回数はぐっと減りましたね。ほんと、何が何でもいちゃいちゃしていなければいけないということはないんだよ。
倉田:そう思います。

Q  :お二人が隠しているシェイム(恥)なことって何かありますか?
倉田: 若いころ絶対人に言えなかったようなことって今結構漫画に描いたり、言ったりしていて、ネタにしています。恥ずかしいことがなくなるっておばちゃんになったなと思います。
岩井:私価値観がおかしいのか、自分のはめ撮りが流出するよりも、中学性のころのポエムをつづった日記が流出するほうが恥ずかしい。死ぬかもしれん(笑)過去関係を持った男よりも、初恋の男が出てきたほうが恥ずかしいかもしれない。。。
倉田:でも一番恥ずかしいことは人には言わないですよね。私昔付き合ていた男の人がAVを棚に並べているような人だったんですが、隠していたAVがあってそれが顔射ものでした(笑)一番は隠しておきたいんですね。
  それから、この映画「SHAME-シェイム-」の主人公は一番の恥はかくしてセックスしまくるということだと思うんだけど、確かに一番恥ずかしいものというのは隠すよね。よく、理想の異性の条件を3つ上げてもらって、あともう一つあえて挙げるとすれば?という心理テストがあるけれど、最後に挙げたものが一番の条件だというのはよく言いますね。

Q  :私は25歳ですが、まったく性欲がありません。
倉田: そういう人もいますよね。
岩井:何が何でも性欲持たなくてはいけないし、一生処女童貞でもいいんですよ。欲望がない人に向かって欲望を持てというほうがおかしな話なのでは?と思います。なきゃないでいいんじゃないかな?でも恋愛ものの映画とかみると、「ないといけないのかな?」と思ってしまうのかな?この間性同一性障害の人に「女になって男とセックスしたいのか?」と聞いたら「女になりたいだけでそこから先に興味はない」と言っていました。むりくり性欲を持たなきゃいけないことはないんですよ。
 


 【STORY】
 NYに住み、仕事もスマートでソツのない独身男ブランドン(マイケル・ファスベンダー)。彼は、仕事以外のすべての時間を〈セックス〉に注ぎ込んでいる。繰り返される空疎な会話、うわべを繕うだけの感情表現。無意味に消費するだけの性交に溺れる男の日常を見続けているうちに、あなたは皮膚感覚で、得体のしれない不穏な空気を感じるだろう。それは「何故これほどまでにセックスを求め、それに依存することで何から逃れようとしているのか」といった重大な事由が、一切語られていないことにある。そこに、転がり込んだ妹が男の人生のギリギリの均衡を崩していく ( リリース)

(C) 2011 New Amsterdam Film Limited, Channel Four Television Corporation and The British Film Institute
 

311-s1.jpg (2011年 日本 1時間34分)
監督:森達也・綿井健陽・松林要樹・安岡卓治
出演:森達也・綿井健陽・松林要樹・安岡卓治他
2012年3月3日~オーディトリウム渋谷 ユーロスペース、
3月24日~第七藝術劇場、4月7日~神戸アートビレッジセンター、他全国順次公開
公式サイト⇒http://docs311.jp/

 (C)森達也・綿井健陽・松林要樹・安岡卓治



   2011年3月11日に起こった東日本大震災のわずか2週間後、ジャーナリストや映画監督の4人が福島から宮城、岩手に入り、被災地の様子やそれを撮影する自分たちにキャメラを向けたドキュメンタリー『311』が公開される。
 事件の後のオウム真理教信者たちに焦点を当てた『A』、『A2』の映画監督森達也と映画プロデューサー安岡卓治、『がんばれ陸上自衛隊@イラク・サマワ』の映像ジャーナリスト綿井健陽、『花と兵隊』の映画監督松林要樹。彼らがメディアとして体験した311を、自身のキャメラでさらけ出す異色作だ。
 関西公開に先立ち、森達也監督が来阪し、賛否両論が飛び交う本作の狙いや、メディアをはじめ、我々が311以降抱えてきた「後ろめたさ」について話を伺った。


 311-1.jpg━━━どうして震災後すぐに、4人で被災地へ行くことになったのか。
震災後二週間経つか経たないかで、綿井さんが電話で「行きませんか。」と声をかけてきました。僕は11日からずっと家に閉じこもってテレビや新聞ばかり見ていて、鬱になりかけていたので、「とても無理だ。」と一旦断ったんです。疑似的にPTSDになっていたので、それだったら疑似を外そうと「やっぱり行きます。」ともう一度連絡して、そこから安岡さんや松林さんが加わっていきました。


━━━最初から映画にするつもりだったのか。
現場に行ってみようとは決めていましたが、その段階で作品にしようと僕は考えていなかったです。4人の共同監督作品になりましたけど、ドキュメンタリーは一人称ですから、そもそも共同監督はありえないです。結果的にはみんなの素材を開封してみて「いいかな。」という感じでした。1ヶ月ぐらいして「つないでみたから見に来い。」と言われて、そのあたりがスタートですね。

 311-2.jpg━━━放射能のある福島へ向かった映像が、怖さやどこかおかしさを出していたが。
大はしゃぎに見えるじゃないですか。実際は怖いからしゃべらずにはおれなかったんです。爆発から2週間も経っていない時で、初めて線量計を見ているので、誰も分かっていない。あれだけ大騒ぎしていたけれど、今から思えばそんなに大した数値じゃないんです。逆に言えば、僕らが今すっかり慣れきってしまっていることが問題ですね。

戦場撮影経験のある綿井さんは「戦場より怖い。」と言っていました。戦場の兵士も怖さが高じてそう状態になるのだそうです。線量計の数値が目に見えて上がりますからね。何の装備もせずに行って、ワークマンで買い物をして、一番のホットスポットにかっぱと風邪のマスクで行ったんですから。
 

 311-3.jpg━━━遺体が置かれた跡のある安置所の映像はなぜ撮ったのか。
空っぽの安置所なんてメディアは誰も撮らないでしょう。避難所でも子どもにインタビューしましたが、あそこに行けば親のいない子どもがたくさんいると聞いたからであり、あの映像はふつうのメディアだったら全部NGです。でも今回はNGを全部使っています。メディアは、どうしてもより被害や悲劇をこうむっている人にカメラを向けてしまうのです。後ろめたさや人の不幸をネタにしているのです。
高円寺のドキュメンタリー映画祭で特別上映したときの質疑応答で、安岡が「『A』と『A2』を一緒に作ったときにメディア批判と言われて、違うポジションに立っているように思われているけれど、我々もメディアの一部なんだ。」と答えたんです。たまたまカメラの位置が違ったらこういう映像が撮れたわけで、メディアの問題点を自分たちでもっと表したいという気持ちが本作にはありました。

━━━大川小学校の前でお子さんを探していたお母さんたちにかけた言葉は、森さんのリアルな言葉なのか。
最初腕章を付けていたのでお母さんたちとは思わなかったのですが、「子どもを探している。」といわれて何と声をかけていいか分からなくなりました。でもカメラを持っているからぼうっとしているわけにはいかない。最後に「不満があれば僕にぶつけてください。」と言ったのは最低ですね。歯の浮くような偽善的な言葉じゃないですか。あれはカットしたかったのですが、自分たちのぶざまさや狡猾さ、計算していることが露わなので、全員一致で残しました。

 311-4.jpg━━━遺体を撮ろうとして、正当性を主張するシーンもあるが。
阪神淡路大震災のときは、取材しようとするとみんな「どつくぞ。」みたいな剣幕でしたが、今回は声をかければちゃんと答えてくれて、みんなびっくりしました。あまりに皆さん礼儀正しくて、逆に困っちゃったなと思っていたので、(遺体の写真を撮るのを阻止するべく)棒を投げられた時は当然だなと思いました。彼らからすれば、謝っているくせに撮るのをやめようとしない自分たちメディアは意味不明ですよね。でも、メディアは引き裂かれながらも踏ん張る存在ですから。


━━━森監督は社会派のイメージがありますが。
「ドキュメンタリーはうそをつく」と、ドキュメンタリー作家は内心みんなそう思っています。多少刺激的な言葉ですが、僕が言いたいのは主観だということです。僕の見方であり、ドキュメンタリーは僕にとっては真実でもあなたにとっては嘘かもしれない。メディアにしても、建前と思いつつやっていればいいが、そうでないと正義になってしまう。メディアで自分を正義と思うのは、僕は最悪だと思っています。

 311-s2.jpg━━━3.11以降の日本をどう思うか。
非当事者が自分が当事者であるかのように錯覚している傾向が非常に大きいです。オウム真理教事件によって被害者感情というものは増大しました。不特定多数が狙われ、遺族の感情を共有しながら、危機も共有化する。人間は危険を察知するとまとまりたくなりますが、群は暴走するリスクも持っていて、日本人はその傾向が強いです。敵を探し、強いリーダーを求めたくなる。震災以降の東京都知事や大阪での選挙結果をみたら分かるでしょう。僕らは被害者になれないことを自覚しなければなりません。後ろめたさからくる群れはとてもリスキーなのです。


  「作品にするなら僕たちの後ろめたさを描ければと常々言っていました。その辺で安岡と僕の理想線みたいな形になりましたね。」と語った森監督。3.11以降当然のように広がった自粛の流れにも警笛を鳴らし、非当事者が当事者のように感情を共有し、一方向にしか向かない今の日本の現状に危機感を募らせていることがインタビューからもヒシヒシ伝わってきた。

 正直な感想を言えば、筆者も本作を見て最初は不快感を覚えていたのだが、これもまた当事者ではない後ろめたさからくるものなのかもしれない。メディアとは何なのか。日頃のメディアでは絶対に映らないNGシーンを入れることで、大災害の爪痕を前に何もできないでいる生身の彼らの姿が浮き彫りになった異色ドキュメンタリー。メディアが必死になって映そうとしている悲劇こそ、当事者ではない者が渇望しているという事実にも気付かされるのだ。 (江口 由美)

(C)森達也・綿井健陽・松林要樹・安岡卓治
 

  1 2 3 4 5