「マスク」と一致するもの

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(2022年2月11日(金・祝)大阪、梅田ブルク7にて)

ゲスト:甲本雅裕、戸田菜穂、錦織良成監督



名バイプレイヤー甲本雅裕、映画初主演

「この日が待ち遠しかった。感謝しかない!」

ほか戸田菜穂・錦織良成監督 登壇


公開延期から2年を経て、本日2月11日(金)に全国公開を迎えた映画『高津川』東京はバルト9に続いて、大阪は梅田ブルク7で、甲本雅裕、戸田菜穂、錦織良成監督による初日舞台挨拶が開催された。
 

一級河川としては珍しいダムが一つも無い日本一の清流「高津川」を舞台に、人口流出に歯止めのかからない地方の現実の中、歌舞伎の源流ともいわれる「石見神楽」の伝承を続けながら懸命に生きる人々を力強く描いた本作。コロナ感染拡大による緊急事態宣言を受け2020年4月に公開延期を強いられていたが、約2年を経て念願の全国公開を迎えた。

 


takatsugawa-bu-240-4.jpgこれまで名バイプレイヤーとして活躍し、錦織監督作品の常連でもあり、監督との兼ねてからの約束通り本作で映画初主演を果たした甲本は、「この日を待ち望んでおりました。世の中の状況はまだ大変ですが、僕はベストな日に公開ができたと思っています。感謝しかありません。頭や心が大変な思いでパンパンになって困っておられる方に、我々は一体何ができるだろうか?そう考えたら、少しでも心に隙間を空けて頂いて、楽しいことだけを詰めて差し上げることができればと思っております」と、公開を迎えた歓びを語った。



 


takatsugawa-bu-240-3.jpgまた、NHK大阪局制作の朝ドラに出演していた戸田は、「大阪でも公開されて本当に嬉しいです。あの頃が思い出されて懐かしい。この映画は、いつ観ても心に響く、心の豊かさとは?自分の幸せとは?本当に大切なものとは?といろんな想いを馳せられる作品だと思います。今日はこの映画を選んで下さいまして、心が響き合えるようです。」と初日を迎えて嬉しそうに語った。


地元・島根県で撮影を行った錦織監督は、「この2年間は長かったです。またしても感染拡大となりましたが、これも運命!キャストを始めスタッフや皆で丁寧に想いを込めて撮った作品です。本日は『スパイダーマン~』や『ウエスト・サイド・ストーリー』ではなく、この地味なタイトルの映画を選んで観に来て下さいまして本当にありがとうございます!舞台は島根ですが、日本全国津々浦々どこにでもある話です。勝手な思い込みですが、皆様の物語として少しでも勇気を持って頂けたら嬉しいです。」と本作への思いを語った。


takatsugawa-550.jpgのサムネイル画像1か月以上に及ぶ撮影期間でじっくりこだわり抜いて撮られたシーンの数々は殆どが現地の方の家や山林や田畑でのロケーションが中心。中でも牧場主を演じた甲本は、「衣装も道具も全て実在の牧場主の方が実際に使っておられる物をそのまま使わせて頂いて、食事のシーンでもそこの奥さんが作って下さった料理を食べさせてもらいました。普通、”消え物“はスタッフが用意するでしょう!? こんな現場ないですよ!」と当時の驚きを語った。


takatsugawa-bu-240-2.jpgそれに対して監督は、「そうなんです!ありのままの状態がいいんです。せっかく綺麗にお掃除して撮影隊を迎え入れて下さったのに、わざわざまた汚したりしてね。戸田さんが演じる役の実家のシーンも、地元のお菓子屋さんの店内や看板をそのまま使わせて頂きました。この映画はフィルムで撮っています。デジタルよりクオリティが高いことは皆様もご存知だと思いますが、細部までこだわろうと、丁寧に撮りました。」と自信をのぞかせた。


監督に地元に馴染むようにと言われた戸田は、「撮影があまりにも居心地がいいので、撮影が終わってほしくなかったです。特にスタッフの皆さんのエネルギーが凄くて最高でした。青々とした山、美しい川や田んぼがあって…」と言いかけると、甲本が、「土手に錦織監督が座ってると、まるでプーさんみたいで!」と場内を笑いの渦に巻き込んだ。確かに、恰幅のいいにこやかな錦織監督はプーさんのイメージにぴったし!


takatsugawa-bu-240-1.jpg最後に、戸田は、「この映画はこれから全国順次公開されますが、それぞれの土地で生きる人々の心の灯になれば嬉しいです。是非ロケ地巡りをしてみて下さい!」。錦織監督は、「少しでも気に入って頂けたらSNSなどで拡散して、皆さんのお力をお借りできれば嬉しいです」。甲本は、「面白かったと思って頂けたなら、観た後に誰かと話すキッカケにして下さい。こんな時期ですが、マスクをしてどんどん出掛けて、誰かとお話をして繋がりましょう!」と締めくくった。


錦織監督のお人柄からさぞかし和やかな現場であったことは容易に想像できる。過疎化が進む地方での暮らしの中で、人と人との繋がりの温もりや、本当の幸せについてなど、忘れてはならない大切なものを思い出させてくれる感動作。今どきこれほど身につまされて心揺さぶられる映画も珍しい。
 


【STORY】

~これはきっとあなたの物語~

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斎藤学(甲本雅裕)は山の上の牧場を家族で経営している。歌舞伎の源流ともいわれる「神楽」の舞いは地元の男たちの誇りだった。だが、息子の竜也は神楽の稽古をさぼりがちであまり興味がなさそうなのだ。多くの若者がそうであるように自分の息子もこの地を離れて行ってしまうのではと心配している。そんな時、学の母校である小学校が閉校になることを知らされ、各地に散った卒業生に連絡して、最後の同窓会を開催することを計画する。

 

■原作・脚本・監督:錦織良成  音楽:瀬川英史
■出演:甲本雅裕、戸田菜穂、大野いと、田口浩正、高橋長英、奈良岡朋子
■2020年 日本 1時間53分
■配給: ギグリーボックス  
■© 2019「高津川」製作委員会 ALL Rights Reserved.
■公式サイト:https://takatsugawa-movie.jp/

2022年2月11日(金・祝)~梅田ブルク7、2月25日(金)~京都シネマ ほか全国順次公開


(河田 真喜子)

 

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アニメーションファンと作り手の架け橋となり、高畑勲、宮崎駿をはじめとするアニメーション作家たちの発掘、紹介を通して、アニメーションファンの裾野を広げ、スタジオジブリ設立にもつながった日本初の商業アニメ専門誌「アニメージュ」。鈴木敏夫プロデューサーが在籍していた同誌の12年間の歩みと、70年代後半から80年代にかけてのアニメブーム期の歴史や、スタジオジブリの原点を解き明かす巡回展『「アニメージュとジブリ展」一冊の雑誌からジブリは始まった』が、12月9日より阪急うめだ本店 9階 阪急うめだギャラリー、うめだホールにて開催中だ。
 
 
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東京からスタートした同展示は、緊急事態宣言発令により期間半ばにして終了を余儀なくされたが、その後石巻を経て、大阪ではさらに関西限定の『じゃりんこチエ』コーナーを加えるなど、パワーアップした巡回展となる。
 
 
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オープニング前のプレス内覧会では、ナウシカ役の声優、島本須美さんと、同展覧会企画に深く関わった、三鷹の森ジブリ美術館シニアアドバイザーの高橋望さんが来場。
「アニメージュ(1978年創刊)には、今のアニメーションにつながる原点があり、今こそ見て欲しい」と高橋さん。創刊当初は富野由悠季監督の『機動戦士ガンダム』が大ブームを迎えており、「ガンダムがあることで、アニメファンがいることが作り手にも実感できたし、ガンダムとアニメージュの出会いがなければ、『風の谷のナウシカ』は生まれなかった」と、ガンダムによるアニメブームで、ファンと作り手を結ぶ役割を果たしたアニメージュの功績を語った。展示では『機動戦士ガンダム』の名シーンを立体で表現したジオラマをはじめとしたガンダムコーナーがある他、『機動戦士ガンダム』や『風の谷のナウシカ』の美術を務めた中村光毅さんの原画も展示し、スタッフたちの多面的な仕事ぶりにも光を当てている。鈴木プロデューサーと久しぶりに対談した富野監督のサイン入り『風の谷のナウシカ』ポスターが展示されているのも貴重だ。
 
 
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初の主演を務めた『風の谷のナウシカ』は声優の原点に立ち戻らせてくれる作品だという島本さんは「世界中の人が(腐海のように)マスクなしでは生きられない時代だが、マスクなしで生きられる時代を本気で祈っている」とし、ナウシカコーナーにある腐海の衣装や、段ボールの王蟲は特にお気に入りだという。また島本さんが欲しくなったと興奮した貴重なセル画も展示。島本さんは音声ガイドも担当しており、ガイドを聞きながら、アニメージュとジブリの世界観をぜひ堪能してほしいとアピールした。
 
 
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さらに高橋さんは、ナウシカの抱えたテーマは今だからこそ活きるとその普遍性に言及。「ナウシカは虫も人間も共に大事だと思っている。あらゆる生物を愛さなくてはいけないと。まさに日本が生んだ最強のヒロイン」。最後にアニメージュの意義について、「アニメ界に作家がいたことを知らしめた。作家とファンの関係性はとても大事で、作品の裏側には作家がいることを知って欲しい。作家の時代はこれからも変わらないと思うので、新しい才能が自分の作家性を出すことを続けてほしい」と未来へのメッセージとともに語った。展示ではアニメージュのバックナンバーの表紙や、スタジオジブリ設立までの各段階ごとにパネルをつけて、文面も紹介。アニメーションの分析や、アニメーションスタッフの仕事ぶりやスタジオなどの舞台裏も紹介しているので、ぜひゆっくり当時のアニメージュを堪能してほしい。
 
会場では、本展覧会限定のグッズも多数取り揃えており、中には数量限定のものもあるので、早めにチェックしてほしい。また三鷹の森ジブリ美術館グッズも豊富に取り揃えている。
(江口由美)
 
<開催概要>
【展覧会名】「アニメージュとジブリ展」一冊の雑誌からジブリは始まった 
【会 期】2021年12月9日(木)~2022年1月10日(月・祝)
    ※2022年1月1日(土・祝)は休業 
【会 場】阪急うめだ本店 9階 阪急うめだギャラリー、うめだホール
    (〒530-8350 大阪府大阪市北区角田町8番7号) 
【開場時間】10:00~20:00 ※最終入場は各日とも、閉場時間の30分前まで。
      ※12月31日(金)および催し最終日は18:00まで 
【入 場 料】《日時指定券》一般1,500円(1,400円) /中高生1,000円(900円) /小学生600円(500円)
 

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TOHO シネマズ西宮 OS IMAX®レーザー導入記念

映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』特別試写会

招待券プレゼント!!!

 

TOHO シネマズ西宮 OS に IMAX ®シアター

“IMAX® レーザー” が兵庫県初導入!

https://www.tohotheater.jp/news/nishinomiya-imax.html

導入を記念して、下記の通り試写会を実施いたします。


【作品】『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』2022 年 1 月 7 日(金)公開

            ★公式サイト: https://www.spiderman-movie.jp/

【日時)2021 年 12 月 28 日(火)18:30 開映

【会場】TOHO シネマズ西宮 OS

【募集数】2組4名

【応募〆切】12 月17 日(金)



世界中にスパイダーマンであることを明かされたピーター・パーカーに

時空を超えて集結した過去シリーズのヴィラン達が襲い掛かる

2021年製作/アメリカ
原題:Spider-Man: No Way Home
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

© & ™ 2021 MARVEL. ©2021 CPII and MARVEL. All Rights Reserved.


【お願い:ご来場いただく際には下記の事項をご一読のうえお越しください】

■政府による「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」及び全国興行生活衛生同業組合連合会による最新の「映画館における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」に基づき、映画館を運営しております。

■全座席をお座りいただけます。

※新型コロナウイルスの感染状況により、お座りいただく座席数が変更になる場合がございます。予めご了承ください。

■マスクを外した状態での会話を防ぐため、スクリーン内にて上映前までは、飲食はお控えいただきますようお願いいたします。

※上映中は、ポップコーンやホットドッグなどのフード類やドリンク類をお召し上がりいただけますが、飲食の時間は極力短くしていただきますようお願いいたします。

■スクリーン内では必ずマスクを着用してください。

※飲食物をお召し上がりの際に一時的に外すことがあっても、終わりましたら着用をお願いいたします。

※乳幼児(3歳以上の幼児は着用を推奨)を除き、着用いただけない場合はご鑑賞をお断りさせていただきます。

※身体上のご事情がある場合は、劇場従業員までお申し出ください。

■イベント中および本編のご鑑賞の際には、会話や発声はお控えください。特に飲食物をお召し上がりの際の会話はしないようご注意ください。声援が起こった際には、ご退場いただいたり、イベントを中止させていただく場合がございます。予めご了承ください。

■ご来館前の検温など体調管理および発熱、咳などの症状がある場合は、体調を最優先いただき、ご来場をお控えください。

■過去2週間以内に感染が拡大している国、地域への訪問歴がある場合は、ご来場をお控えください。

■手洗いや備え付けの消毒液のご使用、咳エチケットにご協力ください。

■ソーシャルディスタンス(社会的距離)の確保について、座席指定券との引換時や売店等のお並びの際、および入退館時など、一定距離の確保にご協力ください。

■ご入場の際の機器による検温にご協力ください。37.5度以上の発熱が確認された場合は、ご入場をお断りいたします。

■新型コロナウイルスの感染拡大状況やその他主催者の判断により、イベントの開催中止や、内容が予告なく変更になる場合がございます。その場合も、交通費や宿泊費などの補償はいたしません。

■ご応募時にご登録の氏名・緊急連絡先は、万が一来場者から感染者が発生した場合など必要に応じて保健所等の公的機関へ提供させていただく場合がございます。予めご了承ください。

■厚生労働省による新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)や、地域の通知サービスの活用を推奨しています。

■その他、映画館の新型コロナウイルス感染症予防対策へのご協力をお願いいたします。ご協力いただけない場合には、ご鑑賞をお断りさせていただく場合がございます。



 (新型コロナウイルス感染予防の対応についてはこちら

新型コロナ感染症予防対策は、政府および全国興行生活衛生同業組合連合会の最新のガイドラインにより変更する場合がございます。また、一部の映画館、スクリーンでは対応が異なる場合がございます。

※いかなる場合においてもイベント中の途中入場は固くお断りいたします。

※全席指定席となります。チケットをお持ちでない方はご覧になれません。

※場内でのカメラ(携帯電話含む)・ビデオによる撮影、録音等は固くお断りいたします。当日は荷物検査を行わせていただく場合がございます。

※会場内ではマスコミ各社の取材による撮影、弊社記録撮影が行われ、テレビ・雑誌・ホームページ等にて、放映・掲載される場合がございます。また、イベントの模様が後日販売されるDVD商品等に収録される場合がございます。予めご了承ください。お客様の当催事における個人情報(肖像権)については、このイベントにご入場されたことにより、上記の使用にご同意いただけたものとさせていただきます。

※運営の都合により、会場への入退場、トイレのご利用を制限させていただく場合がございます。

※インターネット・オークションへの出品その他の転売目的での応募及び転売はお断りします。

※営利を目的として転売された入場券及びインターネットを通じて転売された入場券は無効とし、当該入場券による御入場はお断りします。

※イベントの予定は、急遽変更になる場合がございます。あらかじめご了承ください。

※車いすでお越しのお客様は、車いすスペースでご鑑賞ください。なお、席数に限りがございますので、定員を超えた場合はご利用いただけません。また、お客様にご不便のないように、イベントの演出や報道各社の取材状況によって、安全なスペースへの一時的な移

動をお願いする場合もございます。ご了承のうえご利用くださるようお願いいたします。


(オフィシャル・リリースより)

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『カオス・ウォーキング』マスクケース(ポーチ)プレゼント!

 

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◆提供:キノフィルムズ

◆プレゼント数:2名様

◆締め切り:2021年11月14(日

◆公式HP: https://cw-movie.jp/


 

2021年11月12日(金)~TOHOシネマズ 日比谷 他全国ロードショー

 



巨大宇宙船、エイリアンとの戦い、謎に満ちた星──

壮大なスケールと映画史上初の設定によるエキサイティングなストーリーで、

映画ファンを驚愕と歓喜の〈ニュー・ワールド〉へと連れ去る、

新感覚SFエンターテイメント
 

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それほど遠くない未来、人類は汚染した地球を旅立ち、新天地に辿り着いた。しかしそこでは男たちは頭の中の考えや心の中の想いが、〈ノイズ〉としてさらけ出されるようになり、なぜか女は死に絶えてしまう。生まれてから女性を見たことがない青年がある時、地球から新天地にやってきた一人の女性と出会う…。


本作はガーディアン賞、カーネギー賞など、数々の名立たる文学賞を制するパトリック・ネスの傑作SF小説を映画化。監督は大ヒットメーカーのダグ・リーマン。主演は英国からハリウッドへ進出し、今や世界中から愛されているトム・ホランド。共演は『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』でスターダムを駆け上がったデイジー・リドリーと、21世紀を代表する名優マッツ・ミケルセンです。


なぜ? どうして? いたるところちりばめられた謎。そして“ノイズ”によって、頭の中の思考や想像が露わとなる面白さに加えて、生まれて初めて女子を見る青年を演じるトム・ホランドの初々しさ爆発の演技。謎と“ノイズ”、それに10代の瑞々しい感性がミックスされた新感覚のSF映画、それが『カオス・ウォーキング』
 


<STORY>

西暦2257年、〈ニュー・ワールド〉。そこは、汚染した地球を旅立った人類がたどり着いた〈新天地〉のはずだった。だが、男たちは頭の中の考えや心の中の想いが、〈ノイズ〉としてさらけ出されるようになり、女は死に絶えてしまう。この星で生まれ、最も若い青年であるトッドは、一度も女性を見たことがない。ある時、地球からやって来た宇宙船が墜落し、トッドはたった一人の生存者となったヴァイオラと出会い、ひと目で恋におちる。ヴァイオラを捕えて利用しようとする首長のプレンティスから、彼女を守ると決意するトッド。二人の逃避行の先々で、この星の驚愕の秘密が明らかになっていく──。
 

◆出演:トム・ホランド、デイジー・リドリー、マッツ・ミケルセン、デミアン・ビチル、シンシア・エリヴォ、ニック・ジョナス、デヴィッド・オイェロウォ
◆原作:『心のナイフ』〈混沌(カオス)の叫び1〉パトリック・ネス著(東京創元社) 
◆脚本:パトリック・ネス&クリストファー・フォード 
◆監督:ダグ・リーマン
◆【原題】CHAOS WALKING/2021年/アメリカ・カナダ・香港/英語/109分/ドルビーデジタル/カラー/スコープ/G/字幕翻訳:大西公子 
◆配給:キノフィルムズ 提供:木下グループ cw-movie.jp
◆© 2021 Lions Gate Films Inc. All Rights Reserved
公式サイト:https://cw-movie.jp/

2021年11月12日(木 ・祝 日)~ TOHOシネマズ 日比谷 他全国 ロードショー


(オフィシャル・リリースより)

 

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 2年ぶりに対面で開催された第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で見事脚本賞を含む4冠を受賞した濱口竜介監督最新作『ドライブ・マイ・カー』が、8月20日(金)から大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズなんば、シネ・リーブル神戸、TOHOシネマズ二条ほか全国ロードショーされる。
  村上春樹の短編小説集「女のいない男たち」所収の「ドライブ・マイ・カー」に「シェエラザード」「木野」の要素も加えて映画化した本作は、その世界観を踏襲しつつ、東京、広島、北海道、釜山と時間も場所も超えた、深みのある人間ドラマに仕上がっている。
  演出家の家福(西島秀俊)と妻、音(霧島れいか)。愛し合っているはずの夫婦関係に影を落とす高槻(岡田将生)、そして音の急死から2年後、家福の愛車、赤いサーブ900の専属運転手となるみさき(三浦透子)をめぐる物語は、言葉にできないそれぞれの過去や苦しみ、それを乗り越えようとする生き様が次第に立ち上がってくる。3時間だから描ける芳醇さにぜひ身を委ねてほしい。
  本作の濱口竜介監督に話を聞いた(後半、一部結末に触れる部分があります)。
 

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■村上作品の中で『ドライブ・マイ・カー』なら映画を作る糸口がある

――――村上春樹作品の映画化ということで心理的ハードルも若干高かったのではないかと思いますが、どのような部分に最も魅力を感じたのですか?
濱口:最初、プロデューサーから村上春樹さんの小説を映画化しようと渡されたのは別の作品でした。普通に考えても村上春樹さんの作品は映画になりづらい部分がありますから、提案された作品については映画化が難しいと思いました。そんな中、『ハッピーアワー』の製作中に映画化を抜きにして手にした短編が『ドライブ・マイ・カー』でした。読んだときに、これは自分が映画でやってきたこととすごく響きあうし、今まで取り組んできたこととの親和性を感じたんです。
 
もう1点、共同監督の酒井耕さんと東北でドキュメンタリー(「東北記録映画三部作」の『なみのおと』『なみのこえ』『うたうひと』)を撮っていたとき、ひたすら彼と一緒に車で移動していたので、車の中で生まれてくる会話があることが、自分の実感として残っていました。
 
そういう過去の記憶も含めて、そのときは現実的ではなかったけれど「これは映画にできるかもしれない」と読んだ当初から思ったし、その後プロデューサーに「『ドライブ・マイ・カー』だったらできるかもしれない」と返しました。ものすごく覚悟をしたというより、これだったら映画を作る糸口があるという感じでしたね。
 
 
――――本当に映画の魅力が詰まった3時間でした。コロナ禍で自由に移動できないし、演劇も中止に追い込まれる中、本作ではそれらの魅力を疑似体験させてもらった心地よさがありましたね。
濱口:ありがとうございます。カンヌでも、上映したシアターの客席が舞台の客席のように感じたり、車に乗っているような感覚が多々あったので、僕もそういう疑似体験を観客と一緒に観て味わうことができた気がします。
 
 
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■シンプルに演技をする多言語演劇を取り入れて

――――当初は釜山でほぼ撮影する予定だったそうですが、年内に撮影を終えるまで急ピッチで脚本を改訂されたのではないかと思います。多言語演劇の要素も含めて、どのように行ったのか教えてください。
濱口:車を自由に走らせることができるという点に魅力を感じ、基本的に釜山で撮る予定でした。釜山で国際演劇祭が行われる設定にしていたんです。東京の家福が演出家として釜山に呼ばれ、彼に現地での運転手がつくという流れならスムーズだろうと。そこでどういう演劇をやっているのかと考えたときに、実際にもやられている多言語演劇がいいのではないかと思いました。
 
多言語演劇というのはシンプルに演技をする方法ではないでしょうか。相手の言っている言葉の意味がわからなくても、相手の声や身体の動きを通して現れているので、映画の中のような訓練を重ねれば、ある音がどんな意味を持つのかが俳優たちは大まかにわかるわけです。言葉の意味ではなくもっと直接的にお互いの体同士で反応しあう演技ができるのではないか。そう思って映画に取り入れましたし、実際にその瞬間を目撃していただけると思います。
 
 
――――今回大江崇允さんとはどのような経緯で共同脚本を務めることになったのですか?
濱口:山本プロデューサーがずっと脚本家の大江さんと仕事をされており、今回僕から共同脚本家の候補を探していたときに大江さんを推薦してくれたんです。大江さんは演劇に詳しい方なので、それはぜひとお願いしました。
 
 
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■納得度の高い作品を生む共同脚本

――――一般的に単独で脚本を書く方が多いですが、濱口監督は過去何度も共同で脚本を手がけておられますね。そのスタイルの方がやりやすいのですか?
濱口:一人で書く良さもありますが、結果的にちゃんとやればクオリティーが高くなるのは、複数で脚本を書く方です。客観性の部分もしかりですし、できるだけ多くのフィルターを通っているものの方が、納得度の高い作品が生まれやすいですね。
 
――――カンヌの授賞式でも大江さんがこのままでいいと励ましてくれたから脚本を書ききることができたとおっしゃっていましたが、一番悩んだ点は?
濱口:基本的な物語は家福と突然失ってしまった妻の音、運転手のみさきの話になるので、演劇の話がどの程度絡むべきなのかは最後の最後まで、明確には見えづらかったです。最終的には編集段階まで持ち越しましたね。
 
――――多言語演劇を一から作るところが入ることで、停滞した空気が流れていくというか、作品に新たな命が宿るようなインパクトがありました。
濱口:脚本段階では、本当に要るのかなとも思うわけですが、実際に撮影すると「要るね!」となるわけです。ずっと見ていられるし、とても魅力的な時間であることが、実際の俳優たちを前にすることでわかりやすくなります。
 
――――その過程で、演出家の家福自身の変化も見えたように感じましたが。
濱口:家福は演出家なので、仕事場ではよく見て、よく聞く人間です。でもプライベートではそうではなかった。そのことを気づかせるのが、プライベートとバブリックな場を繋ぐ岡田将生さんが演じた高槻ですね。
 
――――濱口監督の演出方法として、事前に本読みを重ねることがありますが、本作では演劇中の本読みのシーンが出てきますね。
濱口:厳密にはやや異なりますが、僕の演出の場合は無感情で本読みをすることを重ねていきます。一般的に言って、演技をする上での問題点として、何が起こるかわかっているのに、はじめてのように反応しなくてはならないことが挙げられます。何十回も本読みをすることで、条件反射的に言葉が出てくるようになりますから、物事の順番はある意味、完全に固定されます。ただ、どんな風に言うかは本番はじめて知るので、セリフを言う相手に対して「こんな風に言うのか」と、多分皆さん感じるのではないかと思いますし、そのときの反応がどこか生々しくなっていく。部分的にですがさきほど挙げた演技の問題は解決するのではないかと感じています。
 
 
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■三浦透子のもつ気高さを引き出し、みさきとして映画に定着させる

――――原作では運転のうまさに焦点当たっていた運転手のみさきですが、本作では時間をかけてその人物像が立ち上がってくる様がとても印象的でした。みさきという人物の掘り下げ方や、また演じた三浦透子さんについて教えてください。
濱口:原作では家福の精神的介助役という部分が強いみさきですが、基本的にはとても魅力的なキャラクターだと思っていました。短編を長編に展開していくにあたり、どのように描けば最終的には家福と互角のような存在感まで育てていけるかを考えていました。どこまでみさきの存在を大きくすることが適当なのかと。
 
三浦透子さんを見ていると、このように描きたくなるという魅力がすごくありました。彼女自身が持っている気高さのようなものがあるのです。そういうものをちゃんと引き出したい、映画に定着させたいという気持ちがみさきの描写に反映されていると思います。
 
 

■閉じて終わるのではなく、突き抜けていく物語に

――――みさきも絡む、飛躍のある本作のラストが本当に素晴らしく、このラストを観て原作を超えたと思いました。またコロナの時代であることも描く選択をされていますが、そこに込めた想いは?
濱口:衣装合わせのときに、「マスクをつけますか、つけませんか?」と言われて、「つけます」と。たった一つのことですが、それはとても大きなことであることもわかっています。マスクをつけない(コロナを表さない)こともできたけれど、そちらの方が、今の心持ちに合っていたし、マスクをつけることで、登場人物たちが自分たちと同じ世界に生きているという実感を持ってもらえると思います。晴れ晴れとした表情はしているけれど、世界の厳しさはあるということを表現していますね。
 
実際には舞台に絡むシーンで終わってもいい話ですが、それでは円環が閉じて終わる印象があるので、最終的にどこか突き抜けていく物語にしたいという気持ちがありました。結果としては三浦さんの見せてくれた表情が、それまでの表情とは違う素晴らしいもので、いい形で終われるのではないかと思ったんです。
 
 
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■亡き後も存在感を残す、音役の霧島れいか

――――もう一人、比較的原作のニュアンスがにじみ出る前半で、夫婦のすれ違いと情感を絶妙な塩梅で表現したのが音役の霧島れいかさんです。美しい背筋がしなる様に品のあるエロスを感じました。
濱口:原作は妻が死んだところから始まりますが、原作ほど主人公の心情に立ち入ることはできない中、妻の死から2年後、淡々と暮らしている家福の心情はどのようなものなのかを観客が理解するには、妻の存在は明確に示されなくてはいけない。そして彼ら夫婦が抱えている問題はとのようなものだったのかもわからなくてはいけない。それを見せるためには、ある種の性描写は必要だと思っていたので、脚本段階からかなり詳しくどんなことをするのか書き込んでいました。
 
霧島さんに脚本を読んでいただき、かなり勇気が要ることだと思いますが、ぜひやりたいとおっしゃってくださった。脚本はこちらがやりたいことを書いているけれど、やりたくなければ言ってくださいとお伝えしていましたが、その上ですごく勇敢にやりきっていただいたので、とてもありがたかったです。ずっと家福と音の話として観ることができるように、その後も存在感を残してくれたと思います。
 
 

■役者の相互作用が起きるような脚本

――――濱口監督が今まで描き続けてきた作品と同様に、本作もコミュニケーションの物語であり、言葉のあるコミュニケーション、言葉に頼らないコミュニケーションの両方を描くという点でも今までの総括以上の飛躍があったかと思います。最後に監督の考えをお聞かせください。
濱口:自分で「コミュニケーションの映画だ」と思って撮っているわけではありませんが、脚本の書き方や演出の仕方によるところが大きいのだと思います。役者であり、キャラクターでもある人物たちが具体的に相互作用しあうことにより、何かが生まれる。それは現実生活の中では頻繁に起きているものですが、それを演技の場で起こしてくれれば、それが観客にも観念的ではなく、もっと直接的に伝わるのではないかと思っています。そういう相互作用が起きるためには、相互作用が起きるような脚本を書かなければいけない。その結果がご覧になっているような映画になる、ということですね。
(江口由美)
 
 

<作品情報>
『ドライブ・マイ・カー』(2021年 日本 179分) 
監督:濱口竜介
脚本:濱口竜介、大江崇允
原作:村上春樹「ドライブ・マイ・カー」(短編小説集『女のいない男たち』所収/文春文庫刊)
出演:西島秀俊、三浦透子、霧島れいか、岡田将生他
8月20日(金)から大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズなんば、シネ・リーブル神戸、TOHOシネマズ二条ほか全国ロードショー
公式サイト⇒https://dmc.bitters.co.jp/https://dmc.bitters.co.jp/
(C) 2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会
 

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劇場オリジナルアニメーション

『サイダーのように言葉が湧き上がる』

プレスシート プレゼント!

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◆提供:松竹

◆プレゼント数:3名様

◆締め切り:2021年7月25(日

 

 

 

 

◆公式HP:  http://cider-kotoba.jp/

2021年7月22日(祝・木)~全国ロードショー

 



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歌舞伎界の超新星・市川染五郎 ✖ 若手トップ女優・杉咲花

イシグロキョウヘイ監督(『四月は君の嘘』)初劇場版 ✖

フライングドッグ10周年記念オリジナル作品


この度、劇場オリジナルアニメーション『サイダーのように言葉が湧き上がる』が7月22日(木・祝日)に全国公開となります。メインキャストには初映画、初主演、声優初挑戦となる市川染五郎と若手トップ女優の杉咲花が決定!

さらに、声優界の大御所・山寺宏一、今をときめく実力派声優の花江夏樹、梅原裕一郎、潘めぐみ、中島愛、諸星すみれが脇を固めます。

本作の監督には、「四月は君の嘘」、「クジラの子らは砂上に歌う」などを手掛け、繊細で叙情的な演出に定評のあるイシグロキョウヘイ。バンドで活動した経歴を持ち、音楽にも造詣が深い彼が、言葉×音楽をキーワードに、少年少女の「ひと夏の青春」を描きます。
 


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【STORY】

17回目の夏、地方都市――。
コミュニケーションが苦手で、人から話しかけられないよう、いつもヘッドホンを着用している少年・チェリー。彼は口に出せない気持ちを趣味の俳句に乗せていた。矯正中の大きな前歯を隠すため、いつもマスクをしている少女・スマイル。人気動画主の彼女は、“カワイイ”を見つけては動画を配信していた。俳句以外では思ったことをなかなか口に出せないチェリーと、見た目のコンプレックスをどうしても克服できないスマイルが、ショッピングモールで出会い、やがてSNSを通じて少しずつ言葉を交わしていく。


ある日ふたりは、バイト先で出会った老人・フジヤマが失くしてしまった想い出のレコードを探しまわる理由にふれる。ふたりはそれを自分たちで見つけようと決意。フジヤマの願いを叶えるため一緒にレコードを探すうちに、チェリーとスマイルの距離は急速に縮まっていく。だが、ある出来事をきっかけに、ふたりの想いはすれ違って――。


物語のクライマックス、チェリーのまっすぐで爆発的なメッセージは心の奥深くまで届き、あざやかな閃光となってひと夏の想い出に記憶される。アニメ史に残る最もエモーショナルなラストシーンに、あなたの感情が湧き上がる!
 


【CAST】:市川染五郎、杉咲花/潘 めぐみ、花江夏樹、梅原裕一郎、中島愛、諸星すみれ/神谷浩史、坂本真綾/山寺宏一【STAFF】
・原作:フライングドッグ 監督・脚本・演出:イシグロキョウヘイ
・脚本:佐藤 大
・キャラクターデザイン・総作画監督:愛敬由紀子
・音楽:牛尾憲輔
・演出:山城智恵
・作画監督:金田尚美 エロール・セドリック 西村 郁 渡部由紀子 辻 智子 洪 昌熙 小磯由佳 吉田 南 原画:森川聡子
・プロップデザイン:小磯由佳 愛敬由紀子 色彩設計:大塚眞純
・美術設定・レイアウト監修:木村雅広
・美術監督:中村千恵子 3DCG監督:塚本倫基
・撮影監督:棚田耕平 関谷能弘
・音響監督:明田川 仁
・アニメーションプロデューサー:小川拓也
・劇中歌:「YAMAZAKURA」大貫妙子
・主題歌:「サイダーのように言葉が湧き上がる」never young beach
・アニメーション制作:シグナル・エムディ×サブリメイション
・製作:『サイダーのように言葉が湧き上がる』製作委員会
・配給:松竹
・ ©2020フライングドッグ/サイダーのように言葉が湧き上がる製作委員会

公式HP:http://cider-kotoba.jp/
公式Twitter:@CiderKotoba
 

2021年7月22日(木 ・祝 日)~ 全国 ロードショー
 


(オフィシャル・リリースより)

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上の写真、左から、
植木咲楽(UEKI SAKURA)(25)   『毎日爆裂クッキング』 
木村緩菜(KIMURA KANNA)(28)  『醒めてまぼろし』
志萱大輔(SHIGAYA DAISUKE)(26)『窓たち』



日本日本映画の次世代を担う

若き3人の監督作品とコメントを紹介

 

まず、《ndjc:若手映画作家育成プロジェクト》とは――?

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次世代を担う長編映画監督の発掘と育成を目的とした《ndjc:若手映画作家育成プロジェクト》です。文化庁からNPO法人 映像産業振興機構(略称:VIPO)が委託を受けて2006年からスタート。今回も、学校や映画祭や映像関連団体などから推薦された中から3人の監督が厳選され、最終課題である35ミリフィルムでの短編映画(約30分)に挑戦します。第一線で活躍中のプロのスタッフと共に本格的な映画製作できるという、大変貴重な機会が与えられるのです。


このプロジェクトからは、先ごろ公開された『あのこは貴族』の岨手由貴子(そでゆきこ)監督も輩出されています。「東京」で生きる立場の違う二人の若い女性の生き方を、鋭い洞察力と瑞正な映像センスで観る者の心を掴む秀作です。他にも、『湯を沸かすほどの熱い愛』で数々の賞に輝いた中野量太監督や、『トイレのピエタ』の松永大司監督、さらに『嘘を愛する女』の中江和仁監督や、『パパはわるものチャンピオン』の藤村享平監督、そして『おいしい家族』『君が世界のはじまり』のふくだももこ監督などを輩出して、映画ファンも業界人も注目するプロジェクトです。


今年はどんな若手監督に出会えるのか?――日本映画の次世代を担う新たな才能、3人の監督に作品に込めた想いや作品についてご紹介したいと思います。



 

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■監督:植木咲楽(UEKI SAKURA)

■作品名:『毎日爆裂クッキング』

■作家推薦:PFF
■制作プロダクション: アルタミラピクチャーズ
■出演: 安田聖愛 肘井ミカ 駒木根隆介 今里真 小日向星一 大谷亮介 渡辺えり

■製作総指揮:松谷孝征(VIPO理事長)■プロデューサー:土本貴生 
■撮影:柳島克己
(2021年/カラー/スコープサイズ/30分/©2021 VIPO)


【あらすじ】
ndjc2020-「毎日爆裂クッキング」-pos.jpg味覚障害に苦しむ相島文(安田聖愛)は、あらゆる調味料をかけて無理やり食べていた。それというのも、<食>の情報誌『織る日々』の編集者として働く文は、上司・皆月によるパワハラ、というより執拗なイジメに遭っていたのだ。文が手掛ける連載記事「畑食堂」は読者や上層部にも好評なのだが、それを皆月は妬んでいるのか、文だけに嫌がらせをしていた。同僚は知らん顔、誰も助けてくれない。もうストレスゲージはMAX!そんな時に空想するのが、キッチンで大暴れする憧れのエッセイスト・芳村花代子(渡辺えり)だった。


食についての編集者が味覚障害とは!? ある日、取材に訪れた農家の妻に見破られ、益々自分を追い込んでしまう。さらに、文が敬愛する芳村花代子が出版社に打合せにやってきて、連載記事「畑食堂」のファンだと言われ大喜びする。ところが、なんとその記事の担当者はいつの間にか皆月になっていたのだ。大好評の自信作を皆月に横取りされて、ついに文の怒りが爆裂する!

【感想】
ストレスを抱えながら生きている人が多い現代、にっちもさっちも行かなくなることもあるだろう。だが、自分を追い詰める前に、まずはその原因となる障害に立ち向かおうよと、勇気をくれるような作品。明らかに理不尽なことを強要されれば我慢も限界となる。立場の弱い人々が置かれた現状に着目し、ストレスからくる障害も妄想シーンを交えてユーモラスに描出。さらに、青々とした田園風景の中で作物への愛を語るシーンからは、得意分野で輝ける希望を感じさせてくれる。キッチンで爆裂する渡辺えりが痛快!


【植木咲楽監督のコメント】
ndjc2020-inta-ueki-1.jpgベテランのプロの方々との初めての大規模撮影に緊張しましたが、皆さんに支えて頂いて心から感謝しています。また、渡辺えりさんに出演して頂けたことはとてもラッキーでした。可愛い衣装選びも楽しかったです。

元々「食」をテーマにした作品を撮りたいと思っていたので、コロナ禍で時間が出来たこともあり、今までの想いを全部詰め込んで書いてみました。

テーマについては、昨今の状況や自分の人生の中で、罵倒されたり不当な扱いを受けたりして心に傷を負うことも多くなってきて、そんな重い空気を笑い飛ばせるようなコミカルなテイストの作品を目指しました。

できるだけ重くならないように、弱っている人を追い詰めないように、最悪の事にはならないように、頑張っている人に失礼にならないように、人を傷付けることにならないように、というような事を大事にしながら書きました。

私は自然がある所に惹かれる性質のようで、今回の農家のシーンは、企画の段階から三浦半島で撮りたいと希望しました。豊かな自然を背景にした映画を撮っていきたいです。ラッセ・ハルスレム監督が好きなんですが、『ギルバート・グレイプ』や『サイダーハウス・ルール』でも自然の描写が活かされていると思いました。

今後は、なるべく誠実な映画を作っていきたいです。できれば、見過ごされてしまったり、蔑ろにされてしまいそうなもの、そういう経験で感じた悔しい思いや、また、そこから助けてもらった時の嬉しさとかを忘れないで映画を撮っていきたいと思っています。
 



【PROFILE】1995年大阪府生まれ。
京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)映画学科にて、高橋伴明、福岡芳穂らより映画制作について学ぶ。監督・脚本を務めた卒業制作『カルチェ』がPFFアワード2018にて入選、第19回TAMA NEW WAVEにてグランプリを受賞。大学卒業後は上京し、石井裕也監督のもとで監督助手を務め、映画・ドラマ・ドキュメンタリー作品の助監督および映像作家としても活動中。
 




ndjc2020-inta-kimura-2.jpg■監督:木村緩菜(KIMURA KANNA)

■作品名:『醒めてまぼろし』

■作家推薦:日本映画大学
■制作プロダクション: シネムーブ
■出演: 小野花梨 青木柚 遠山景織子 仁科貴 青柳尊哉 尾崎桃子
■製作総指揮:松谷孝征(VIPO理事長)
■プロデューサー:臼井正明、古森正泰 
■撮影:今泉尚亮
(2021年/カラー/ビスタサイズ/30分/©2021 VIPO)

【あらすじ】
ndjc2020-「醒めてまぼろし」-pos.jpg2009年、冬。高校二年生の清水あき子(小野花梨)は自宅から自分の学力で通える最大限に遠い都内の高校に通っている。家では眠れないあき子は常に睡眠不足で、教室や電車内でよく居眠りをしている。ある日、電車内で目覚めると、将棋に夢中になっている一人の少年・吉田(青木柚)が目に入る。吉田との出会いがあき子の暗くて単調な生活に変化をもたらすが、またしても共に過ごす時間が消え去ろうとする。

あき子は時々、昔一緒に住んでいた祖母の家に行って眠りにつく。と言っても、もう家は取り壊され更地になっているのだが、お構いなしに、優しい祖母との思い出に包まれるようにして地べたで寝てしまうのだ。そんな祖母を大切しなかった両親への反発もあり、家には居場所がないあき子にとって、そこが一番安心して眠れる場所だったのだ。

【感想】
大切な人を失って、その面影と温もりを求め過ぎて他を寄せ付けないこともあるだろう。ましてや、思春期のどうしようもない気持ちを持て余し、家族や級友らにも心を閉ざしてしまうこともあるだろう。そんな行き場のない気持ちを抱えた少女が、安心して眠れる場所を探すように他者とのコミュニケーションをとろうとする。その姿に冷ややかなニヒルさを感じさせる。終始仏頂面の少女と、安易な理解を拒むような展開は共感しづらいところもある。思春期の暗い面ばかりでなく、少女ならではの生命力はじけるようなシーンも盛り込んでほしかったなぁ。


【木村緩菜監督のコメント】
ndjc2020-inta-kimura-1.jpgコロナ禍での撮影は、マスクやフェイスシールドなどで相手の表情が見えにくく、気持ちも分かりにくかったように感じて、コミュニケーションを如何にとっていくかが大変でした。それでも、いろんな人が意見を言って下さったり協力して下さったりして作品ができたことにとても感謝しています。

テーマについては、「自分の居場所がないというか、帰る場所がないと思っている人が、どうやって一人で生きていったらいいのか?」と思った時に書いた脚本です。主人公は自己肯定感の低い少女ですが、過去の楽しかった思い出を拠り所にして、新たなコミュニケーションをとろうとしていきます。私が伝えたいテーマは分かりにくいと思うので、どこまで理解してもらえるか分かりませんが、自分の中でこれが正しいと思うことは曲げないようにしました。

好きな映画監督は、田中登監督や熊代辰巳監督に黒澤明監督、アンドレイ・タルコフスキー監督などが好きです。「感性が先行する映像派」と言われるかも知れませんが、今後は、言葉で説明できない感情をちゃんと映画にできたらいいなと思っています。
 



【PROFILE】1992年千葉県生まれ。

日本映画大学卒業。在学中からピンク映画や低予算の現場で働く。卒業制作では脚本・ 監督を務めた「さよならあたしの夜」を16mmフイルムで制作。卒業後は映画やドラマ、CM、MVなど様々な監督のもとで助監督として働く。
 




ndjc2020-inta-shigaya-2.jpg■監督:志萱大輔(SHIGAYA DAISUKE)

■作品名:『窓たち』

■作家推薦:PFF
■制作プロダクション:角川大映スタジオ
■出演: 小林涼子 関口アナン 瀬戸さおり 小林竜樹 里々佳
■製作総指揮:松谷孝征(VIPO理事長)
■プロデューサー:新井宏美 
■撮影:芦澤明子
(2021年/カラー/ビスタサイズ/30分/©2021 VIPO)

【あらすじ】
ndjc2020-「窓たち」-pos.jpg一緒に暮らして5年程が経つ美容師の朝子(小林涼子)とその恋人でピザ屋のアルバイトをしている森(関口アナン)。その関係性はもうときめくことはないが冷め切っているわけでもない。森には他の女性の気配がする上に、生活を向上させようとする意欲もない。このままこの関係を続けていいものだろうかと不安に感じ始めた朝子は、森に妊娠したことを告げる。

子どもがいる友人宅で父親としての自覚を感じ始めた森は、朝子に子どもを産んで欲しいと伝える。彼なりに正社員になろうとしたり女性関係を清算したりするが、朝子はなぜか冴えない表情のまま。そんな朝子が働く美容室に、森の彼女らしき女性がやって来る。笑顔で対応する朝子。その夜、朝子は森にある告白をする……。

【感想】
同棲も長くなると緊張感も薄れ不安がつのることもあるだろう。お互いの信頼感が揺らぎ始めると、相手の心を試したくなってくる。そんな二人の変化を日常の生活の一部分を切り取ったような描写は、微妙すぎて瞬時には理解しづらいところもあった。本当に一緒に生きていきたいのか、本当に必要な存在なのか、もう少し心情を吐露するようなシーンがあっても良かったのでは?と、単調なトーンで終始した展開にちょっと物足りなさを感じた。それでも、朝子役の小林涼子さんの美しさと芦澤明子カメラマンの陰影の効いた撮影に救われた気がした。


【志萱大輔監督のコメント】
ndjc2020-inta-shigaya-1.jpg私もプロの方々との大規模撮影に緊張しました。「監督」と呼ばれること自体初めてでしたので、監督としてどう振舞えばいいのか分からず戸惑いました。

テーマについては、「絶妙な男女のすれ違いを切り取ったストーリー」、自身の経験上、夫婦ではないが恋人同士とも違うという実感があったので、それを映画にできたらいいなと思って書きました。

設定の説明不足もあり、人物が登場するシーンなどで唐突に思われたシーンもあったかも知れませんが、基本的には脚本に忠実に撮影していきました。本当はもっと前の段階のシーンもあったのですが、30分に収めるが課題でしたので、どの段階から描き始めればいいのかと考えた結果、あのような構成になったのです。

好きな映画というか、何度も見返している映画は、ポール・トーマス・アンダーソン監督の『ザ・マスター』です。物語が好きという訳ではないのですが、無表情の登場人物をただ撮っているように見えて、心の中がありありと映し出されていくところが好きでよく観ています。他にホン・サンス監督も好きで、キム・ミニと一緒に撮っている作品が最高だと思います。

今後は、単純に霊感に興味があるので、そういうものを題材にした作品を撮ってみたいです。どんな撮り方ができるのか、とても興味があります。
 



【PROFILE】1994年神奈川県生まれ。

日本大学芸術学部卒。監督作「春みたいだ」がPFF2017、TAMA NEW WAVE正式コンペティション部門などに入選。また海外では、Tel Aviv International Student Film Festival(イスラエル)などに出品/上映された。現在はフリーランスの映像ディレクター/エディターとしてMVやweb CMを手がける一方、自主映画制作も行い、最新作「猫を放つ」(2019)が公開準備中。
 




★東京で開催された合評上映会のレポートはこちら▶ http://cineref.com/report/2021/02/ndjc2020.html



(シネルフレ・河田 真喜子)

 
 

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映画『ミッドナイトスワン』

台湾公開日 2020年12月31日に決定!

『ミッドナイトスワン』(台湾でのタイトル『午夜天鵝』)が

台湾に舞い降りる!!

 

9月25日(金)より公開中の草彅剛主演・映画『ミッドナイトスワン』は4週目、10月22日には興収5億円を突破、公開5週目に突入した今も132館で上映が続き、多くのお客様が来場くださっています。

そんな中、『ミッドナイトスワン』が台湾に向けて飛び立つことが決定!

2020年大晦日、12月31日(木)より公開配給 天馬行空電影)されます。『ミッドナイトスワン』を直訳したタイトル『午夜天鵝』に姿を変え、台湾の人たちの心に舞い降ります。


今回、情報が急遽解禁されることになったのは、台湾関係者からの提案により、10月31日(土)より首都台北で行われる一大LGBTQイベント、「台湾LGBTプライド」(「台湾同志遊行」)の開催に併せたため。このタイミングにぜひとも情報解禁したい、という台湾側の要望があってこそ決定しました。台湾と言えば、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため、各店舗のマスク在庫数がわかる「マスク・マップ」を3日で構築、見事に感染拡大を抑えたことで世界にその名をとどろかせたIT担当大臣、オードリー・タン(唐鳳)氏の活躍もめざましい。各国のLGBTQ関連イベントが中止される中、台湾は今年も実施を決定、例年より一段と「台湾LGBTプライド」が世界中からの強い関心を集めています。そんな台湾で『ミッドナイトスワン』が公開されるということも大変意義深いことです。

日本では、300~400館規模の他作品と肩を並べ、5週目に入ってなお、全興収10位をキープしている本作。さらに世界中からの関心を集めることになりそうです。


本作は、トランスジェンダーとして日々身体と心の葛藤を抱え新宿を舞台に生きる凪沙(なぎさ)(草彅剛)と、親から愛を注がれず生きるもバレエダンサーを夢見る少女・一果(服部樹咲)の姿を通して“切なくも美しい現代の愛の形”を描く「ラブストーリー」。草彅剛はじめ、水川あさみ、真飛聖、オーディションによって抜擢された一果役の新人・服部樹咲、凪沙の先輩後輩役に、田口トモロヲ、田中俊介、吉村界人、真田怜臣といった唯一無二の存在感を放つ俳優陣が脇を固めます。


そして台湾での公開決定を受け、主演草彅剛と内田英治監督からもコメントが届いております。

【草彅剛コメント】

「12月31日からは台湾でも公開されるとうかがい、大変うれしくさらに多くの方々に作品が届けられることを心から幸せに思っています。多くの方々に凪沙や一果たちの姿を通して感じていただけることがきっとたくさんあると思います。皆さんから感想がいただけたらとてもうれしいです。」

【内田英治監督コメント】

「このような情勢の中で、海外での公開が決まることに大変感謝致します。また、台湾での公開がきっかけとなり、その他の国へと波及することを期待しております。ゆっくりと大きく羽を広げて海を渡るスワンをまだ暫く見守ってやって下さい。ありがとうございます。」


<映画「ミッドナイトスワン」あらすじ>

故郷を離れ、新宿のショーパブのステージに立ち、ひたむきに生きるトランスジェンダー凪沙。ある日、養育費を目当てに、育児放棄にあっていた少女・一果を預かることに。常に片隅に追いやられてきた凪沙と、孤独の中で生きてきた一果。理解しあえるはずもない二人が出会った時、かつてなかった感情が芽生え始める。


出演:草彅剛 服部樹咲(新人) 田中俊介 吉村界人 真田怜臣 上野鈴華 佐藤江梨子 平山祐介 根岸季衣 水川あさみ・田口トモロヲ・真飛 聖
監督/脚本 内田英治(「全裸監督」「下衆の愛」) 音楽 渋谷慶一郎  
配給 キノフィルムズ   

©2020 Midnight Swan Film Partners

公式HP:https://midnightswan-movie.com/


(オフィシャル・リリースより)

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「自分の作家性から思い切って離れ、一気に描ききれたのは原作があることの強さ」
『本気のしるし《劇場版》』深田晃司監督インタビュー
 
 仕事はできるが流されるままに社内で二股をかける会社員辻と、彼の前に突然現れた謎の女、浮世。星里もちるの人気漫画を映像化、共感度ゼロの登場人物たちが織りなす予測不可な破滅型ラブストーリー『本気のしるし』が10月16日(金)から出町座、10月17日(土)から第七藝術劇場、シネ・ヌーヴォ、元町映画館、10月23日(金)から豊岡劇場 にて公開される。
 
 深田晃司監督初の連続ドラマで2019年10月からメ〜テレでオンエアされたと同時に話題になった「本気のしるし」を劇場用にディレクターカット版として再編集。コロナ禍で発表された今年のカンヌ国際映画祭では、深夜ドラマ発としては異例のオフィシャルセレクション2020に選出の快挙を成し遂げた。4時間弱という長さを全然感じさせない目まぐるしい展開と徐々に変化していく主人公二人の関係性の描写は、深田監督が常々取り組んでいる「鑑賞者の想像力との駆け引き」の真骨頂のようにも映る。
 
 本作の深田晃司監督に、コロナ禍で発表した新作『ヤルタ会談オンライン』『move / 2020』(いずれも東京国際映画祭2020 Japan now 気鋭の表現者 深田晃司 短編プログラムで上映予定)も含め、お話を伺った。
 
 
 
――――テレビ版をモバイルで一気見したので、劇場版となり大スクリーンで観ることができるのはとてもうれしいです。特に踏切音や日常生活の中で聞こえてくる虫の声など音の印象が非常に残りました。
深田: テレビ版を作る際は時間も限られていたので、6週間で全話分一気に撮影し、その後編集して各話ごとにリリースしていく形でした。生活の環境音がある中でテレビを観ることを前提にしているのでとにかくセリフを立たせ、効果音は抑えめに。劇場版はスクリーンで観てもらうことを前提にするので、まずは環境音を足し、逆にセリフは立たせすぎないように環境音となじませていきます。あとは、5.1チャンネルにして空間を作るという作業を行いました。テレビと映画では音の出し方が違うので、結局は一から作り直しという形で大変でしたね。ドラマ版でもみなさんがイメージするような作法、例えば寄りの絵が多いとか、ナレーションでわかりやすくとか、音楽で情緒を伝えやすくする等のことは何もやっていない。僕としてはいつも通りやっただけなのですが、放映がはじまり最初は珍しいという声が多かったものの、それはネガティブな反応ではなかった。だからテレビドラマにおける作法は意外と作る側の思い込みなのかもしれないという気がしました。
 

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■ハタチの頃から好きだった「本気のしるし」。ドラマ化は持ち込み企画だった。

――――深田監督が初めて漫画の原作を映像化したということで、満を持してという気もしますが、「本気のしるし」をドラマ化した経緯を教えてください。
深田: これまでも平田オリザさんの演劇を基にした『さようなら』やバルザックの短編小説が原作の『ざくろ屋敷』など自分がやりたい原作を映画化でき、また作る際に変なバイアスがかかることなく自分なりに解釈したことを出すことができている。僕は非常に恵まれていると思います。「本気のしるし」はハタチの頃好きで読んでいた漫画で、会う人会う人に「映像化したらおもしろい」と言い続けていたら、『さようなら』のプロデューサーだった戸山剛さんが興味を示してくれてメ〜テレさんに企画を持ち込むことになりました。連続ドラマは未経験でしたが、他の人が監督するならぐらいなら僕がやりたいとメ~テレに持ち込んだ企画でした。
 
――――原作を少し拝見しただけでも、今まで深田監督が映画で試みてきたようなことがまさに含まれているなと驚きました。
深田: ハタチの頃に読んでいたので、無意識のうちに原作の影響を受けていると思います。自分の映画の中で我ながらよく出てくるなと思う符号がビンタのシーンなのですが、原作でもビンタが象徴的に出てくるのでそこに影響を感じますね。また想像力を少しずつ裏切ることで物語を引っ張るというのも、原作と重なります。
 
――――土村芳さん演じる浮世と北村有起哉さん演じる脇田と、先が読めない人が二人もいることで、面白さが倍増していますね。
深田: 北村さん演じる脇田はちょっと引いた目線で辻と浮世の恋愛を楽しんでいる人で、ある意味観客の立場に近いですね。辻が二股をかけている会社の先輩役の石橋けいさんは山内ケンジさんの舞台で、マイペースに独特の調子でしゃべり続けるのを見て、すごく好きだったんです。また山内ケンジさんが静岡で撮った「コンコルド」というシュールなCM
シリーズに常連で出演されている時のメガネ姿が細川先輩のイメージに近かったこともあり、オファーさせていただきました。
 
 
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■新しい表情を見せた辻役の森崎ウィン。

――――辻役の森崎ウィンさん、浮世役の土村芳さんはオーディションだそうですが、決め手は何だったのですか?
深田: 森崎さんは総合的にイメージに近く、比較的早い段階で決まりました。まずは女性何人かと同時に付き合う男性という設定に説得力を持たせられる甘いマスク。演技面では浮世と出会うコンビニシーン、酔っ払った浮世と話すファミレスシーン、波止場で喧嘩するシーンと3シーンを演じてもらったら、非常に自然に演じてくれたんです。森崎さんは役を演じるというより、きちんと自分の言葉でしゃべっていることを実感できた。それが決め手になりましたね。
 
――――あんな表情の森崎さんは見たことがなかったです。
深田: 最後のほうでいろいろなものを失ってしまい、すごく厭世的になっている森崎さんの演技が本当に素晴らしく、撮影現場で彼にオファーして良かったと心底思いました。あそこまで気取りがなくせるんだなと。
 

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■男女の“駆け引き”ではなく“対等ではない関係”を表現できた浮世役、土村芳。

――――辻は浮世に出会ったことでどんどん堕ちていきますが、愛を知った浮世はまた違う感情の流れをみせます。その対比もすごく興味深かったですが、この浮世役はキャスティングも演出も難しかったのではないですか?
深田: 企画が決まった段階でプロデューサーとも浮世役がうまくいかなければこの企画は失敗すると危惧していたのですが、実際オーディションも非常に難航しました。漫画の浮世はデフォルメされ見た目もとてもチャーミングなのですが、では実写化するときにスーパーモデルのような記号的に誰もが美しいと思える人を配置し、周りの人たちが惚れていくという感じにしてしまうとニュアンスが違う。そこで辻役のオーディション同様に、ファミレスで浮世が酔っ払って「私、辻さんに油断しているのかな」と男をドキリとさせるセリフを言ってもらったんです。大体の人が男女の恋愛の駆け引きのように演じてしまうのですが、そもそも駆け引きというのはある程度対等な力関係の間で展開するもので、今回は対等ではない感じにしたかった。土村さんは本音で自然に言っているように演じてくれたのが決め手になりました。
 
――――確かに自分が面倒を見なければという辻の使命感がいつの間にか愛に変わるという、男性の優位性があらわになっている関係ですね。
深田: 浮世と辻の恋愛関係は非対称性が強く、対等に男女が向き合う形ではなかった。もともと主体性がなく周りに流されて生きていた二人で、浮世はもっとヒリヒリしたものがあり、自分の身を守るため擬態のように男性にウソをついて生きている。辻は周りに好かれるがままに生きている。そんな二人が恋愛関係となるわけですが主体性がないとはいえ、辻は男性社会の中でそれなりに社会的な地位も得ている。一方浮世は大変なことになっていくので、辻は引っ張り上げなければと思うわけで、男性が優位な恋愛という歪みが生じているのです。だから浮世が何度も口にする「すいません」が真実味を帯びる必要があるし、その姿に辻はなんとか関わってあげなければと思う。でも他の人が現れたら浮世との関係は簡単に逆転してしまうんです。
 
 

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■物語で性差別の問題を描くことはとても重要。

――――最初は浮世に全く共感できないのですが、だんだん彼女のように隙があるとひどい目に遭う世の中の方がおかしいことに気付かされます。女性は常に男性に付け込まれないようにガードを固めなければいけないのかと。
深田: 原作から絶対にカットせず残したのが、浮世の昔の女友達が辻の男性的な考え方にはっきりとNOを突きつけるシーンです。現代社会でも女性が性被害に遭った時、そんな服装をしているから悪いと非難したり、同性からも同様の声が上がることは結構多い。そんな風潮の中、物語で性差別の問題を描くことはとても重要です。「本気のしるし」が青年誌で連載されていたことも意味があると思っています。女性といえば男性の恋愛対象として描かれる青年誌で女性の痛みを生々しく描いている。今、社内恋愛が発覚したら女性が異動させられる会社があるか分かりませんが、本質的な部分は全然変わっていないと思います。
 
――――浮世がそうせざるを得なくなったのは誰のせいなのかが分かると、生き延びるために必死な女性と見え方が変わってきます。
深田: 女性の描き方もいろいろで、象徴的なのはマーベルのように男勝りで強いヒロインです。ジェンダーバランスが50:50にはほど遠い中、そういう「強い」ヒロインを描くことには一定の意義がありますが、そればかりだと現実にある性差別を覆い隠す危険性があります。そういう中で浮世のようなアプローチで女性を描くことは重要だと思いながら取り組んでいましたね。
 
――――浮世や辻を演じるにあたり、お二人にどんな演出をしたのですか?
深田: 撮影に入る前に自分の演技に関する考え方を座学的にお話させてもらい、目の前の共演者ときちんとコミュニケーションを取ってほしいと確認した感じですね。まずは二人から出てくるものを見たいと思っていたので、こちらからそんなに注文はつけていないです。森崎さんはもともとダンスグループの活動をしていて、時々ちょっとした仕草がカッコよくなりすぎたり、セリフが甘く聞こえてしまうことがあるので、「そこ甘すぎるので抑えて」とお願いすることもありました。走るシーンが多いのですが、土村さんは新体操をしていて運動神経が良いせいか走りがあまりにも完璧すぎて、「もう少し崩した感じにして」とお願いすることもありました。
 
 
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■原作の世界観を借りて、ストレートに感情を表現するセリフが書けた。

――――深田作品のエンディングはいつも驚かされますが、今回は原作通りですか?
深田: ラスト30分は原作とだいぶん違っています。大概自分の映画はいつも直したいところだらけですが、今回のラストは何度見ても「いい映画だな」と満足しています。原作があることの強さで自分の作家性に捉われ過ぎず、あそこまで一気に描ききれました。セリフもオリジナルならここまで踏み込んだセリフを書かないというぐらい、原作の世界観を借りてストレートに感情を表現するセリフになっています。
 
――――前日、豊岡での先行上映では濱口竜介監督とトークもされたそうですが、どんな感想を話されていたのですか?
深田: 土村さんを絶賛して下さいましたね。面白かったのは自分が土村さんを選んだ理由から、濱口さんが『寝ても覚めても』で唐田さんを選んだ理由と近いという話になったことですね。僕はロバート・アルトマン監督の『ロング・グッドバイ』がすごく好きで、物語は探偵物のハードボイルドなのですが、撮り方が奇妙でズームをとにかく多用しているんです。今回は普段やっていないことを試すつもりで、カメラマンにも『ロング・グッドバイ』を見てもらい、ズームワークを多用したエピソードも話しましたね。
 

■コロナ禍で誕生したZoom演劇による最新作『ヤルタ会談オンライン』

――――ここでコロナ禍で深田監督がされた様々な取り組みについても伺います。日本時間で5月30日深夜から10日間Youtubeチャンネルで開催された「We Are One: A Global Film Festival」では『ヤルタ会談オンライン』のワールドプレミアが話題になりました。ミニシアターエイド基金の運営が忙しい最中に、よくぞと。お見事です。
深田: 計21の国際映画祭が参加するデジタル映画祭で、東京国際映画祭(TIFF)も参加するということで声をかけてもらいました。Youtubeで流すのは権利関係が大変なので結構ハードルが高かったのですが、どうせやるなら新作をと思ったんです。あれほどZoomでやるのに適した演劇はないし、多分オンラインでリモート撮影する様式は来年には古臭くなっているだろうから、このタイミングで発表するのが一番だとTIFFの矢田部さんに相談し、役者の皆さんもずっと演じていてセリフが入っているので2週間で作りました。
 
――――世界同時配信されましたが、どんな反応が寄せられたのですか?
深田: 最初は映画を観ながらチャットをするなんて映画人としてそれでいいのかという気持ちがあったのですが、リアルタイムで世界中から様々な言語で書き込みが寄せられるのを見ているのは楽しかったですね。どこまでこちらの意図が伝わったか分かりませんが、ヤルタ会談は結局アジア人差別で、戦勝国のアメリカ、イギリス、ロシアで戦後処理を決めてしまう。映画祭という文化自体もヨーロッパが発祥の文化という面もありますが、価値観がヨーロッパ中心で今でもアジアの映画祭がヨーロッパのプログラマーや監督を審査員に呼ぶことが通例になっている。ヨーロッパの3大映画祭(カンヌ、ヴェネチア、ベルリン)が映画祭的な映画の価値観を決め、アジアの映画祭がそれを後追いしている感じが拭えない。それに対するアンチテーゼとしてぶつけるのにちょうどいい作品だという狙いもあったんです。
 

■今まで目を背けていたことに目を向けざるを得なくなった人はたくさんいるはず。

――――【SHINPA 在宅映画制作】企画では3分の短編『move / 2020』を発表しています。ステイホーム中のみなさんを楽しませようというエンタメ系作品が多い中で、こんな静かな作品があってもいいのではないかとコメントされていますね。
深田: 元気が出るリモート作品が次々と現れる中、そういう傾向の作品だけになることに違和感を覚えていたのですが、残念なことに自殺者も増えています。コロナ禍で生活様式が変わり、できていたことができなくなり、仕事もなくなり価値観が揺さぶられています。正直に言えば自分はヒトが生きなくてはいけない意味はないと思っています。でも普通は意味もないのに生きるのは辛すぎるからそこには蓋をして忘れるようにして、生きる時間を騙し騙し進めてきたのです。その蓋は仕事かもしれないし、恋愛や家族を持つことかもしれない。でもコロナによってその蓋を開けられてしまった。これまで大切だと思ってきたものも不要不急と言われてしまう。生きることの根源的な意味に目を向けざるを得なくなった人はたくさんいるはずです。『move / 2020』を作ったのは、世の中の変化についていけない人が一定数以上いて、負けるなと励ますのではなく、ただそういう感情を写しとりたいという気持ちがありました。
 

■「ハラスメントはダメ」ときちんと口にすることは大事。

――――最後にアップリングのパワハラ訴訟問題後、深田監督は早々にご自身の考えを書面で公表されました。まさに映画界全体の問題ともいえるこの件についてのお考えを改めて伺えますか?
深田: 21歳の時に撮った自主映画『椅子』を初めて上映していただいて以来ほぼ全ての作品をアップリンクで上映しているので、無関係ではないです。僕自身は浅井さんと直接やり取りすることはなく、浅井さんと言葉を交わしても嫌な思いをすることはなかった。でも自分の作品を上映してくれているスタッフがハラスメントに遭っていたことは事実です。自分の映画を上映するときはそれに関わるスタッフの安全が担保されていることは最低限の信頼関係のはずなのにそれが崩れてしまった。だから上映予定だった『本気のしるし《劇場版》』は一旦引き下げることに決め、解決するかどうかを見守ることにしました。アップリンクとの関わり方は人によって濃淡がありますから各人の考えでいいと思いますが、一方で各人それぞれに態度表明が求められるような流れも高まっている。結局パワハラはそれが起きると当事者だけではなく多くの人が傷つくことになります。また昨年末、自分が深く関わっていたスタッフによる俳優へのセクハラが複数報告され、本人は無自覚ながらも行為自体は認めたので、一切仕事上の関係を絶たせてもらいました。今、文化の場での安全性が問われていると思います。これからこの業界に入りたいと思っている人たちにここは安全であると信用してもらうためにも、何事もなかったかのように進んでしまうのは危ういので、誰もが知っていることでも「ハラスメントはダメ」ときちんと口にすることは大事だと思います。
(江口由美)
 

 
<作品情報>
『本気のしるし《劇場版》』“THE REAL THING”(2020年 日本 3時間52分) 
監督・脚本:深田晃司
原作:星里もちる「本気のしるし」小学館ビッグコミックスペリオール
出演:森崎ウィン、土村芳、宇野祥平、石橋けい、福永朱梨、忍成修吾、北村有起哉他
10月16日(金)から出町座、10月17日(土)から第七藝術劇場、シネ・ヌーヴォ、元町映画館、10月23日(金)から豊岡劇場 にて公開。
 
<深田晃司監督舞台挨拶情報>
●10/17(土)京都 出町座 10時00分の回上映後
●10/17(土)大阪 第七藝術劇 15時05分の回上映後
●10/17(土)大阪 シネ・ヌーヴォ 18時40分の回上映後
●10/18(日)神戸元町映画館 12時10分の回上映後
 
公式サイト⇒https://www.nagoyatv.com/honki/ 
(C) 星里もちる・小学館/メ~テレ
 
 
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